高性能な対話型AI〈ノッカー〉が各人に付随する近未来社会。主人公のトーシキもまた、〈ノッカー〉に何でも、時にはごく些細なことまで尋ねる日常を送っていました。
そんなある日、友人のマウロから誘われたのは、古き良き時代の最新VRMMORPG。トーシキはいつものように〈ノッカー〉に相談し、軽い気持ちでその世界に飛び込みます。
彼に与えられたジョブは「国王」。膨大な選択肢に最初は面倒さを感じつつも、それすらもAIに任せればいいと楽観的でした。しかし、ある出来事をきっかけに、これまでのAIとの関係に疑問を抱くようになります。
トーシキが最後に選んだAIとの関係のあり方は、深く考えさせられるもので、読む人によって賛否が分かれるかもしれません。それでも私は、一個人の感想として強い納得感を覚えました。
一見よくあるVRMMORPG作品の顔をしていますが、その実、AIに依存する未来に対する鋭い問いかけが込められており、非常に示唆に富んだ秀逸な一作です。