第3話 銃&航空機
僕は、早速できた通信機を見せていた。
「できましたよ、これが通信機、離れた場所でも瞬時に文を送れる機械です。」
「本当にそんなことができるなんて......」
「まあ、これだけでは攻撃手段がない。次は攻撃武器を作ってくるよ。」
「えっ、もう!? これだけでもかなり変わるというのに!?」
「いや、まだ足りん! 俺は戦いたくないんだ! つまり、負けられたら困るんだよ! というわけで行ってくる!」
さて、今日も開発だ。銃を作ろう。最も基本的で、最も革新的な発明の一つである。ただ、この世界に火薬はない。つまり銃モドキを作る。
そして、作りやすいのは指向性エネルギー兵器である。だって魔力って拡散性が比較的低いんだもん。高エネルギーを短い時間でぶっ放すだけでできそうだし、ついでに熱暴走問題もない。まるで真空状態の剛体じゃないか。
ただ、魔力は透過性が高い。だから当たってもそもそも何も起こらない可能性が高い。だから、電磁波に変換しよう。ようはレーザー銃である。
収束させた魔力パルスを、超高圧によってガラス化した超低温の物体にぶつける。するとその中の光の進む速度はおよそ2~3m/sという実に10万分の一の速度になる。そんなところに光速に近い魔力パルスが激突すると、凄まじいチェレンコフ放射が発生する。それによって攻撃する。そしてこれを技術力とケチりたい一心によってかなーり縦に細長いレンズを使って収束、さながら銃身だ。ルネベルクレンズをくり抜いたものと言えば伝わる人には伝わるかもしれない。
この原理の銃は断熱の問題から元の世界では専用の施設を使わないと不可能だったが、魔法ならかなり簡単に実現可能だ。
しかしこのシステムにはいささかの改良が必要だ。それは魔力の供給源である。この世界の標準の魔法陣を使うと魔力は射手から供給される。問題はこの武器が瞬間的に魔力を消費する点だ。よってそれに耐えられるように訓練しなくてはならない。また人も選ぶ。そんなのは兵器じゃない。なのでバッテリー式にしよう。というわけで完成だ。これをYNYD-GM-M1と名付ける。またはM1ライフル。
また、魔力を馬鹿みたいに喰うが強い、機関銃も作っておこう。この場合周期的に魔力を供給すればいいだけなので、改造は簡単である。YNYD-MGM-M1、M1マシンガンだ。
次に開発するのは、あるとないとでは戦争が大きく変わる航空機である。航空機は今まで山などに頼っていた高所からの攻撃をどこからでもできるようになる、素晴らしい発明だ。こいつを迎撃する効果的な手段は地対空ミサイルとレーダーが開発されるまで戦闘機だけであった。一応対空砲と対空機関砲という手段もあったが、333発に一発という低確率、もし一分間に160発発射できたとして射撃手が熟練だったとしても二分間撃ち続けてようやく命中という代物だ。ようは「あるだけマシだがそんな変わらん」ということだ。
航空機にはもちろんエンジンが必要だ。そのへんはこの世界でもちゃんとあり、魔導エンジンはPWRで優秀でなんなら元の世界より性能がいいかもしれない。だって冷却が必要ないもの。とりあえずこいつは冷却の必要がないから空力的に有利だろう。
設計はテーパー翼複葉機、羽布張りの可変ピッチプロペラの双発の4000hpで高アスペクト比のgoe462-ilである。つまり低速全振りだ。こいつをYNYD-AP-B1と名付ける。
もう一つは後退角35度のch10、単葉2000hpで二重反転プロペラを装備している。燃費は悪いが高速性能がいい。こいつはYNYD-AP-F/A1と名付ける。
武装はMGM-M1が4門、複葉機の方は爆装5000kgで銃座付き、単葉は250kgの銃座なし、急降下爆撃機兼戦闘機としての運用が想定されている。よし、あとはこいつらを量産するだけだ!
「お~い、できたぞ~」
「本当ですか!?」
「これが、遠距離だろうとだれが扱おうととりあえず撃てる武器、あれとそれが、自由に空を飛べ、生物じゃないからコストもそんなにかからない、航空機ってものだ。」
「なんと! これであの忌々しきワイバーンを倒すことができますね!」
「ワイバーン?」
「そうです。ワイバーン。彼らは空を飛ぶ生物で、魔王軍は開戦当初からこれに乗って攻撃をしかけてくる部隊がありました。しかし我々はそのような空を飛べるものを持っておりませんでしたので、ただ祈ることしかできませんでした。しかし、これがあれば我々は彼らに対抗できます!」
「よし、そうとあらば量産しろ! これはあくまでも機械だ。人員を投入すれば一気に製造できる。元の世界では機械を作るために機械が必要だったが、この世界では簡単に複製できる魔法陣で作れる。だから急げ! やつらが来る前にできるだけ装備を整えるんだ!」
「了解しました!」
そして僕が作った、後にYNYD系統、または山中系統と呼ばれる武器・科学技術がリバースエンジニアリングを通して一気に人間の間で広まったのである。
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