第8話(サブストーリー)  元気ですね

「魔法の少女の方が百倍おもしろいもん!」

「いいや、アドベンチャーズの方が千倍おもしろいね!」


 いつに間にか店主との話は終わり、大ちゃんと言い争うすみれちゃん。

 私も『魔法の少女』の方がおもしろいと思う。

 あ、でも『アドベンチャーズ』もおもしろいよ。


 そういえばと思い、店主に話しかける。


「店主さんって、気さくな方だったんですね」

「そうか? 無愛想だと自認しているが」


 思えば、これが初めての店主さんへの質問だったかもしれない。

 私、一方的に話してばっかだな。


「少なくとも、さっきの女の子と話しているときはそんな感じでしたよ」

「うーん、そうか」


 顎に手を置く店主。

 なんだか、これだけでも絵になるおじさんって、なかなかいないよね。


「娘に似ているからかもな」

「え! 娘さんいたんですか?」

「ああ、といっても、今は巣立って結婚もしているがね。孫も可愛いぞ」

「お孫さんまで……」

「いやいや、そんなに驚くことないだろう。俺は八十歳のジジイだぞ?」

「ええ!? 八十歳!?」


 真面目にびっくりしている。

 え? 嘘でしょ?

 私、四十歳ぐらいのおじさんかと思ってた……。


「お、お若いんですね……」

「そんなに若く見えるか?」

「もちろんです……」

「うーん、やっぱり能力のせいかなぁ」

「能力?」

「ああ、そうだ。まあ、誰にも言うつもりはないけどな」


 めっちゃ気になる。

 もし、他人に使用できるなら、私にも使って欲しい……。


「言っとくけど、俺の能力は自分にしか適応されない自動型だぞ」

「そ、そうですか……」

「如実に残念そうな顔すんなよ……仕方ねえ、今回は奢ってやるよ」

「え! いいんですか!?」

「純恋ちゃんに感謝するんだな」


 すみれちゃん……ありがとう……。

 ここのコーヒー、美味しいけど馬鹿高いんだよね……。

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