第4話 おはようございます。小此木です。
先生、最近、動悸がするんです。
胸が苦しくて、息が詰まるようで――。
そんな患者、何人も診てきたはずだった。
「小此木先生……」
押し倒された体勢のまま、顔を赤らめながら高橋先生が私の名前を呼ぶ。
「高橋先生……」
気持ちが高ぶって、抑えきれなくなって、私は――
彼女の唇に、自分の唇を重ねようとして――
「はっ!?」
目を開けると、さっきまで見ていた景色とは全く違う。
知らない天井。
頭がガンガンする。めちゃくちゃ痛い……。
体を起こして隣を見ると――
「……え?」
そこには、眠っている高橋先生の姿があった。
さっきのは――夢?
それとも、今この状況の方が夢なの?
混乱しながら目を閉じかけて――ふと、違和感に気づく。
パジャマ……?
しかも、ゆるい顔の猫がプリントされたやつ……これ、私のじゃない。
(……いつ着替えたっけ?)
まさか、と思いながらそっと布団の中で確認する。
――下着、つけてない。
(ま、待って……? え? ほんとに?)
だとしたら、あれは夢じゃなくて――現実!?
(ちょっ、ちょっと待って!? 私……高橋先生と……ヤ、ヤってしまったの!?)
思考が混線しているところへ、小さな声が聞こえた。
「…先生? おはようございます……」
目をこすりながら、高橋先生が挨拶してくる。
「た、たっ、高橋先生っ! お、おはようございます!!」
慌てすぎて、言葉がうまく出ない。
「大丈夫ですか? 体の具合……。その、昨夜はすごかったので……」
すごかった!?
すごかったとは一体、どの、何が!?
「あと、二人とも服が汚れてしまってたので、洗濯して……。それで、パジャマも……」
言いにくそうに説明してくれる高橋先生。
(や、やっぱりそういうこと!?)
もう……これって、確定じゃないの……?
「いえ、その……ありがとうございます。体は大丈夫なので……」
――初めてだったけど、体の痛みも違和感も、ない。
(頭はめちゃくちゃ痛いけど。)
……あれ?
待って?
私、されたんじゃなくて――した側……??
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