第13話 アイテム
「あなたで最後です」
杖でゾンビの頭を殴り潰すと、頭の中で鈴の音が鳴った。
『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルはレベル10になりました』
『おめでとうございます。武術における杖術がE(レベル3)になりました』
『おめでとうございます。ミシェル・ラウンデルはゾンビ討伐数が千体達成につき称号【ゾンビハンター】を取得しました。また取得報酬としてメッセージボックスに【グミ入りアイス】が贈られました』
「はぁはぁ……。これだけやって、やっとレベル10で杖術レベル3にしかならないんですか。それに称号ゾンビハンターに取得報酬? 全く、本当にふざけてますね」
私は肩で息をしながらその場にへたり込んだ。
周辺からは、もうゾンビのうめき声は聞こえない。
粗方倒してしまったのか、はたまた再び湧き出るまでに時間を要するのか。
何にしても、ようやく一息つける。
それにしても、いったいどれだけの時間が経過したのか。
「日が上がりもしなければ、沈みもしません。薄暗いなかで時計もないから時間の感覚がさっぱりですね」
空を見上げて愚痴るように呟くと、私はメニュー画面を呼び出してステータスへと進んだ。
【ミシェル・ラウンデル ステータス一覧】
レベル:10【白ゲージ(経験値)】
振り分けポイント:30
状態:普通
体力:887/1500【緑ゲージ】
魔力:478/2000【青ゲージ】
スタミナ:1500/1500【黄色ゲージ】
満腹度:10/100%【橙ゲージ】
生命力:G(15)【体力量】
精神力:G(20)【魔力量】
持久力:G(15)【スタミナ】
筋力:G(15)【物理攻撃力】
健康力:G(10)【物理防御力+状態異常耐性】
技量:G(10)【武術全般の成長力率上昇、様々な要素にプラス補正】
敏捷:G(20)【身軽さ、攻撃速度】
知恵:G(11)【魔法攻撃力】
知識:G(10)【魔法防御力】
運:G(10)【幸運に巡りやすくなる】
根性:F(30)【経験値増加、自然回復力上昇。致命的な一撃を受けた際、まれに神の祝福が発動】
「……やっぱり、満腹度以外のステータスに変化はありませんね」
ゾンビをひたすら倒し続けた結果、わかったことがある。
レベルが上がると、ステータスには反映されないが多少なりとも私の身体能力がどうも上がっているらしい。
さしずめ【レベル補正】とでも言えばいいだろうか。
この感じだと、杖術や体術といった武術レベルにも似たような補正がありそうです。
当初はポイントをある程度溜めてから振り分けてみようと考えていただけだったんだけれど、振り分けなくても明らかにゾンビが最初よりも簡単に倒せるようになっていいきました。
あと、ゾンビの頭の上にあった表示名が黄色から薄い黄色へと変わりつつあります。
多分、表示されている名前の色は強さを表しているんでしょう。
黄色名が今の私にとって丁度良いぐらい。
でも、名前の色が薄くなるにつれ、レベルの上がる速度も明らかに落ちていった。
最初はとんとん拍子で上がったのに、今では倒しても倒してもレベルは上がりません。
ステータスの項目にあるレベル。
その隣にある白ゲージは経験値を得ると溜まっていくみたいですが、レベル9になってからはゾンビを倒してもぱっと見は変化がなかった。
それでも倒し続ければ少しずつ上がっていったから、経験値がゼロというわけではないんでしょう。
でも、ゾンビを倒し続けたおかげで、私が何を優先してポイントを振ればいいのか。
少し掴めた気がする。
「私が今振るべきステータスは、これですね」
【ミシェル・ラウンデル ステータス一覧】
レベル:10【白ゲージ(経験値)】
振り分けポイント:0
状態:普通
体力:887/1500【緑ゲージ】
魔力:478/5000(2000+3000)【青ゲージ】
スタミナ:1500/1500【黄色ゲージ】
満腹度:10/100%【橙ゲージ】
生命力:G(15)【体力量】
精神力:G(50=20+30)【魔力量】
持久力:G(15)【スタミナ】
筋力:G(15)【物理攻撃力】
健康力:G(10)【物理防御力+状態異常耐性】
技量:G(10)【武術全般の成長力率上昇、様々な要素にプラス補正】
敏捷:G(20)【身軽さ、攻撃速度】
知恵:G(11)【魔法攻撃力】
知識:G(10)【魔法防御力】
運:G(10)【幸運に巡りやすくなる】
根性:F(30)【経験値増加、自然回復力上昇。致命的な一撃を受けた際、まれに神の祝福が発動】
精神力、つまり魔力量一択だ。
正確には優先して60まで上げて、次に知恵と知識の順番で60にしてアイテムボックスを開放する。
理由はレベル補正があることがわかったから、ステータスの振り分けがこのままでもゾンビぐらいは何とかなることが把握できたこと。
そして、レベル補正後の身体能力に私の補助魔法が乗っかることが体感できたからだ。
S級ハンターの言葉を思い出すのは癪だけれど『基礎的な身体能力が高ければ、数%の上昇補正でも馬鹿にできない』ということね。
レベル補正と補助魔法があればステータス項目の筋力、持久力、健康力辺りは後回しでも大丈夫でしょう。
これで決定、しようかと思ったが何か見落としていないかと不安になってくる。
「そういえば称号とか、メッセージボックスとかもありましたね。まずはそっちを確認してみましょう」
私は決定せずに戻ると、まずは称号に進んだ。
【称号】
・食べられちゃった:敵からの標的率+1%
・終わりなき鍛錬の始まり:取得経験値+1%
・ゾンビハンター:ゾンビ系に与えるダメージ+10%
「あら、結構良い効果ですね」
声が思わずうわずった。
現状、この辺りに出てくる敵はゾンビばかりだから、ゾンビ系に与えるダメージ+10%の恩恵は大きい。
私はメニュー画面に戻ると、所持アイテム一覧に進んだ。
「……カイネが最初に説明してくれた『二十種類まで』の意味が、ようやく理解できました」
所持アイテム欄には、私が手に持つ『普通の杖』が一つ。
そして、『腐った屍肉』というおぞましい名前のものが百個以上入っている。
ゾンビを倒すと、白い光を放つ玉が時折地面に残ることがあった。
なんだろうと、警戒しながらそれを手に持つと『腐った屍肉を取得しました。所持アイテム一覧に登録されます』という声が脳裏に響き、白い光の玉は消えてしまったのだ。
その時は周囲にゾンビがいて確認できなかったけれど、まさかここに入っているなんて思いもしなかった。
私はまだアイテムボックスを使えないはずなんだけれど。これも祝福の力なんでしょうか。
首を捻りつつ、腐った屍肉を興味本位で選んでみると『補足説明』というのが出てきた。
「えっと、なになに……」
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