第19話 魔法使わんのかい

いつもの放課後、雑談しながらの帰り道。

話題がダンジョン関連になって、話しているうちに“俺たちも行こうぜ!”的なノリになった。



〜以下、回想〜

※実際の会話とは異なります。



「ヨウツーベっていうサイトでダンジョン配信してる人が〜」

「え、ダンジョン配信!?」

「うん、ダンジョン配信」

「面白そう!一緒にやろうぜ!(唐突)」

「え、でも私は魔法が凄く下手だから···」

「じゃあ配信する前にダンジョンで練習しようぜ!ちょうど明日は休みだし!」

「それなら、まあ···」

「しゃああ!言質確保ォォ!」



〜回想終わり〜



そういえばまだニホーンのダンジョンには潜ってなかったな。大体1ヶ月半ぶりのダンジョンアタック、楽しみだ。



◆◆



ダンジョンの造りはざっくり言うと2種類に分けられる。

すなわち『浅く広い』単層タイプと、『深く狭い』複層タイプである。

地下深くは魔力が濃くてモンスターも強いから、基本的には『複層』のダンジョンの方が危険だ。



ニホーンは複層タイプが基本で、数十層あるダンジョンも珍しくない。

そんな場所に日頃から挑むニホーンの探索者の質はかなり高く、ニホーンはダンジョン強豪国として知られている···とミオちゃんから聞いた。



階層の区分は大きく分けて5つ。

上層、中層、下層、深淵、奈落未踏破領域

そこから更に上層第1層、上層第2層···という具合に分けられる。

中層までしか存在しない初心者向けのダンジョンもあれば、奈落まで存在するゴリゴリの専業探索者がパーティを組んで挑むダンジョンもあり、難易度は幅広い。






俺達が今挑戦している近所のダンジョンは、深淵まである所だからかなりハイレベル。

まずは上層で腕試しだ。



幅の広い通路の奥から、早速アンデッドの群れがやって来た。

見た目は肉が変色して腐り落ち、骨が露出している人間といった感じ。

噛まれて感染してパンデミック!···という事は無いけど、数が多いから初心者には危険度の高いモンスターと言われている。



まあ数が多いだけなら楽勝。

攻撃手段は引っ掻きや噛みつきだけだし、俺でも急所を突かずに倒せるくらい脆い。

ミオちゃんもメイスをぶん回して、景気良くアンデッドの頭蓋を吹き飛ばしている。



「···え、魔法は?」

「ああ···そういえば魔法の練習も兼ねてたっけ。じゃあ試しに使ってみるね」



重そうな鉄のメイスを高く掲げ、魔力を充填。

敵の頭上になにかモヤが見えた──その瞬間。



後ろの方にいたアンデッド十数体が

···いや違う。上から押し潰されたんだ。

瞬き1つ分のラグを経て、透明な質量が敵を血の池に変貌させた。

奇麗な円形に抉られた地面には、さっきまでアンデッド“だった”血液や骨片が浮かんでいる。



「重力魔法、威力は凄いんだよね。これでもまだ本気じゃないし」

「えっ」

「その分制御がとにかく難しくて···さっきも手前のアンデッドを潰すつもりだったのに、5メートルはズレちゃった」



なるほど、実際に見ると良く分かる。

確かにこの魔法は強い。

ミス1つで味方を殺してしまう程の威力と、制御の難しさ。

······これは封印した方が良さそう。

異世界無双はしたいし、多少早めに死ぬのは受け入れられるけど、死因がフレンドリーファイアなのは嫌すぎるからな。



──────────────────────


《ステータス紹介》


名前:アカリ/●●

レベル:30

力:4

敏捷:26

魔力:13

体力:7

精神:100

運:80


スキル:

[痛覚耐性]SLv3

[魅了]SLv3

[食いしばり]SLvなし

[自動回復]SLv2

[犠牲的行為]SLvなし




名前:ミオ

レベル:15

力:11

敏捷:6

魔力:14

体力:7

精神:5

運:6


スキル:

[重力魔法]SLv3

[打撃熟練]SLv4

[撲殺熟練]SLv5

[母性]SLv1


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る