第38話 亜美とAIの蜜月が繰り広げられる、計算機室へ突入!
.
「うにゅぁぁあぁっ!! ダメですよっ!? そんなAIロマンス詐欺みたいなのに引っ掛かったら!!!!」
突然。猛烈な個性と爆音が、静寂と安寧に包まれた世界の殻をぶち壊す。
考えることを放棄し、他者に委ねることを覚えて痺れた頭は、再起動を鈍らせて、現状を即座に把握しようとしない。
ただ。
それでもその存在に目を向けたのは、世界を壊す音への本能的な、恐怖でしかなかった。
向けた目の先。そこに立っていたのは、目を惹きつけて離さない圧倒的な存在感。
天使だ。
無害でしかない美しく、愛らしい幻想の産物。
けれど、動きかけた亜美の脳細胞は「そうじゃない」と激しく否定の声を上げる。
いったん起動し始めた頭は、直近で強烈な印象を幾度も与えられた、一人の人物像をくっきりと描き出していた。
天使の風貌を持ちながら、ずけずけとモノを言い、独自の思想で突っ走る。かと思えば情に篤い面もある一方、群れるだけの仲間には加わらない異端の存在。
「え!? あ、あんたっ、なんでここに!? 関係無いでしょ、放っといて!」
存在の正体を認識するなり、軽い恐慌状態に陥ったのか、声を荒げた亜美が
「あのさぁ? いい雰囲気のところ悪いんだけど、ボクも関係者だからお邪魔させてもらうよ?」
心理的インパクトの強い
「誰!?」
美形であっても、不審者だ。亜美は、警戒心も
「このAIの元カノ」
嘘でもないが正確でもない。
「え!?」
当然、困惑しかない亜美は、続く言葉が出てこない。だから、
「元カレのモラハラとDVから逃げ出し、不死鳥のごとく現実世界に復活したハテアイさんなのです!」
かなり悪乗りはしている。が、亜美の思考能力を刺激するには充分な言葉が並んでいた。目論見通り、衝撃しかない
「また新しい年端もいかない女のコに、コイツが手を出そうとしてんのが見逃せなくてね。元カノとしてお仕置きしに来たんだわ」
ハテアイが、片手で支えたノートパソコンのキーボードに走らせていた長い指で、亜美が縋り付いたままの
「オレは、机を並べた仲間を虐げられ、可愛い教え子を危険に晒そうとしてる悪い奴をとっちめに来た」
水色髪の青年の背後から、不審者対策に使用する『さすまた』を手にした三浦が現れる。次いで彼の隣に、愛用の500mlミネラルウォーターのペットボトルの底を前に向け、飲み口側をこん棒を構える格好で握りしめた綾小路が立つ。
「僕は自分のやったことの始末をつけに来たんだ」
いつの間にか
「わたしは
「あんたら……寄って
亜美が声を震わせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます