お茶会
第77話 準備です!
月曜日の放課後、皆が帰る前にちょっと教えて欲しいことがあって声をあげた。
「ちょっと訊きたいんだけど!誰か美味しい洋菓子と紅茶のお店知らない?テイクアウト出来るとこ!」
皆いい人達だから突然の問いにも答えてくれて、洋菓子についてはいくつか店を教えてもらった。
「お高めでも良いなら洋菓子と紅茶が両方ある店を知ってるよ?」
「おぉ!教えて中野くん!」
「学校から近いし、案内しようか?」
「是非!皆もいきなりごめん!ありがとう」
クラスメイトと別れて中野くんと教室を出た。
そして俺は中野くんに案内されて高級洋菓子店へとやって来た。
「どうかな?お土産とかで良く使われてる店なんだけど?」
「あ!なんか見たことあるかも!偉い人が持ってくるやつだ!ここ美味しかったし絶対大丈夫だよ!ありがとー中野くん」
そう、俺には今、美味しい洋菓子が必要なのだ!
相談したら紹介と案内までしてくれる中野くんは本当に聖人だと思う。
「ここはお菓子に合う紅茶なんかも取り扱ってるから、オススメは店員に訊くのもアリだよ」
「それもやる。でも先ずは中野くんのオススメ聞きたい」
そう言うと、中野くんは少し悩んで艶やかな赤いジャムの乗ったクッキーを指差した。
「ケーキとかも勿論美味しいけど、ジャムクッキーが一番オススメかな?甘味と酸味のバランスが良いから何枚でも食べれちゃうやつ」
「よし!じゃあジャムクッキーが入ってるアソート缶を一つ、シュークリーム五つ、ショートケーキ五つ、モンブラン五つ、あとこういう甘いのに合うような紅茶と、ミルクティーにしても美味しい紅茶ください」
大量だと思う。思うけど足りないよりはマシなんだ!
「あ、そういえば中野くんのお父さんって議員さんだよな?」
……何で中野くんまで「あ」に身構えてるんだろ?
「うん、そうだね」
「……じゃあ中野くんは巻き込んでいい人かなぁ?」
「えーと、何にかな?」
「サブクエ。美味しい洋菓子とお茶を用意してお友達を一人連れてこいって言われてるんだよね。篠崎さんはお友達というよりは先生だし、お友達どうしようかと思ってたんだけど……」
最悪の場合は弟子を連れていこうかなとか思ったりしたけど、流石にあの人は巻き込みすぎかなって悩んでたんだ。
あとアイさんにも打診してみたけど「私は人工知能なので友として妥当ではありません」って普通に拒否られた。
「サブクエで、お菓子とお茶と友達?」
「そう。『お茶会』ってサブクエなんだけど、たまに条件出されるんだよ」
ほら、ウズメ様ダンスの代用でアマテラス様と会ってお話するだけのサブクエなんだけど、受注するとたまに条件出されて人間の作った料理が食べたいって店指定で買ってこいとか言われるんだよね。
――日曜日のダンジョン攻略後、篠崎さんとお話してアイテム鑑定してみたら邪結晶という名前だけは表示された。
俺からしてみれば名前が出るとも思ってなかったので、ガチでご先祖様というか担世の血筋に恐怖を抱いてる。
まぁ名前しか解らなかったということで、神様に訊くしかないと『お茶会』を受けることにしたんだけど、今回は条件付きだったのでその準備中なのである。
因みに準備が出来た状態でアマテラス様を奉ってる神社に行けば、何処からでもサブクエ元の神社に喚ばれて隔離空間っぽいところでお茶会が始まるのだ。
「管理局繋がりでみっくんかなって思ったけど、中野くんなら話早そう」
「えーと、一応父に連絡していいかな?」
「いいよ。遅くなるかもしれないし…けど、政府まで話がいってるかな?」
中野くんはとりあえず確認すると電話をかけたんだけど、なんか反対されてる雰囲気?中野くんは行ってくれる気みたいだけど、お父さんに反対されてるのかな?
……まぁ、今まで俺が振り回してきた人達なら心配にもなるよなぁ。
「何も知らない状態でいるよりいいと思いますが?えぇ、はい、わかりました」
終わったみたいだけど、にこやかだからたぶんオーケー出たんだろう。
「余計なことは喋らずに訊かれたことだけ話しなさいって言われたよ」
「うん、まぁ気絶しなきゃ何でもいいかな」
「気絶!?」
「いや、一回だけ神主さんを同伴したことがあったんだけど、感極まったのか気絶しちゃって、大変だったんだよ……高橋さんと篠崎さんが」
いつも二人は巻き込まれてお茶会に強制参加させられてたから仕方ないよね。アマテラス様曰く「童子が保護者同伴なのは当然じゃな」だそうだ。
因みに神主さんを連れていった時に、神主さんに気絶されたアマテラス様は「幼女姿でも溢れる神々しさは隠せんかったか」と満足そうだった。
気絶した神主さんは高橋さんと篠崎さんが介抱して、なんとかお茶会の最後の方で起きてアマテラス様をめっちゃ拝んでたけど俺がなんならツーショット写真撮るかと訊いたら、また気絶しちゃったんだよね。
因みに乗り気のアマテラス様と俺でツーショット写真は撮った。
まぁ、そんなお気軽な感じのお茶会があるんですわ。
お楽しみにしてもらいたいから中野くんには詳しく説明はしないけど『暇を持て余した幼女とのお茶会』とは言っておいた。
お会計を済ませてお菓子とお茶をインベントリにしまい、店を出て中野くんと近くのアマテラス様神社に行くと、何時ものように隔離空間へと移動した。
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