第4話

幸繁はすることがないために惰眠をむさぼっていた。

思ってみれば仕事をしている時は休んでいる暇などなかった。

幸繁の仕事は政治家に意見を求められた時に答えるのが仕事だ。

その為には常に情報を仕入れ考えをまとめる必要があった。

休日でも雇用主である政治家に呼び出されれば駆けつけたりと激務だったと言えるだろう。

「う~ん・・・。今頃、地球はどうなってるんだろうな」

考えても仕方のないことだとはわかっているが気になるのだから仕方ない。

すぐに戦争という状況ではなかったが、人口が増え食料の奪い合いに近い形となっていた。

日本は食料を海外に頼っている面がある為、確保できなければ国民が飢えてしまう。

これは政府が一次産業を保護してこなかったのも原因の1つだ。

安く仕入れられるなら当然そちらの方がいいのは間違いない。

しかし、海外の国々も考えることは同じであり奪い合いになるのは当たり前だった。

政府が危機感を持って保護をはじめた頃には、既に手遅れだったのだ。

一次産業は単純作業に見えて想像以上に辛い仕事なのだ。

体力はいるし専門的な知識も必要になってくる。

現役の農家や家畜の飼養業者などは自分の仕事で手一杯で仕事を教えられる人数にも限りがあった。

無謀にも知識なしで挑んで失敗する若者も後を絶たなかった。

政府としては出来る限りサポートをしたいところだが、支援するにしても国民を納得させる必要がある。

食料危機を脱するために生産力を上げる。

言うのは簡単だが実行するには難易度が高った。

そして、今回の件に繋がるのだ。

死刑囚は存在しているだけで物資を消耗する。

それは間違いないが、彼等は生きている人間だ。

こんな扱い方をされていいはずがない。

宇宙に1人で放り出されればほとんどの者が適応できずに死ぬだろう。

これでは死刑執行と変わらない。

むしろ、死刑執行より酷いのかもしれない。

1人で過ごすというのは心を病むのだ。

人というのは他の人と会話をすることで心を保っている部分がある。

それは死刑囚でも変わらない。

他の死刑囚と会話をすることはできないが看守と接することで1日に何度かコミュニケーションを取ることになる。

それだけでも精神的にはかなり違うのだ。

こんなことを考えている自分自身も精神的に参っているのかもしれない。

自覚があるだけまだましだが、何とか解決策を考える必要がありそうだ。

他の追放者と出会えれば一気に解決しそうではあるが、この広い宇宙で巡り合うのは不可能に近いだろう。

もし出会えても相手によっては自分自身が危険に晒される可能性もある。

彼等は死刑を宣告されるほどの相手なのだから・・・。

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