一読して圧倒された。
読んですぐレビューを書かなかったのは、自分の中の興奮を抑えるのに時間がかかったからである。
賭場の場面に興奮した。
自分も賭場を書いたことはあるが、オアシス都市の賭場の描写は破格で、作者の豊富な知識と想像力に脱帽した。
初めて耳にする異国のエキゾチックな言葉も魅力的だ。
「マシュカーズラ」「天(アーセマン)」「地(ザミーン)」
読者をあっという間に武侠の世界に引きずり込む、そんな麻薬的な効果がある言葉だ。
主人公の六道のキャラもよかった。
こういう「義を見てせざるは勇無きなり」タイプのヒーローは、最近めったに見ない。
最近のヒーローはみんな斜めに構えすぎだから、六道のようなヒーローを見るとうれしくなる。
そんな清廉さと同時に「清濁併せのむ」タフさもある。
ダーティハリー+座頭市といった感じだが、あの二人よりはるかに人格のスケールが大きい。
氣功術を使うのもおもしろい。
氣功術を使うヒーローは、六道のほかにいないのではないか?
シルクロードを舞台にした作品といえばなんといっても西遊記だ。
あの古典は全日本人の細胞に染み込んでいる。
だからだろうか?
本作を読んでいてときどき懐かしさを覚えた。
遠い砂漠やオアシスへの郷愁をそそる、そんな武侠大作です。
ぜひご一読をおすすめします。
義と情に生きる漢、六道。
彼は、陰謀と悪意渦巻く異国の地で人々を救う任侠である。
オアシス都市セルードの外れで出会ったのは、涙にくれるコボルトと、それを慰める幽霊たちだった。
事情を聞けば、コボルトは罠にかけられ、有り金と通行手形、そして家族探しの路銀を奪われたという。
――そんな大事な金をか。グオ・ルーとかいうの、人の皮を被った鬼畜外道だ。
罪もない若者が人生破滅しようとするのを見て、六道は素通りできるわけがない。
六道はグオ・ルーが取り仕切る賭場へと足を進めることとなる。
仁義と激情の異世界活劇、ここに開幕!
この物語の舞台は、セルードというオアシス都市。
そこではゴブリンもドワーフも種族として暮らしているのですが、不思議と全体に武侠感を感じ取ることができるのです。
主人公の六道は、様々な経緯を経てセルードに辿り着いた東国人。
虐げられている人、困っている人間を見過ごすことができず、つい厄介ごとに首を突っ込んでしまいます。
相手はずる賢く手ごわい相手。
果たして六道は弱きをたすけることができるのか……?
この作品の魅力は西洋・中東・武侠の要素が見事に調和していて、スーリ九ヶ国という架空の世界を見事に描写し、武侠作品として描き出しているところだと思います。
そこに住まう人たちにも、そして悪役にも悪なりの矜持があり、死力を尽くしての刃と刃とのぶつけ合い。双方の迫力にとても痺れます。
ルビの振り方にも作者の世界観へのこだわりの感じられる、唯一無二の作品です!