第17話・終わりは悲惨な事件への入り口
黒枝由樹と同級生の1人、安田静香の両親は一人娘を失ったショックで精神的にも、誰かの手助けがないと何もかも出来なくなっていた為、監視付きの精神病院へ入った。もう一人の同級生、櫻井貴美香の両親の方も一人娘を失ったショックで精神的にも、この苛立ちが解消されないままでいた。
ある日の朝、貴美香の父親・大輝は、妻・みどりに「タバコを買ってくる」と告げ‥‥家を後にした。
その言葉を聞いたみどりは、何かを察し大輝の言葉への返答に『分かりました。』と告げ、
大輝の言葉を胸に、娘の仏壇前で手を合わせ『ママ、ちょっと出かけてきますね。貴美ちゃん留守番頼んで良い?』と言いながら娘の写真に微笑みながら頷いた。
みどりもまた何かの決断をしたのだ、終止符を打つ為に…。
GWでもあり大勢の人だかりで、前に進むのも大変なのにも関わらず大輝の目に入ったのが黒枝瞳だった、彼女の笑顔を目の当たりにした大輝は"クッ"と身体全身に力が入れ、通りがかりと見せかけて瞳にナイフを向けた、瞳と一緒に居た孝志は大輝の顔には見覚えがあった事のあり、瞳が危険と察して咄嗟に瞳を前側から抱きしめるような感じで瞳を守ったのだ。
何が起きたのか瞳は、何が何だか理解するのに時間がかかったような気がしていた、「え?何?お父さん?いきなりどうしたの?…ねぇ~お父さん?」と瞳の声に父は『大丈夫、お前は生きなきゃ‥ダメなんだ…生きながら....』と言いながら地面に崩れ落ちた、瞳の服が父親の血で染っている事に気づいた瞳は、動転しながらも叫び続けていた「ねぇ〜お父さん?お父さん?大丈夫?ねぇ~…何か喋ってよ!」と言う瞳の声と、そこら中に居た人達の悲鳴とが混ざりながらザワザワしている中をススリ抜ける、一点しか目に入っていないみどりが、瞳の背後からナイフを向けた。
周囲には冷静な人など誰も居なく、みどりの行動を止める人は居なかった。みどりの姿すら目に入っていなかった大輝だったが、気が済むまで孝志にナイフを向けていた大輝の耳に懐かしくもある娘の声と妻の声とが重なり合い、みどりの『お父さん、一緒に帰ろうか?貴美ちゃんがお家で一人だから⋯』と言った言葉に頷き、「そうだな、あの子が寂しがっている。」と大輝がみどりと手を繋いで、もう片手にはナイフを持ち大輝が、立ち上がって家の方向に向き直した時に警察官の優しいそうな声で大輝とみどりは、警察官に向かって【ご苦労様です。お世話になります。】と言い軽くお辞儀をした。
・父親・黒枝孝志(42歳)、娘・黒枝瞳(20歳)‥‥刺殺。
・貴美香の父親・ 櫻井大輝・母親・みどり‥‥考志、瞳を刺殺した為‥‥逮捕。
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