第8話・もう、戻れない・・・

直ぐに『あっ!真紀っ!真紀〜真紀、居るの?…返事をしてくれないか?』と言いながら、やけにリビングだけが明るく見えてゆっくり戸を開けてみた、リビングに有るはずの家具とかは全くなくて、ど真ん中にポツリと置かれている、人間一人、入れるぐらいの箱がキレイに包装された状態で、真紀の好きな色…赤いリボンで飾られていた。

その箱の上にだけ電気が付けられていて、ゆっくり近づいて行った時に考志の目に入ったのは、一枚のメッセージカードだった。


そこに、書かれている内容が


【考志くんへ…真紀の事、あげる…もう要らない】


と書かれていた。

そのカードに触れた時、考志は感じた『暖かい?…まだ、インクが乾いて無い…?さっき書いたもの?』と思っていると箱の中から何か音がしたような気がした、ドキドキしながら開けてみたら、そこには真っ赤なワンピースに着飾った真紀が入っていた。

考志が『真紀・・・真紀・・』と言いながら、自分の方へ真紀を引き寄せた…その時、真紀の手首と足首に目をやった…(何かに縛られていた跡?なのか?)と思い、『真紀、お母さん達は?‥何で、真紀がこんな状態に?…何があった?それとも、何かされたのか?』と真紀だけに聞こえる声で真紀に聞いてみた。

真紀は「もう、ココには誰も居ない…お母さんが私の為にあの男と…」と言いながら涙を流しながら真紀は何処か安心したかのように眠ってしまった。


直ぐに、考志は家に電話をした今の状況や状態をちょっと早口にながら喋り、涙を流していた。考志が動揺している事も、全て抱えて終わった事も考志の母親は、全てを感じ取っていた。

友里は、忍さんに言われたように直ぐ警察へ連絡をした、直ぐに、真紀は病院に運ばれた。

真紀が救急車に入りかけた一瞬、考志は誰かの視線を感じた、目をやるとそこには誰も居らず、木の枝だけが揺れていた。


病院に運ばれて分かった事...知りたく無かった現実がそこにはあった。


‥‥

新一郎は、真紀を見る目が徐々に女として見るようになっていた…

最初は忍が真紀を守るように、傍に置くようにしていたが、一瞬の隙を狙って乱暴をするように成っていた。

何度も何度も、気が済むまで乱暴しまくり、逃げては殴られ押さえつけられた。

最終的には、真紀の動きを一ミリも動かせられないように頑丈なロープを使い、手首は大黒柱に縛り、両足は股を広げた状態でそれぞれを動かないように縛り上げていた、逃げようとしたら『お前の大好きな忍さんがどうなっても良いのか?』と性行為をしながら真紀の耳元で囁かれ、【それだけは・・・】と思った真紀は、新一郎のヤルがままを受け入れるしかなかった。


その行為を止めに入った忍が、逆に標的にされた事もある、忍にとっては真紀はある種、もう一人の娘として自分の心に締まっていた”存在”と重ね合わせていたのかも知れない。直ぐに、真紀を病院へ連れて行き処理をしてもらった…病院側から【今回は、大丈夫でしたがこのままその人と一緒に生活するのは危険です。】と言われ、忍は決意をした。(新一郎と二人でどこかへ行くしかない...)とその事を真紀に伝えた「これは別れでは無い、少しの間ちょっと離れるだけ。何も心配ない、私を信じて…」と告げた。

その言葉を聞いた時、真紀は、『忍さんは大丈夫?忍さんも危ないんじゃない?あの男は危険すぎる!…』そう真紀は忍に強い口調で言ったが…

「大丈夫、あの人は、私が居れば何もしない人だから…」と言い、”うん”と強めに頷いて見せた。

真紀と一旦家に帰り、真紀を部屋へ行かせた。

新一郎が帰って来て直ぐ忍が提案した。「新一郎?突然だけど…私もう飽きちゃった、あの子と一緒に暮らすの…私、新ちゃんと二人で…二人だけで暮らしたいの…」と伝えた。新一郎は、自分の事を”新ちゃん”と呼んでくれた事に浮かれていた。

ニヤニヤしながら『そうだなっ』と満更でも無い反応に忍は(もう一押し)と思いながら「二人きりなら~」と言いながら舌と舌を絡ませた…今からでも行こうという感じに成っていたが、「明日の夕方はどう?良い?」「近所の人からも変に思われない時刻の方が良いと思うの」と言った言葉に簡単に新一郎は簡単にokを出した。

もう一つ、忍のお願いを伝えた。「真紀をキレイ着飾ってあげたいの、殺しはしないわよ、ただ置いて行くのはイヤ…あの子”も”一応私の娘だから、考志くんが真紀を探しにこの家に来るはず、親の勘みたいなもんだけどね…」と”クスッ”と笑った。


全てを受け入れ頷いて『分かった』という返事に、忍はホッとした。


‥‥

色んな経験がある忍にとっては真紀も実の子と同じ様に大切だった為、忍は離れていても真紀の事は気になっていた、真紀を傷つけた新一郎の事は忘れてなかった。

毎晩、毎日、24時間ずーと忍の頭の中に浮かんでは消えての繰り返しで、時には頭が凄く痛くなる程の日が続いていた為、病院にも行ったが原因不明だった。


そんな中”ふと頭に浮かんだ事があった”忍は、自分の頭の中で呟いてみた…【誰?】その問いに反応があった。その反応で私を悩ましているモノが何なのかが分かった…


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