尾行されている。そう自称する主人公のハードボイルドな一人語り。100の尾行を巻くテクニックを有するというこの男。全てが被害妄想の勘違い……そうとも言い切れない不吉さと、全体に漂う不穏な空気。笑っていいのか?恐ろしい真実が待っているのか?結末が気になるお話です。
緊張と笑いが同居する、モノローグ主体のサスペンスコメディ。尾行者から逃げるというシンプルな構図が、主人公のユーモラスな独白とテンポの良い場面転換で軽快に展開していきます。果たして彼は、ただの“痛い”中年男なのか? それとも本当に何かを察知しているのか?ツッコミを入れながら読み進めてしまう、どこか“参加型”の小説です(私見です)。