第13話 すーぐに終わった
「はあ……」
「どうしたの、黒フードちゃん」
「なんだ、その呼び方」
「戦闘中に思い付いたの。気に入った?」
「嫌すぎる」
「ざんねん」
結局、合計で16回、殺す機会を逃した。
黒フードちゃんは大の字になっている。
ずーっと気になっていた、黒パーカーに隠れた股を見る。
良かった……今回はショートパンツを着ていたんだ。
「レディの股を見るのはどうかと思うぜ」
「だって、たまにパンツだけの時あるからさ。確認してあげないと」
「あや……やってること、言ってること、変態オヤジのそれだからな」
「大ちゃん……どっちだと思う?」
「何が?」
キョトンとした顔で訊ねてくる大ちゃん。
え、本当に何を聞かれているのか、わかっていない!?
可愛いなぁ。
「パンツか……ショートパンツか!」
「どっちにしろパンツじゃん」
なんとなく、興醒めをしてしまう私。
いやいや、全然! 違うから!
「大ちゃん、服に興味ないでしょ」
「ああ、うん」
「じゃあもういい、教えてあげませーん」
「はあ……教えてもらおうなんて端から思ってねえよ」
心底どうでもいい、みたいな表情を浮かべている。
うーん、なんか悔しいな……。
「だーいちゃん」
「ん? うわ!」
振り返った瞬間に、大ちゃんに抱きつく。
「な、ナナナ、ナニしてんだよ!」
「何って、抱きついて充電しているだけー」
「…………」
「私のおっぱいのぬくもりを感じてるんでしょ」
「……純恋がこっちに来たぞ」
「へ!?」
すごーく嫌な視線をこっちに向けるすみれちゃん。
「あの、私が放心状態の間、戦闘をしていただいたことには感謝しています」
すぐに大ちゃんから離れる。
すごいオーラを出しているすみれちゃん。
ていうか、ガチでなんかオーラ出てない?
いや、本当に現実上で背中から赤いオーラを出しているな。
「ただ、大ちゃんに無理やり抱きつくのは……許しません」
「ごめんなさい!」
「ていうか! 私たち! 付き合ってるんですからね!?」
「え! そうだったの!?」
え! そうだったの!?
ガチで知らなかったよ!?
「大門! なんで言ってあげてないの!?」
「え、別に言う必要ねえかなって」
「あるでしょ! 同じ屋根の下に私たち暮らしちゃってるんだよ大ちゃん!?」
「そうだよ! 私! まだ納得してないんだから!」
「あ、そうだったのか。ごめん」
「「ごめんで済むか!」」
そのあと、私とすみれちゃんはカフェで仲直りした。
大ちゃんは本当に無頓着だよね、みたいな感じで意気投合した。
ちなみに大ちゃんの戦闘は、私たちが戦闘を始める前にもう終わっていた。
サッカーボールの牢獄に悪者を閉じ込めたのだ。
なんか、文字通りにサッカーボールの牢獄って感じ。
ていうか、檻? かな?
小さいサッカーボールがめっちゃくっついて、檻の形になりました。みたいに言ったら想像しやすいだろうか。でも、白黒ではないんだよね。白青なんだよねー。
閉じ込められた悪者は、檻の中で最初は暴れていたけど、私と黒フードちゃんの戦いが終わる頃には大人しくなっていた。諦めたんだろうね、うん。
あと、黒フードちゃんも檻の中に閉じ込めてもらった。
ただまあ、彼女にとっては意味ないのかもしれないけども。
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