パート4: 『観測者にして演出家の権能』とか、厨二っぽいが最強では?

やった……!

やっぱり、これは特別な力なんだ!


手の中にある手鏡をぎゅっと握りしめる。

ずっしりとした重みが、現実感を伝えてくる。


(転生したらチート能力ゲット、って本当にあるんだなぁ……)


まるで夢みたいだけど、夢じゃない。

じゃあ、この力は、一体どこまで使えるんだろう?

手鏡を出せたってことは、他にも色々できるはずだ。


(どんなことができるの? もっと、詳しく……!)


意識を集中させる。

さっき頭痛と共に記憶が蘇ったみたいに、何か情報が降りてこないかな?

この力の使い方とか、名前とか……。


すると、また頭の中に直接、情報が流れ込んでくる感覚があった。

今度は痛みはない。

まるで、最初から知っていたみたいに、自然に理解できていく。


(……『観測者にして演出家の権能』……?)


それが、この力の名前らしい。

すごい大仰な名前だな……。ちょっと厨二っぽいけど。


(えっと、それで、できることは……?)


次々と情報が展開されていく。


まず、『全域情報観測』。

この世界の出来事、人々の会話、なんなら表面的な思考まで、リアルタイムで把握できる……らしい。過去の情報検索も可能? え、なにそれ、神様の視点じゃん。


次に、『認識改竄・印象操作』。

自分の存在感とか、行動とか、他人に与える印象を自由自在に操れる。隠密行動し放題ってこと? さっき侍女さんを下がらせたのも、無意識にこれを使ってた?


それから、『限定的因果・確率干渉』。

「偶然」を装って、小さな出来事を操作できる……? つまり、ちょっとした幸運とか不運を演出できるってこと? これ、悪用したらヤバいやつでは?


さらに、『空間制御』……短距離テレポート? 不可視の壁? 小さな隠れ家まで作れる?

『微細物質・エネルギー操作』……魔法の痕跡なしに物を動かしたり、魔力とかを消したりできる?

『絶対精神防御』……どんな精神攻撃も効かない?

『自己修復・恒常性維持』……怪我はすぐ治るし、老化もしない……!?


(……え、えぇぇぇぇ!?)


待って、待って。

情報量が多すぎる。

ていうか、これ、チートってレベルじゃなくない?

ほとんど何でもありじゃん! 最強すぎる! やったーーー!!


……と、脳内で大喜びした瞬間、別の情報も入ってきた。

制限事項、みたいな感じ?


『目的依存性』。

この力は、私の「目的」から外れることには使えない、あるいは使いにくい?

私の目的って……なんだろう? 今のところ、生き延びること?


『美学による自己制限』。

……美学? よくわからないけど、なんか私のこだわりみたいなものが影響するってこと?


『隠密性重視』。

能力の存在が露呈することを、この力自体が極端に嫌う? だから、介入方法とかタイミングが限られる……?


『創造主の意図』。

世界の根幹を揺るがすような、大規模な改変はできない……。


(なるほど……。万能ってわけじゃないし、派手に使いまくるのは無理そうだな……)


まあ、そりゃそうか。

こんな力が野放しになったら、世界が滅茶苦茶になっちゃうもんね。

それに、何より……。


(この力、絶対に他人に知られちゃダメなやつだ……!)


もしバレたら、間違いなくヤバいことになる。

研究対象にされたり、悪用されそうになったり……考えただけで恐ろしい。


(よし、決めた!)


この『観測者にして演出家の権能』は、私の切り札。

絶対に隠し通して、ここぞという時だけ、こっそりと使う。

それが、この世界で賢く生き抜くコツだ、きっと。


ふふっ。

なんだか、秘密兵器を手に入れたみたいで、ちょっとワクワクしてきた。

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