第二十六話 美瑛町の青い池
『今日の北海道は快晴に恵まれ、絶好の皆既日食、観測日和になることでしょう』
「・・・・。」
え?
「な、なんだとーっ!今なんて言ったーっ!」
ホテルを出発しようと思って身支度を整えているとテレビからとんでもないニュースが聞こえてきたので、思わずベットにダイブして驚いてしまった。
「きょ、今日は、皆既日食が見られるだー?」
白フワちゃんの方へ目を向けるとケタケタと笑っていた。あの顔は絶対に知っていた顔だな。知ってて今日、青い池に行くように仕向けてたんだな。
「もしかして、白金に輝く双頭龍って皆既日食になった時に見られるものだったりする?」
「そうよ」
!!
やっぱり!
なんでそういうこと言ってくれないのー?
皆既日食というだけで神秘的な光景だというのに、それをさらに超える神秘現象が見られるということなのだろうか?
皆既日食になって暗闇が広がった時に、白金に輝く双頭龍なんて見れたら幻想的だろうなー。
でも、待てよ、白金色ってぶっちゃけ銀色ってことだよね?
銀色に輝く龍?
なんか、メタリック的な龍を想像してきたんですけど……。
それって美しいのだろうか?
こっちの世界の僕がコレクションしていた、メカキングギドラみたいな感じなのだろうか?
あんなのだったら幻想的というか……怖いかも……。
バチンっ!
「痛っ!」
なんで〜?
「コラーっ!お前また行きたくないかもって思ってんだろーっ!」
げ〜っ!またバレた〜っ!
◇ ◆
ドッザッザァァアアアアア〜〜ッ!!
「ぬっわぁ〜〜!すっごい迫力〜〜!!」
青い池を訪れる前に、青い池とともに訪れるべきスポットとして挙げられていた白ひげの滝を訪れたのだが、岩肌からとんでもない水量の水が流れ出ているので圧倒されてしまった。
ダムの放流かな?
岩の間から地下水が噴出していてそれが滝のようになっているとのことなのだが、じゃあこの量が地下を常時流れているってこと?
「ひゃ〜、桁違いの量だな〜!」
そして、これまた驚いたのが滝の下を流れている川の色にだ。海の青とも空の青とも違った、白濁感があるパステルブルーとでも表現するような綺麗なブルー色をしていた。
女性がファッションとして好みそうな、柔らかみのある淡い色のブルーだった。
こんな綺麗な淡い色のブルーなんて見たことないというのに、それが川として流れているんだからさらに驚いてしまう。
そして、その川に滝が打ち付けて、淡い色の水飛沫が上がっているのだから幻想すぎてたまらない。
ここは天国でしょうか?
「白フワちゃん、すっごい綺麗な光景なんだけど、これ以上の光景なの?」
バチンっ!
「痛っ!」
え〜?また〜?
「そうに決まってるでしょー、そう言って、まーた行かないようにしようとしてるなー!」
えー!ただ聞いただけなんですけど〜!
酷い!
なんか今日は機嫌悪いな〜?
「隼人様、なんで川が青い色しているのですか?」
僕が痛みで喘いでいるというのに、レンちゃんは呑気にそんな質問をぶつけてきた。
「うーん、なんか、観光案内には近くの温泉から流れる水にはアルミニウムが多く含まれていて、その水と美瑛川の澄んだ水が混ざり合うと微粒子が形成されて、その微粒子が太陽光を散乱させてこんな色になってるって書いてあったよ」
「そうなんですか〜、その微粒子さんのお陰で、こんな綺麗な青い色になっているんですねー」
「山下隼人よ。ここはもう十分堪能したぞ。早く青い池に連れて行け」
えー!もう?
いつもなら、綺麗な景色の前から離れたがらないというのに、珍しいこともあるんだな。
「早くしないと日食が始まってしまうぞ」
あー、そういうことね、急いでたから機嫌悪かったのね。
なんでも白金に輝く双頭龍は、青い池に現れるわけではなく皆既日食が観測される時間帯に美瑛川上空を旋回するのだとか。
え?
それって、その青い池に行かなくてもここにいれば見れるのでは?
バチンっ!
「痛っ!」
「誰か訳ありの人いるかもしれないだろー」
はいはい、そういうことですか、人が多いところに行けば、訳ありの人を見つけられる確率が高まるってことですね。
バチバチしないで、はっきり言ってくれればいいのに……。
◇ ◆
「え〜!何ここー?駐車場いっぱいなんですけどー!」
青い池の最寄りの駐車場に到着すると車の多さにビックリしてしまった。駐車場はほぼ満車状態。大型バスも何台も止まっている状態だった。
今日平日ですよね?今までの観光地と状況違くない?この人達どっから湧いて出てきたの?釧路湿原の時もこれくらいの人がいたら、ビビることなくサクサク進めたのに……。
皆んな、ミーハーだなー。定番スポットは押さえておきたいという感じなのだろうか。
運良く空いていた場所に車を停めると、大型バスから青い池に向かおうとする大勢の観光客が続々と降りてきていた。
「お前が早く起きないからだぞ!」
あー、そういうことー?
そっちで怒ってたんだー、それはごめんなさい……下調べ不足でした……。
甘んじて静電気攻撃受けさせていただきます。
降りて来る人達は皆んな期待に胸を弾ませているような表情をしていた。降りてくる人だけではなく、道ゆく人達全員から陽の気が感じられる。
うーん、これは、訳ありの人探すの大変かも。
カメラを手に持ち、白フワちゃんとレンちゃんを肩に乗せ、人々が歩いていく方向へ向かって行くとすぐに池は姿を現した。
最初はそれほど青い池という感じではなかったが、中央の方へ向かうにつれ色がどんどん濃くなっていくような感じだった。
「お〜、本当に淡い色した乳白色のブルーだー、綺麗だな〜!?」
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