第3話 評価ゼロの落ちこぼれ、成果を示す

翌朝――。


「篠宮、昨日またソロで潜ったって? 無謀にもほどがあるだろ」


ホームルーム前、クラスメイトの榊が苦笑混じりに声をかけてきた。


「死ななかったからいいだろ」


「いやいや、魔法使えないんだし、無茶すんなって。ほんと、探索者コースにいる意味あんのかよ……」


やっぱり、まだ“そういう目”で見られてる。

魔法適性ゼロの俺に向けられる視線は、いつだって冷たい。


だが――昨日とは違う。

“結果”を残した今、俺の中には確かな自信があった。


《OZからの提案:昨日の戦闘ログをまとめ、教師へのレポートとして提出を。公式な戦績報告が評価への第一歩となります》


「ああ、わかってる。仕込みは済んでる」


俺はスマホを取り出し、探索者管理アプリに戦闘ログをアップロードした。

ドローンのカメラ映像、OZの解析、撃破時刻、敵の種別、そして――共闘相手の記録も。


「さて、どんな顔されるかね」



数時間後、職員室に呼び出された。


「篠宮。これは本当か?」


探索者育成コース主任の冬木先生が、目を見開いたまま俺の提出したログを見つめていた。


「間違いありません。セナと共闘して、最奥の変異体を討伐しました」


「氷室セナと……?」


驚きと困惑が交じったような空気。


「彼女の方から攻撃ログの照合も確認済みです。公式記録として残してください」


俺は淡々とそう伝えた。

魔法は使えなくても、証拠と数字が物を言う世界だ。これこそ、俺の“やり方”だ。


「……お前、いつの間にそんな機材を。しかもこのAI……軍用クラスじゃないのか?」


「祖父の遺産です」


「……まったく、イレギュラーだな。だが、成果は否定できん。今回の件は、正式に評価対象として処理する。よくやったな」


「ありがとうございます」


ようやく、俺はスタートラインに立てた。



放課後。


帰り支度をしていた俺の元へ、見慣れた白銀の髪が近づいてきた。


「アンタ、教師たちに報告したの? 昨日のこと」


「まぁな。お前の分も記録に入ってる。勝手に出して悪い」


「別にいいけど。……たださ」


セナはジッと俺の目を見た。


「私、アンタのやり方――少しだけ、面白いって思ったわ。ドローンにAIにレーザーとか、反則くさいけど、だからこそ……見てみたくなる」


「何を?」


「その“異端”が、どこまでやれるのかってこと」


その言葉に、少しだけ俺の胸が熱くなった。

ずっと、笑われるだけだった力を、誰かが「面白い」と言ってくれた。


「いいね。だったら次も見せてやるよ。俺の“科学”の力を」


「言ったな? じゃあ手加減しないから」


そう言って笑うセナの顔は、昨日よりも少し柔らかく見えた。


――魔法がすべての世界で、科学を信じる“異端”。


まだ何者でもない俺だけど、少しずつ――世界が動き始めている気がした。


次なる挑戦が、すでに待っている。



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