神剣レヴァナントの正体と、迫る魔王の影

「ま、待て……“世界を導け”って、どういうことだよ!」


 思わず声を上げた。

 神剣は俺の前に浮かび、静かに輝いている。


 『我が名はレヴァナント。

  過去の神々が魔王を封じるために鍛え上げし、唯一の対抗手段なり。

  汝、選ばれし《純粋なる者》よ。』


「……純粋?」


 『そうだ。

  汝は嘘を吐かず、奢らず、見返りも求めずに働いた。

  人を救わずとも、ただ“世界を綺麗に”し続けた。

  それは、我が主に相応しい“資質”だ。』


 なにその理由。

 俺はただ、与えられた仕事を真面目にやってただけなのに。


 


 すると神剣の輝きが強くなる。

 ──気づくと、俺の体の中に、何かが流れ込んできた。


「っ……う、あああああっ……!?」


 身体が熱い。

 スキル《掃除》が、何か別のものへと変化していくような──!


 


 ≪スキル《掃除》が進化しました≫

 ≪新スキル《浄化》を獲得しました≫


 


「……進化? 俺のスキルが……?」


 ≪スキル《浄化》:あらゆる“穢れ”を祓い、構造を正す力≫

 ≪魔力・呪い・瘴気・腐敗に対して絶対効果を持ちます≫


 


 なんだこれ……。掃除どころじゃない……!


 『レインよ、目覚めよ。我が力は、未だ序の口だ』


 「俺……一体、何を背負わされたんだ……」


 


 そう呟いたその時だった。


 ──ドゴォン!


 封印の間の扉が突如、破壊される音が響いた。


「なっ……!? 誰だ!?」


 


 現れたのは、黒衣を纏う男。

 肌は灰色、目は赤く輝き……まるで、絵本で見た“魔族”そのものだった。


 


「……ほう、神剣レヴァナント。まさか今になって目覚めるとはな」


「お前……!」


 「だが遅い。我が主“魔王アゼル”様の復活は目前だ。

  この王城など、すぐに地に沈むだろう」


 


 ──魔王? 復活?

 そしてこいつは……配下!?


 


 『レインよ。あれを倒せ』

 『汝の“浄化”は、魔を退ける聖なる刃。』


 「無茶言うなっ……俺は、戦ったことなんて──」


 


 だが、その時。

 神剣が俺の手に吸い込まれるように収まり、勝手に構えを取った。


 『汝の意志は、我が意志。

  我が剣技を、体へと流し込もう──』


 ──ビリビリと身体が痺れる。だが、動ける。

 まるで、何年も剣の訓練を積んだかのように……。


 


 「……やるしか、ないのか」


 俺は、神剣を握りしめた。


 次の瞬間、魔族が飛びかかってくる。


 


 「死ねぇぇぇ!!」


 ──だが、俺の剣が、その叫びを断ち切った。


 ズバァァッ!!


 


 「……な、に……が……ッ」


 魔族は、俺の一太刀で崩れ落ち、塵となって消えた。


 


 ──俺は、勝ったのか?


 


 『……我が主よ。これは始まりに過ぎぬ。

  魔王アゼルの復活は確定事項。

  だが、希望は生まれた──汝の手に』


 ただ掃除していただけの俺が、

 いつの間にか「世界の命運」に足を踏み入れていた。

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