第13話・幼なじみ
櫻井家と安田家と言うのは、貴美香と静香がまだ赤ちゃんの時から家族ぐるみで仲が良く、どんな時も常に二人は一緒に居たのだ、静香は引っ込み思案で男の子からのイジメの対象になったいた時も貴美香が静香をずっと守ってきた。
その時に二人だけでの約束を交わしたらしい【私達の間にはウソは無く、何でも話す事!だから、また何かされたら必ず私に言う事!気を使わない事!この事は絶対だよ!】と貴美香が静香へ言ってくれた言葉だった、静香はいつもその言葉を心にそっと閉まっていたから今まで頑張って来れていたのだ。
瞳は「二人の間にはウソ付かない約束なんかしてたり?してたんですか?」と、何にも私は知らないんですけどねぇ〜みたいな空気で安田先輩に伝えた。その言葉を聞き、きーちゃん(貴美香のあだ名)に裏切られたような気持ちで苦しくなり、その姿を見て瞳は、薄っすら微笑んだ。
安田先輩は、きーちゃんの事で頭の中がいっぱいだった為、瞳がほほ笑んだ姿は目に入らなかった。
静香と貴美香だけ…二人だけが知っている事、そのきーちゃんが今まで静香に言ってきた言葉、全てが静香にとってきーちゃんとの絆で結ばれていた感じで、私だけの宝物の様で嬉しかったのだ。でも、そう思っていたのは自分だけだった事かぁ・・・と静香は変な風に考え始めていた、ドンドン気が変になり始めながらフツフツ怒りに似た感情までもが生まれて来た。そんな姿を見た瞳は、(第一クリア?かしら)と思いながら心の奥底のもう一人の瞳が、(ニヤリ)とした。
次の日の放課後、静香は貴美香を学校の裏門に呼んだ。
それから、後輩の黒枝瞳に言われた事をそのまま貴美香に伝えた、それを聞いた貴美香の頭の中にもう静香の言葉は入って来ず、只々、瞳の裏切りに対して自分の何かが爆発しかけようとしていた、静香の言葉に貴美香の言葉が重なるように貴美香は静かに優しく伝えた。「今夜、どんなに遅く成っても、しーちゃん(静香のあだ名)の家に行くから、待っててほしい…お願い。」そうお願いした。
静香は、微笑む貴美香の笑顔に『うん。』と頷いた。
その姿を確認した貴美香は自転車をぶっ飛ばして、黒枝家へと…着いて直ぐに瞳の部屋へ行った。
瞳を見ると同時に貴美香は言葉を発した『瞳!あんた、私を裏切ったね!あんだけ私を脅かす感じで言い寄って来たあんたが裏切るなんて最低よ!』
先輩が発した言葉にちょっと引いていた「先輩〜脅かす?誰が誰ですか?…ワタシ?、一回も先輩を脅かした覚えは無いですよ?ただ、私と友達になれば自ずと兄に会えますよって言っただけですよ。その言葉を"脅かされた"って受け止めたのは先輩の方じゃないですか?違います?」と言われ、先輩は何も言えなくなり何となく言い包められた感はあったが、納得してしまった。
この口喧嘩を秘かに聞き耳を立てていた人間が居た。
廊下まで響いていたかの様に見せかけ、由樹が『何々、どうしたの?廊下まで響てたよ?』と言いながら瞳の部屋に入ってきた。
その由樹の姿を見ただけでも貴美香は一気に緊張していった。
その緊張していた櫻井を見た由樹が、「あれ?櫻井貴美香じゃん?」と言い、続けて「あっ!櫻井?妹と友達に成ってくれて、ありがとうね」と言葉を繋げた。
「うちの妹、他人と友達になる方法?みたいなの、考え過ぎちゃって空回りするタイプだから、いつもハラハラしちゃうんだよね~でも、櫻井が瞳の友達に成ってくれるなら安心だね」硬直している櫻井を見るなり、由樹の遊び心に火が付き「ありがとねっ貴美香っ!」と櫻井の頭をポンポンしながら言う由樹の言葉と仕草に舞い上がり『今日は、失礼します。』とだけ言って黒枝家を後にした。
きーちゃんを待ちながら時間が経てば経つほど、静香はきーちゃんの事をあの女に取られるんじゃないかと思うだけで、怒りに似た何かが膨らみ始めていた。
貴美香は、静香に”遅くなっても行くから”と約束をした事を思い出し急いで静香の家に自転車を走らせた。家に着きなりお母さんから『今日のあの子、いつもと違うのよ、悩みがあるかもしれないから聞いてあげて、喜美ちゃんが聞けば話すと思うから...ごめんね、こんな大事な事 喜美ちゃんに頼んだりして。』と静香の母親に言われて、ドキドキしながらしーちゃんの部屋へ向かった。
「ごめんね、遅くなって…」と静香に言いながら部屋に入ると、少し間があったが漫勉な笑顔で貴美香を見た静香の頬には涙を流した跡があった。
その頬を見た貴美香は、かなりビックリしてゆっくりと静香に近づいて行った。
涙を流しながら静香はそっと立ち上がり『すっごく待ってたよ。きーちゃんは私だけにモノ。きーちゃんは?静香の事どれくらい大事?』と言いながら、貴美香に近づいた時…貴美香はお腹の辺りに生温かいモノを感じて、ゆっくり静香から離れ自分のお腹の辺りに目をやった。その時に着ていた貴美香の服の色が濃い茶系だったが、その上でも分かるくらい赤くで染まっていくのが分かった。
貴美香が「なんで?」と静香に言った後に静香が言葉を続けた、『なんで?きーちゃんが悪いんじゃない?静香から瞳に乗り移ろうとしたからよ!知らない!なんて言わせないわよ、きーちゃんが二人だけの秘密って言ってくれた言葉を何故、あの女!瞳を知っているの?ずるいよ…きーちゃん、悪い事したらお仕置きしないといけないって知ってた?』と言いながら、静香は何度も何度も貴美香を刺しまくり、静香の顔も、身体も貴美香の血で染まり『大丈夫…きーちゃん一人にはさせないよ、だって私たちいつも一緒でしょ?一緒だったじゃない?だから…』と言いながら、自分で自分の首にナイフを当てた。
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