「3,2,1…ゼロー!」都市伝説マニアなカウントダウン

冒険者たちのぽかぽか酒場

第1話 「ゼロ―!」なフルヤは、都市伝説マニアな良い男。「ダークパターン」とも、戦います。ゼロ―!

 都市伝説マニアに、カウントダウン。

 「買うなら今です! 3,2,1…」

 「今、○人の人があなたと同じ画面を見ています!お早めの購入を、オススメします! 3,2,1…」

 あせる。

 あせらせ買わせる方法とわかっていても、あせる。

 ネットショッピングに多い、「ダークパターン」という売り方だ。

 「初回無料」の言葉にまどわされ、 1回だけの購入のつもりだったのに何かが定期的に送られてきてしまうことも。

 「腹立つ…、解約だ!」

 といえ、実際には解約方法がわかりにくかったり。

 さらに困惑させられる、ウェブやアプリ。

 ただし、この売り方すべてが悪いわけでもなく法律では取りしまりにくい。

 企業のイメージ世界に引き込もうと、善意で商品をアピールしようとしている場合もあるからね。

 「 3,2,1…。カウントダウンは、爆発だぁ~!」

 情熱的で、あぶない。

 あぶないといえば、最近この町に広まっている都市伝説事件もあぶない。


 プルルルル…。

 はい、○○です。

 こんにちは…。

 どちら様でしょう?

  3,2,1…。

 あのう、どちら様でしょう?


 覚えのない相手から、カウントダウンがはじめられあせる、あせる。

 爆発か?

 …が、「ゼロ」と言われても何も起きず。

 この事件の真相を解くため、都市伝説マニアで爆発物の処理ができるフルヤという男が立ち上がった。

 「謎を、解いてやるかな…」

 例の電話が入ったのは、その晩だ。


 プルルルル…。

 はい、フルヤです。

 こんにちは…。

 どちら様です?

  3,2,1…。

 失礼ですが、どちら様です?

 ゼロー!

 ?

 今日も、知らない人としゃべれたぞー!

 ゼロー!

 もしもし、フルヤですが?

 やった、しゃべれた!

 ガチャ。ツー、ツー、ツー…。


 相手は、通話をぶった切り。

 新しい都市伝説は、無差別テロのように悲しい迷惑。

 「このできごとを皆に話すべきか、迷うな…」

 悩むフルヤだったが、悩む皆に、わかったことを教えようと決心。

 「…とまあ、それが、ゼロの電話の正体でした。本当にがんばれた世代にひどい扱いをして、今になって人材不足であわてているこの国の悲しい姿…。都市伝説とは、言いがたいですね」

 苦笑いの、フルヤ。

「あの電話の相手は、知らない人と話す練習をしていた」

 それだけは、言えそうにない。

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