第24話 蒸気機関車と貨車と客車

 ある程度線路ができたのと、別行動だった仲間たちがそこそこの食糧?になりそうなものを見つけたため。一度戻るために蒸気機関車と貨車を出してみた。

 蒸気機関車もかわいらしいが。貨車の方もかわいらしい―――と言うべきか、小型の貨車というか。とにかく貨車なので人なら詰めて乗れば4人くらい乗れる。荷物なら――まあ溢れない程度にならたくさん載せれそうだ。ちなみに木製の貨車だ。一部木をつなぎ合わせるところは鉄で、連結部分や――あと、車輪。台車のところは鉄でできているみたいだ。

 今は線路の上にちゃんと乗っているが、これ脱線したら戻すの大変かもしれない。小さいといえどひっくり返ればそこそこな重量がありそうだからな。

 とまあ今のところそのような心配は必要なんさそうなので、収穫したものを詰め込む。

「ライこれ貨車もう1両あった方がよくない?」

「というか俺たちも乗っていいならもう2両あると荷物もみんなも乗れるな」

「じゃあまだスキルポイントは貨車なら余裕あるから――うん?」


 §


 ――スキル使用時消費スキルポイント――


 ☆ 砂利。1キロ。10P

 ☆ 石炭。1キロ。500P

 ☆ 線路。1メートル。1000P

 ☆ 客車。100000P

 ☆ 貨車。100000P

 ☆ 蒸気機関車。 1000000P

 ☆ 建物。1軒につき。1000000P

 ☆ 飲めない水。1000P

 ☆ 順次解放。


 §


「どうしたライ?」

 集めてきた食料を載せるアドリアンたちに言われ。新しく貨車を出そうとステータス表を見ると少し変わっていたことに俺は気がつた。

「いや――ステータス表が変わった――これ石炭と――飲めない水?」

「石炭?」

「飲めない水?」

 俺がステータス表を見ながらつぶやくと、アドリアンやマルタンが不思議そうにのぞき込んでくる。

「ほんとだな」

「もうライのスキルなんでもありじゃん」

「確かにな」

「――自分もそう思ってきました。って、そうか、蒸気機関車を出したから、動かすのに石炭と水が必要ってことか」

「まあそうだな。機関車動かすには水と石炭いるわな――って、これ石炭あるなら焚火とか料理にも使えるんやないか?」

「ちょっと出してみましょうか」

 アドリアンに言われて試しに石炭を出してみる。

 《2988780》


 ドサッ。


「「「……」」」

 スキルを使うと3人の前に石炭の山が現れた。

「えっと――1キロ分くらいみたいです」

「またまた普通に出やがったよ」

「これライが居ればほんとなんでもありだな」

「生活が変わるな」

 石炭を手に取るアドリアンたち。

 どうやら品質も問題ないらしい。

「後は――水はどうやって出るんだ?」

 《2986980》

 スキルを使用するとポイントが減ったが――すぐには現れなかった。

《指定する場所を決定してください》

「指定する場所?ステータス表に表示が出たので、とりあえず少し離れた地面をしているすると――」

 ザーー。

 その場に小さな滝――ではないが。何も処から少しの間水が出た。 多分――水量的には1リットルよりは多めに見えた。

「――そこそこ綺麗な水に見えたがな」

「まあスキルで出た水だから水に見えるが水じゃないとか?」

 俺が水を出したところにできた水たまりを見るアドリアンとマルタン。

 というかスキル使いつつ俺は。これ――石炭と水があるから蒸気機関車を走らせるのもスキルだけで完結するとか――おかしいよな。

 もしかして――これどんどんスキルを使って何かすればするほどいろいろできるようになるスキルなのか?などと考えていると――。


「ねえねえ、ライ。ルネが空腹で死にそうなんだけど」

 すると、俺のスキルを確認してる際も貨車に荷物を載せていたミアが声をかけにやってきた。

 ちなみにミアたちを手伝いチボーもずっと貨車に荷物を載せていた。

「あっ、ごめん」

「そうだな。とりあえず戻るか」

「帰りはこれで楽になるかなー」

「そういえば、貨車を出しましたが。客車ってのあるんで――出してみます?」

「もう驚かんぞ」

「だな」

「驚いていたら疲れるからな」

「あはは、えっと――客車は――」


 出発直前。貨車に食料を載せたが。一部は海藻系なので貨車の中が濡れている。 そこに人が乗れなくもないが――でもせっかくスキルポイントも余っているので、俺は1両客車を出してみることにした。

「うあーかわいい」

 客車を貨車の後ろに出してみると。貨車より少し長めくらいで、手動で開く乗り口扉があり。貨車に屋根が付いた言った感じの客車が現れた。

 ちなみに簡易的な感じだがベンチのような椅子も車内にはちゃんとある。

 乗り口は一ヶ所。手動の扉。室内は向かい合わせで3.4人座れそうだ。

 なお貨車に屋根が付いただけなので四方八方雨風をしのぐことはできない。

 横殴りの雨が降れば室内ずぶ濡れである。でも普通の雨なら大丈夫そうな感じ。

「下手すりゃ普通に客車の中でも寝れるな」

「今までまともな屋根なかったからな。このレベルなら問題ないな」

 マルタンとチボーが客車を触りつつつぶやいている。

 確かにこれベンチに寝転ぶのは狭いかもしれないが、座って休むくらいは普通にできそうだ。

 この様子ならもう一両あるとみんな座れそうだったので、俺は客車もう一両出した。

《2789980》

 スキルポイントはまだまだ大丈夫。

 客車を出すと俺は蒸気機関車の運転席を見る。 一応水を入れる場所。石炭を置く場所もある。多分だが俺のスキルと連動――とはちょっと違うかもしれないが。その場でスキルを使えばちょうどいい量の水と石炭を入れる。置くことができた。

 そして出した石炭をくべれば――少ししてさらに蒸気が多くなった。これならもうすぐに動き出せそうだった。

 俺が蒸気機関車の方を見ている間にミアと腹ペコ娘は客車に。

 男性陣3人は貨車と客車の連結の確認をしてくれていた。

 そしてアドリアンから連結の方も問題ないことが告げられると。男性陣も客車に乗り込む。

 ちなみにアドリアンは貨車の方に乗っていた。どうやら貨車の1両がほぼ空で広々使えそうなのを見つけたらしい。

 そんなことを見つつ俺はみんなが乗るを確認すると蒸気機関車運転――って、もちろんだが俺。蒸気機関車の運転などいたことはない。

 したことはないが――。

 蒸気機関車の運転席内は意外とシンプルで、ハンドルが2つだけ。

 試しに左のハンドルを動かしたらゆっくりと蒸気機関車が動き出した。

 そして戻すと蒸気機関車は止まったどうやらブレーキらしい。

 ならもう一つのハンドルは?だったが。ガチャガチャと動かしても何もなかったが――。

 もう一つのハンドルを動かしてから。右のハンドルを動かしてから左を動かすとバックした。

「なるほど――これは進行方向か」

「ライ。どうだ?動かせそうか?なんか手伝うことあるか?」

 すると貨車の方からアドリアンが声をかけてきた。

「いや、大丈夫そうです。動きます」

 汽笛などはないため。俺は声をかけてからハンドルを今度はちゃんと動かすと――。

 

 ガタン――タン――ガタン――タン――……。


 ゆっくりと蒸気機関車が動き出す。

 そして貨車の連結に少し遊びがあるからだろう。蒸気機関車が動き出して少ししてまず1両目の貨車が動き出し次に2両目と少しずつ貨車が動いていき――。


「マジかよ」

 後ろから確か最後尾の客車に乗ったマルタンの声が聞こえてきた。

 どうやらこれで全部の車両が動き出したらしい。

 孤島内を蒸気機関車が走り出したのだった。

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