第45話西園寺蒼月という呪い
凄まじいほどの爆発が西園寺家の家中に響いた。
恐らくこれでだいぶ怪しまれてしまうだろう。まあ、それでもいいさ。
ウチとしてはこんな家のヤツらがどうなったところで構わない。
信頼を失おうとも、信用を崩そうとも厭わない奴らのことなど……
いや、奴のことなどどうでも良いのだ。
実際、今のウチは今まで以上に……怒っている。
理由は明白……目の前の少女を攫ったあいつが許せないからだ!!
「おぉ、やはり君だね?澪」
「……」
はぁ、ほんとに聞きたくない。
奴の声だけは。というか、あいつを狙ってやったはずなんだけどな、どうして生きてるんだ?
それより、葵ちゃんは……葵ちゃんはどうなってるんだ……それが気がかりだ……
『巴さん!!私は無事だよ!!』
「……っ」
良かった……ほんとに……
こんな時に泣きそうになってしまうじゃないか……
「よそ見、してる暇があるのかなぁ!!閃光魔弾!!」
閃光のようにやってくる弾が来た。
ふーん、六発、ね。
今のうちにはそれがゆっくりにしか見えない。
閃光と言っても意味は無い。
閃光魔弾というものは、ウチには届かず虚しく消えていった。
今のウチの周りには結界のようなもの……
所謂、絶対守護領域が張ってある。
「なんでだ……いや、理由は明白か」
「今のウチには何も効かない」
「ふっ……神としての矜持というやつか、くだらん!!」
また閃光魔弾か、芸がないな!!
まあ、何かしようとしてるのは分かってるからそろそろ来るであろう人に頼むしかない……
「行って!!お母さん!!」
「分かってるよ!!」
そう言い、お母さん……こと、麻宵は閃光魔弾を全て奴に跳ね返した。
まさか、お母さんがやってくるだなんて思いもしなかったって顔してたからこれはほんとに想定外だったのだろう。
「葵ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫……だけど、お母さんって……まさか、カンナちゃんのその姿……」
「うん、そうだよ。あれが、ウチのお母さんなの」
葵ちゃんに自慢するように言ってしまった。
けれど、ほんとに……お母さんと一緒に戦えるってことがありがたいし嬉しい事だ。
「この鎖、葵ちゃんからは取れないようになってるな……」
「どういうこと?」
「霊力封じられてる、でしょ!!」
蒼月が何かしようとしたから、光弾を放つ。
やはり、聞いてる感じがしないから奴も守護領域持ちか……
まさかだが、それほど殺してきたとでも言うのか……
禁忌を手にするほどの力を手にするほど殺したということか……
ほんとにこいつはとんでもないやつだよ。
ありえないほどの外道だ。
「まさか、流れ弾が飛んでくるとは思わなかったけど……一番驚いたのは、カンナ、君だね」
「なんの事かな?」
しらばっくれる方がこいつ的には逆鱗に触れるのだろうがそんな事はどうでもいい。
ウチはただ、お前が死ねばそれでいいんだ。
ただ、その念に駆られてしまっている。
そんな気がする。
「そんなことより、聞きたいことがあるんだった」
聞きたいこと……?
何か聞かれても話さないようにするが……何かあるのだろうか。
問題というか、話さなければいけないことというか、話さなければ気が済まないのだろうな。
「なんだ?」
「ふっ、教えてやろう。その話の意味をな!!!」
七色の光に包まれていく……
もしかしてこれは……!!多重無双結界?!こんな大禁術をいとも簡単に……!!
やはりこいつは、生かしてはおけない!!
だけど!!
身動きが取れなくなっていく……
これがこの結界の性質……なの……か……
ウチは意識を手放してしまう。
悔しいと思いながら……
殺したいと思いながら……
ウチが最後に見たのは、奴が不敵に微笑む姿だった。
「やはり神ってばかだよなぁ。力を誇示してるからこそ自分たちが最強だと思っている。そうじゃない、なんて否定するやつらも多いだろう。しかし、現実はそうだった。神が溢れたあの時は自分たちの力を存分に振りまいて、俺達が差別に苦しんでいても何もしなかったんだから」
なんだ、なんの話をしているんだ?
最強だと思っていた……?
差別に苦しんでいても、何もしない……
これって、どっかで聞いたことあるような……
どこだっけな……
どこだっけ……
『人間のことすら見向きもしない神なんて辞めてしまえばいいのに』
そうか……お母さんか!!
お母さんがそんなことを近いような事を言っていた気がする……
でも、なんでそれを……
「だが、君たち二人は違った。神なのに僕達を差別するどころか、ちゃんと守ってくれたりしてほんとに……いい子だと思ったよ。どうしてそこまでしてくれるのか分からなかったけれど……でも、ほんとに嬉しかった……だけどね、それもすぐ終わりを迎えるんだよ。」
終わりを迎える……
それって、何かあったってこと……
あれ?
まって、これってなにか……似てるような……
「……めろ」
「なんか、変な声が聞こえたけど。まあ、続けてしまうと僕は死んだ。どこかの誰かのせいで死んでしまった。だからこそ、僕は君を許してない」
「やめろ!!」
お母さんが……必死になってやめろって……
見たこと無かったけれど……
止める理由……それは、この話に関係あるということか……
「やめてほしいのかい?この話が誰の話なのか澪に知って欲しくないからかい?理不尽な親心だねぇ」
「黙れ……呪い風情が」
「傷付くなぁ、何も出来ないくせに」
「……っ」
怒りに震えてることがよくわかる。
でも、ここは我慢だよ……
お願い……
そうしないと、何か嫌な予感がする……お母さんがもっと悲しむことになるかもしれないから……
「……澪、わかった」
「いい子だね、君のお母さんは」
「死ね」
「酷いなぁ、澪。そんなこと言うなんて」
というか……なんで馴れ馴れしく呼ぶんだ……
辞めてくれないかなそろそろ。
ほんとに殺したくなってしまう……
「へぇ、実の父に向かってそんなこと言うんだ。」
「…………は?」
え?意味がわからない……
どういうこと?何の話?
実の父って……
「僕は、君の父親………」
やめろ……
それ以上言うな……
やめてくれ……信じられ……
「うっそーん、嘘だよーん。この身体は君の父親の身体を真似してるだけだが人格は蒼月だよーん!!残念だったねぇぇ!!」
「ふざけるなよ……」
「ふざけてないさ、だってそれは本当にそうなんだからあと、君はこの身体に変えがあるとか思ったよね。その通りさ。この身体にはストックが沢山ある。西園寺家の周りには沢山配置されているから殺したとしても葵にも憑依出来るからほんとに便利だよねこれ。」
ふざけるなよ……
命を粗末に扱い……ウチのお父さんを侮辱するような真似……
万死に値する!!
「練り上げられた、凄まじいほどの神力が僕を睨んでいるね。でもさ、僕には意味が無い。それで朽ち果てるほど僕の身体はヤワじゃない。それに、秘密兵器だってある。その前に結局は僕は何者かと言えば……長くなるが……」
聞きたくない。
早く言え。
「怖いねぇ、それじゃあ言わせてもらおうか。僕は呪いだよ。予想通り、呪いの類であり実験という形で人の姿を失っても憑依という形で生きるのが……僕さ。」
「外道が……」
「葵にも言われたよ、そんなに僕外道かな」
外道だよ、外道すぎて呆れるよ。
でもね……
それ以上に……腹が立つ。
こんな奴が生き続けることに……
ほんとに腹が立つ……
「ふん、それでも結構。だけど……そろそろ飽きたから……切り札を見せるとしよう」
飽きたって……
自分が一方的に話していたくせに……
だが……
「切り札?なんだそれは」
「ふふ、さあなんだろうね」
茶化すか。
ほんとに腹が立つねぇ……
早く見せろよ呪いが……
「見くびるなよ、神。それでは見せてあげよう、僕の切り札を!!」
そう言うと、包んでいた闇が晴れ……
白い空間となった。
身動きが取れるようになったけど……
葵ちゃんは繋がれたまま……
どうしたものかと考えたその先に居たのは……
to be continued
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