第44話 各自の仕事場の裏で
「えっ?」
あまりの唐突なチアのつぶやきに一瞬何を言っているのか理解が追い付かなかった俺。
少しだけ頭の中で考えてから、さすがに俺は聞き間違いかと思ったが……。
「邪人。災いを――って昔から言われて。スキルの治癒も実は裏に何かある――って疑われていたんだ」
「えっと。チア?」
どうしてみんながそれぞれやりがいを新しく見つけて動き出したこの時にチアが自分のことを話し出したのか。ライにはわからなかったが。
今はライしかそばにいないためそのままライはチアと話をした。
「オロールさんとアナイスさんしか知らないけど――本当に邪人なの」
「えっと邪人って――」
チアと話しつつ。そういえば人間族の中にはごく稀に邪人となる人がいて、それは受け継がれる――だから邪人として生まれて人は――。
と、ライは大まかに持っていた知識を思い出していた。
簡単に言えば、突然変異。
人間族の中で神人。今だと、ロマン・ジラール。国のトップでライたちはどんどん島流しにしているあの人物もであるが。
神人と邪人では扱いが全く違う。
証拠があるわけではないが。表示される名前からして、ステータス表に邪人というのが表示された段階で不気味。
そのためその人を殺してしまうという人も少なくないらしく(そのように言い伝えられているという者もいる)。
そのようなことがあるため。神人と同じくらい実は少数の邪人がさらに少数になっている現在。
そもそもどっかの誰かさん。今話しているお方の種族も――であるが。
とにかく邪人となってしまうともう邪人以外その後は生まれないこともあり。いなかったことにされてしまう存在。それが邪人である。
そんな稀な存在が今この島にはいる。
「俺はあまりわからないんだけど――でも邪人だからってチアが何か悪いことしているわけじゃないよな?」
少し前の線路を作って食料を探していた時も。線路を繋げてみんなを迎えに行く際。無邪気な子供のように。というか子供であるが。ライと一緒に行ったチア。
その時も何か裏があるなど――と、そもそも今までこの島で会ってからもそのような雰囲気は一切なく。アドリアンはじめ島で生き残っていた人もみなチアを大事にしている様子なのは見ていればわかる。
しかし――どうやらチアの心の中ではまだ影があったようだ。
「私がいると関わって人みんなが辛い思いをするの」
「そんなこと――」
「邪人がいるから――って、で、島流しになった時実はうれしかった」
「うれしかった?」
「1人になれるから――でもここに来たらまた――」
「――」
「でもあと少し――このままなら――って。思っていたら。今はみんなキラキラしてる」
どこか寂しそうにつぶやくチア。
その姿は全く姿とあっていなかった。
どうやらチアはこの場所は死んでいく場所という事をちゃんと理解しており。
そのうち自分も――と思っていた中だからみんなと居たが。ここ最近。ライたちが来てから島は変わりつつあり。
そして今はライが建物を建てたりしたことにより。アドリアンはじめマルタンなどもスキルを久しぶりに使えるようになり。今も生き生きした姿を見せている。
その姿がチアにはつらかったようだ。
自分がいると災いが――せっかくみんながまたというときに自分がいる。
なのでチアは少しずつみんなから離れていたようだった。
一応これでも数千年生きているライ。
人との接点はその割には少なかったが――でもそれなりに経験。知識はあった。
「ほら――見てよ」
ライがいろいろ考えながらチアの話を聞いていると、チアがステータス表をライに見せてきた。
ライのステータス表とはもちろん違いシンプルなものだったが――。
◆
クリスチアーヌ・ヴァイヨン。
年齢――。
族種。人間族。邪人。
スキル。治癒
◆
確かにステータス表にはチアの言う通りの邪人が表示されている。
というかチアの正しい名前を知った――と、いうのもライはあったが。特にチアのステータス表には触れずに自分のステータス表をチアにそっと見せた。
§
ラーイユ・デュマ。
男。
年齢。1374歳。
独身。
族種。幽霊族。影人。
スキル。鉄道ジオラマ。
§
――スキル使用時消費スキルポイント――
☆ 砂利。1キロ。10P
☆ 石炭。1キロ。500P
☆ 線路。1メートル。1000P
☆ 客車。100000P
☆ 貨車。100000P
☆ 蒸気機関車。 1000000P
☆ 建物。1軒につき。1000000P
☆ 飲めない水。1000P
☆ 順次解放。
§
――スキルポイント(SP)獲得方法――
☆ 仲間を作る。10000P
☆ 仲間と交流する。1秒×100P
☆ 不遇な扱いを受ける。 1回ごとに5000000P
☆ ○○な○○を○×。 1人ごとに100000P
★ ○○する。 SP制限解除。
§
「――ライのステータス表はいろいろ書かれているよね」
「だろ。って、よく見てみなよ」
「うん?」
どうやらチアは少しぼーっとした感じだったからか。ライのステータス表をちゃんとは見ていなかったらしい。
そのためライに言われてもう一度ライのステータス表を見たチアは少しして――。
「――うん!?」
やっとライのステータス表でもおかしいことを見つけたらしく。
ライの顔を二度見するのだった。
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