最底辺スキル《掃除》で雑用ばかりの俺、黙々と城を磨いていたら、封印されし神剣が目覚めて世界の命運を託されました

katura

掃除スキルしか持たない俺にできること

 俺の名前はレイン=バルド。

 王都の城で働く、しがない雑用係だ。

 持っているスキルは──《掃除》。

 戦闘もできない、魔法も使えない、貴族の小間使いとして使い潰されるだけの“ハズレスキル”だ。


 「おい、床が汚れてるぞ! さっさと磨いておけ!」

 「まったく、無能な平民はこれだから……」

 「せいぜい、城の隅っこでゴミと一緒に生きていけってこった!」


 今日もまた、貴族の見習い兵たちに嘲笑され、雑用を押しつけられる。

 それでも、俺は逆らわない。

 いや、逆らえないのだ。俺には《掃除》しかないから。

 それでも、せめて与えられた仕事だけは全うしようと、今日も俺は黙々とモップを握る。


 


 そして今日。

 俺は王城の中でも滅多に立ち入ることのない、「封印の間」の掃除を命じられた。

 古の魔王との戦争で使われた聖具が封印されているという、いわくつきの部屋だ。


 「ふっ、あそこを掃除しろだなんて……あいつも終わりだな」

 そう笑う連中の声が背後で聞こえたが、俺はただ頷き、無言で部屋へと向かった。


 


 封印の間は、重たい鉄扉の奥にひっそりと存在していた。

 埃まみれの床、黒ずんだ壁……今まで誰も手をつけていなかったのだろう。

 「……よし。やるか」

 掃除用のバケツとモップを手に、俺は床を一心不乱に磨き始めた。


 ゴシ…ゴシ……ゴシ……

 いつも通り、無心でモップを動かす。

 だが次の瞬間、モップが“何か”に触れた。


 


 ──カツンッ。


 「……ん?」


 音がした場所を覗き込むと、床の一部に小さな魔法陣が浮かび上がっていた。

 埃と汚れの下に隠れていたのか? それとも、俺の《掃除》スキルが──封印を解いたのか?


 ──キィィィィィン……!


 突然、部屋中に耳鳴りのような音が響き、眩い光が天井から差し込む。


 「な、なんだ……!?」


 床が割れ、そこから一本の剣がせり上がってきた。

 まるで、俺に向かって伸びてくるように──。


 


 『……我が名は神剣レヴァナント。選定の儀、完了。』


 「えっ?」


 『汝、《純粋なる労働者》よ。我と契約し、世界を導く者となれ。』


 


 まさか、神剣が喋ってる……!?


 俺はただ、掃除をしていただけなのに。

 なのにこの日、俺は神に選ばれた存在となった。


 ──最底辺のスキル《掃除》は、世界を変える力だったのだ。

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