第22話 追記
「プログラムをもう一度見せていただけませんか?」
「ええ。もちろんです。話を通しますのでこちらへ」
江神さんと共に内階段に向かう。プログラムが確認できる部屋は2階と3階の間、トラ型のガーディアンが守っていた場所だ。
「どうぞ。改変不可で閲覧だけになりますが」
「もちろん」
プログラムが書かれたウィンドウをクリックしてよく見えるように拡大した。俺が先ほど書き換えた状態から、明らかに内容が変わっている。プログラム上にコメントが多く残されているが、見たところ人間が変更したものではない。
「AIがコードを書き足してる……」
俺が消したターゲットの隣に書かれていた文字。それはローマ字で記された池戸 禄弥の名前だった。確かに俺が消したコードも残っている。でもその下に行が追加されていて、よく読み解けば、ヒト型のガーディアンにだけターゲットを別で設定し直しているようだった。
「だからか……」
「何かわかりましたか?」
「他のガーディアンは俺の変更を反映したら池戸さんを狙わなくなったのに、結局彼に攻撃したのはヒト型のガーディアンでした。俺がプログラムを変えた後に、セキュリティAIがプログラムをさらに変更していたようです」
「ヒト型のガーディアンが、池戸を襲うように……?」
「それもありますが……」
ガーディアンの言葉を思い出す。
”木乃香を殺人犯にさせるわけにはいかない。”
「池戸さんを恨んでいたのは、AI製造者の夕美さんだけではなく、娘の木乃香さんも同様でした。夕美さんは先にこの世を去ってしまい。その手で復讐を果たすことができない。池戸さんからだけでなく、手を汚す罪からも娘を守りたかったんです」
「なるほど……興味深いですね」
「おそらくですが、ターゲットが書き換えられたらヒト型のガーディアンだけは目的を見失わないように命令されているのでしょう。あの時間だけでは見つけられませんでしたが」
「これからあのガーディアンの解析を行います。いずれは明らかになることでしょう」
「それもそうですね」
俺はもう一度モニターに目をやる。ヘビ型のガーディアンの視界ではなく、4階の監視カメラの映像が映し出されていて、木乃香さんが警察と一緒に移動しているところだった。
「彼女はどうなるんですか?」
「少し話を聞くだけです。もし何かしらの罪を負うとしても、差形隊員の状態次第ですね。まあ彼女は——」
「江神せんぱぁぁぁああいいいい!!!」
突然大声が響き渡る。木乃香さんの話を遮り入ってきたのは身体に布を巻きつけた女性だった。
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