第46話 一方で――

 ライとチアが話している頃。

 少し離れたアドリアンの工房では――。


「ヤベー。アドリアンすごいじゃん」

「どうだ。スキルがあればこんなもんだ」

「っか、チボーの火があるからまさかと思ったが――」

「設備があればちゃんと武器を作れるという。なんか急にすごいことになったな」

「さすがに金属は探してこないとだが――でもある程度集めれば――だな」

「よし。アドリアンちょっと探そう――って探さなくてもよくないか?」

「なんでだ?」

「だって。ライが出してくれた線路。鉄じゃん」

「「……たしかに」」

 

 男3人が盛り上がっていた。

 何をしているかというと。少し前まではアドリアンが木材などで小物を作っていたのだが。その中でいろいろ作れることがわかり。

 マルタンも自分のところからアドリアンのところへとやってきて、そこに1人余っていたチボーも加わり。まあいろいろ話しながら試しているところである。

 基本は木材を加工するアドリアンだが。

 そもそもスキルがなくても作ろうと思えば何かは作れる。

 なので3人の知恵が集まってか。ちょっと武器になるようなもの作れるのでは?となったところ。

 本当はオロールへの調理道具ナイフなどをだったが。よくよく考えたらナイフができれば武器もいけるよな。的なことになり。

 小さいがあったものを集めて小さな千枚通しのようなものを作ってみると。粗いながらにもそれなりの形はできたのだった。

 主に持ち手のところはアドリアンのスキルがあるので完ぺきで、あとはそこらへんにあった鉄を3人であーだこーだしつつ。時たまチボーの火が活躍したりなどで時間はかかったが。いろいろ作れることがわかり。

 さらにさらに、アドリアンの工房を作る際にいろいろ注文を付けたのが幸いしてか。これだけいろいろ工具もあればいろいろ作れるだろうとなったのが今である。

 

 この時ライとチアが結構真剣な話をしていたのだが。男衆が来なかったのは、まあ子供のように何かができたことがうれしくて夢中になっていたからである。


 そして、鉄を――となった今だったが。

 鉄と言えばライ。

 そしてライはすでに砂利やら線路を試しで出すことがあったので――材料はあった。

 つまり――。


「よし。試すか」

「ライのあの様子なら線路とかは出しやすいみたいだしな」

「なんか急に楽しくなってきたな」

「というか。マルタンは自分のいいのかよ」

「それがよ。裁縫は使えるんだが――そもそも布類とかほとんどなくてよ」

「あー、それは確かにな」

「だからとりあえず何か見つかるまではアドリアンの手伝いでもと思ってよ」

「じゃあとりあえず人数分の武器になりそうなもの作ってみるか」

「どうするんだ?」

「まあスキルが使えないところは力技だろ」

「スキル関係ないな」

「でもなんかやることがあるっていいな」


 盛り上がる男衆。

 それからしばらくアドリアンの工房にこもることとなるのだった。

 そして外での話し合い。ライの方が落ち着いたころ。無事に武器類も作ることに成功するのだった。


 少しずつ。島での生活が変わりつつあった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る