第46話西園寺家の式神
白い空間に出されたが……
何のためにここに呼ばれたかなんて……分からないが、恐らく切り札のためだろう。
身動きが取れるようになったけど……
周りを見渡すが、お母さんは居なくなっていた。
おそらく厄介だからだろう。
葵ちゃんは繋がれたまま……
どうしたものかと考えたその先に居たのは……
ウチが……何度か創ったことがあるような姿をした人がいた……
狐で白髪の少女……
美桜に似てるのは恐らく皮肉だろうが……
でも、こんな風に作るやつは一人しか知らない。
恐らく……
奴だろう。
だけど、あれは……式神なのか?
「……ん」
「葵ちゃん?!大丈夫?」
「逃げ……て……」
「なんで!!葵ちゃんを置いて逃げられるはずが……」
「巴さん!!」
ウチがそう言うと……
式神が既に後ろにいた。
だが、攻撃は通らない。絶対守護領域を張っているからだ。
しかし、気配でわかるのは短剣でこれを割ろうとしているということ。
やはり、この癖というのはよく分かる。
次はまた引きそして突っ込む。
それを何度も繰り返す……
愛莉ちゃんの癖だ。
それも真似をするというのもまた、腹が立つ。
「やはり、逆鱗に触れるようにしてると……クソだね。喋ってみなよ、クソ野郎」
「……」
ウチは目の前にいる式神に話しかけるが……やはり黙ってる。
流石に喋る機能は無いと……
「あいつの元につくのはやめな?多分死ぬよ」
「……」
まあ、それで揺らがないか。
どうせ、奴からすれば何も感じないことなんだろうか。
揺らがせること……
「そういえば……あんた、不憫だよね捨てられるんだって」
「……」
「黙りでいいよ?まあ、どうせここで死ぬことを求められてんだからこのまま死ねば……」
そう言うと攻撃の圧が強くなった。
ふふ……やはり単純で可愛い。
だけどまあ、殺すにしては惜しい。
だから……奴に作った理由とかを聞くか。
「巴さん……領域が……」
「ヒビ……か」
やはり、押し込みが強くなってるからか。
まあ、予想はしてた。
よし……やってみたかったことがあるからやるか……
「はっ!!」
「?!」
大きな声で怯んだその時……
ウチはそいつに蹴りを入れた。
勢いよく吹っ飛んだけど、すぐに体制を立て直す。
やはりしつこいか……
どうして立つのか……分からないなぁ……
でも……面白い!!
ウチはそう思いつつ、鳳凰を飛ばす。
鳳凰炎蘭。
ウチの鳳凰系最強の強さを誇るほどの威力がある……が……
それを避け、ウチに向かってきたから……やはり、ウチを狙ってるか。
ほんとに、ウチだけを追撃するようになってるという事ね。
流石……
やはり、式神というものを創る事に関しては奴らは右に出るものは居ないな。
まあ……しょうがない……少し手荒なことでもするしかないな。
「錦、桜花の理……恋情讃歌!!」
そう詠唱が終わると奴は、ウチに突っ込もうとし全身に赤い茨で貫かれ動けなくなる。
血が滴り落ちとてもむごいことになったが……しょうがないか。
だって、これはそう言う呪言でもあるのだから。
「巴さん……今の」
後ろから葵ちゃんの声がした。
脅威は去ったから、声を出せるようにはなったが……震えている。
当たり前だ、自分の大切な人があんなことをしたんだから震えてしまうのは当たり前だろう。
「呪言、呪いだね」
「あれは……使っちゃいけないはず……」
そうだよね……
怒りに狂いすぎて呪いに手を出してしまった……
やはり……悲しませてしまうから呪いは使えないか……
「ごめん……そうだよね……ごめんね……」
ウチは鎖に繋がれている葵ちゃんを抱きしめる。
どうにか外れないかと思うが……やはり無理か……でも、必ずウチが何とかするから……
だから大丈夫だよ。
「ううん……巴さんが無事ならそれで……」
「ふーん、退けちゃったんだぁ」
その声……蒼月か……
居なかった理由は恐らく、お母さんが退けていたから……
いや、それじゃあここにいるってことは……
「大丈夫大丈夫、君のお母さんは丁度僕が創った駒と戦ってるよ」
「駒……?」
「そうだよ、ここにある死体もそう。僕の駒だよ」
そう言うとやつは……式神を一瞬にして消した……
え?
どういう事だ……何をした……
「片付けただけだよ。あるべきとこに」
「……吸収」
「流石最高傑作。その通りさ」
「ですよね……」
どういうこと?吸収って……
物体自体をってこと?
「ううん、違う……物体じゃなくて……」
「霊力を吸収するのさ、このようにね。」
そう言うと、ウチが出した茨を物の見事に一瞬で消した……
これが吸収……か。
「ふふ……やはり素敵だ。その表情、素敵だよ。」
「死ね」
「ストレートに伝える……それも愛だね」
「……」
そういうのが嫌いなんだよ。
外道とも言える。
だからこそ、ウチはあいつが好かない。好くはずがない。
「……くだらない話はいい、質問に答えろ」
「なんだい?なんでも答えるよ?」
「ほんとに……腹が立つ、まあいい。質問は一つだ、なんで式神を創った」
「え?」
「お前、式神を創るなと言ったよなそれはどうした。」
忘れてるとは言わないだろうな。
もしや……こいつ、そんなものを創ったことすら覚えてないのか?
「あぁ……あったな、そんなもの。だが、それは無意味だよ。あれはもう……無かったことにした。」
「は?」
――――――――――――――――――――
一、式神を創ってはならない
一、式神は契約してはならない
一、式神は抹殺すべし
一、式神は神ではない
一、式神の掟を破らないよう記憶に刻む
【これを破ったもの、殲滅されること忘れることないよう】
――――――――――――――――――――
あんなものをウチたちに刻みつけたのに……あれを創った後死んだ神達を何度も見てきた。
それなのに、無かったことにすると?
ふざけるなよ……冗談じゃない……
消えろ……ほんとに……
なんでだ、なんで今になって……
「うーん、今になってって意味が分からないのだが……」
「こいつ……」
「まあ、ほんとに……いいんだけどさ、別にお前死んでも文句ないよね?」
いきなりだな……
まあ先手必勝という言葉がある。
どうせ、死なないなら……
「百花繚乱、桜風!!」
桜吹雪が吹きその空間は、血にまみれる。
ウチの力で特に最強だと思うんだけどね……まあ、死ぬはずもなく。
やはり絶対守護領域か……
「まあ、僕には無意味なんだけど。いけ!!」
式神が二体出て、ウチに突っ込んできた。
なるほど……これは……困ったな。
まあ、茨で死ぬなら……
「錦、桜花の理……」
そう、最後まで言おうとした時……
突然……
ぐさりと……下腹部を刺された……
「なっ……葵ちゃん……じゃない……」
「……」
「葵ちゃんの姿をした……式神……」
てことはここにはウチだけが転移してきた……ということになるか……
痛いな……
どうしよう……このまま……刺され続けると不味い……
とりあえず……
「消えろ!!」
と、瞬く間に消えた。
呪言は、言ってしまえば便利だけど……
呪いの力は負の感情を、使うから代償は大きい……
逆に、霊力は正の感情だからややこしいんだよね……って、刺した方は消えないのか……
「それじゃ……」
殺しづらい。
愛してる人なんて殺せない……
分かってる……けど……
「……」
「いっ……」
より深く刺してくるか……
ほんとに……これは、どうすればいいんだ……
「慈悲の雨……弥生……」
「ほお」
慈悲の雨……
文字通り、痛みを伴わず殺すことが出来る……
だから……不意を突かれるけど……それでも、いい。
しょうがないんだから、こればかりは。
はぁ……ほんとに……困ったな。
出血が酷すぎる……
「さて、僕を殺せるのかな?今の君は人と同じ状態……補給さえなければ死ぬ。さあ、どうする?」
そうだな……
それなら……ひとつしかないか。
お前を……食う……
「は?あがっ……」
「あんまり、美味しく、ないな」
奴の一部……右腕を食ったがあまり美味しくない。
つまらない……
もっと食べれば……
キズも塞がる……
もっと……
もっと……
もっと……!!
「やはり馬鹿だね。」
「は?」
「血にまみれて汚いな……まあ、良いが僕の偽物は美味しかったかい?」
目の前には、おそらく本物の西園寺蒼月が居た。
偽物……ね。騙されたわけか。
「不味かったよ……ものすごく」
傷口は塞がった。
でも、捕食するにはちと美味しくないな。
恐らく陰陽師だろう。西園寺家の。
だからだ。
「やるか?いや、補給は充分か」
「ええ、あなたもでしょ」
「ふっ、分かってるのなら言わなくてもいいんじゃないのかい?」
「そうね。」
そう言い目の前に転がってる死体を横切る。
血と臓物と……骨が散らばり……もう人かどうか分からないけれど……
これをウチが食ったものとは思えない……が……
ウチは奴に走り、向かう。
今度こそ……終わらせるために!!
「さあ、第2ラウンドと行こうか!!」
三章前編
完結
to be continued
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