第12話・ただ・・・
A子【由樹君ってどんな子が好きなのかな?】
B子【全員に言っとくけどさぁ~、リーダーの許可無しでの告白はNGだから気を付けてよ~】
C子【裏切ったら、どう成るか知ってるよね?】
リーダーと言われている、櫻井貴美香は【大袈裟な〜そんな事言われたら怖くて素直に好きって言えなくなるよね〜。でも、由樹君の情報は、逐一報告する事だけ守ってくれれば、後は自由で良いわよ】とニコニコしながらファンクラブの会員たちに伝えていた。
そんな話を聞いた瞳の頭に、いい考えがひらめいたかのように先輩たちに笑顔で「さようなら」と伝えて家路に着いた。
あれから数日たった放課後、ファンクラブのリーダーと言い張っていた櫻井先輩に出くわした風に見せかけて待ち伏せしていたのだ。
「先輩…。さようなら。」と言いながらすれ違った後、先輩に初めて声をかけてみた、「櫻井先輩って私の兄の事大好きなんですよね?」そう言われた先輩は瞳の方に向き直しながら『あなたは、もしかして…』と言われた後、すぐに「そうです、そのもしかしてです。」と微笑みながら先輩に向かって伝え、その言葉に続くように、瞳は先輩に話しかけた「先輩、兄の事を好きになってくださり、ありがとうございます。妹ととして嬉しい限りです‥‥私、実は櫻井先輩の事とても尊敬してて、そんな先輩が自慢の兄の事を好きだって知ったとき、”鳥肌”がたつほど、嬉しかったのを今でも覚えてるくらいなんですよ」と言いながら、瞳は心の奥底に居るもう1人の自分....作り上げたもう一人の瞳が(良いものみーつけた)と呟いていた。
少し間を置いて、瞳が先輩に「先輩、私を先輩の見方に付けませんか?」その言葉に先輩は『え?』と少し驚いた表情をして、マジマジと瞳を見つめてきた。
そんな先輩を見ながら瞳は話を続けた「だって、私を先輩の見方に付ければ、自然と大好きな兄にも近づける訳だから・・・」続けて「何なら、私を先輩の友達にしてくれたら、自然と黒枝家に入れるという事は、ほぼ毎日でも兄の留守の間だけでも、大好きな人の部屋に入れるなんて幸せだと思いませんか?....もしかしたら、先輩が兄にとって一番大切な人に成れるかもしれない?かも?…なんちゃって....別に、嫌なら良いんですけどね」と先輩を煽るように、先輩には背を向けた状態で言った後 改めて先輩の方へ向きなおした瞳の目に映った櫻井先輩は、満更でも無い感じだった姿を見たもう一人の瞳が”lock-on”と瞳に囁いた。
瞳は微笑みながら『この事?に関しては皆には内緒でお願いしますね。誰かに言っちゃうと何が起こるんだろうね、セ・ン・パ・イ。」と言った瞳の言葉に、少し?いや…かなり先輩は脅えていた【この子、何を企んでいるの?】と思ってしまったが、今更 契約を解約したいなんて言ったら何されるか分からないと頭によぎってしまった為、何も言う事は出来なかった。
それからは、自然と親友という設定で、瞳は先輩と接するようになっていた。
ファンクラブの皆にも瞳の事を紹介した『私の親友を紹介しとくね、瞳ちゃんです。仲良くしてあげて私にとって"大切な存在"だから、彼女に何かする人はいないとは思うけど…ここまで言えばピンと来ると思うよね。よろしくね。』その言葉に素直に頷けない子が居た。
その子の名前は、”安田静香”、貴美香の幼馴染だ。
安田先輩の空気が一瞬にして固まった事を瞳は見逃さなかった(なるほどね、そう言う事か.....)と瞳は感じ取った。
(使えるかもしれない)とも思い、少しずつ瞳の計画は出来上がっていった。
瞳が…いや、瞳の中に生まれてしまったもう一人の瞳の存在が、変な事を考えている事を昔から勘が良い由樹は、(止めないと瞳が…瞳の人生が崩れてしまう。)と思っていた。
人を人と思ってはいなかった心の奥底い居座っている瞳は、徐々に自分にとって”敵”と思って来た人達に牙を向け始めていた、瞳が計画していた事を徐々に実行する為の下処理をし始めたのだ。
瞳は、ある日の放課後に安田先輩がいつも通っていると言う、ピアノ教室の場所でレッスンが終わるのを待っていた。
偶然を装い声をかけた、「あっ!安田先輩じゃないですか?…え?安田先輩ってピアノ習っているんですか?…すご~い!!」と目をキラキラしながら瞳は話しかけた。
先輩の方は、一番会いたく無かった人と心の中で思ってはいたが、そんな素振りはせずに瞳に接していた、そんな先輩の顔色を見た瞳は勘づいた。
にっこと微笑みを浮かべながら、瞳は先輩に言葉を次々と投げかけていった。
「安田先輩に相談があって〜、めちゃくちゃ困ってる事があって〜…
安田先輩って~櫻井貴美香先輩と、とても仲が良いって言うか幼馴染じゃないですかぁ~、櫻井先輩がすごい勢いで私に言い寄って来て、私の兄が"黒枝由樹"だからって、兄に近づきたいからって、私と友達になりたいって、どう思います?
それも皆には"内緒"だなんて、だから安田先輩も今日聞いた事は内緒にして下さいねぇ~この事、安田先輩に言ったなんて知られたら私、櫻井先輩に何されるか分からないから…だって、櫻井先輩…静香には知られたく無いから…って言ってたから、その言葉に込めた櫻井先輩の意は分からないんですけどねぇ~」と言葉を並べながら安田先輩の様子をうかがっていた。
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