2025w19 獣道と人道の境界
ハロー、地球人たち。それぞれのGWを満喫したかな?
***
前回、私がよく通る田畑の間の『道』や周辺の畦がぐっちゃぐちゃになっている、という話に少し触れた。
犯人は言わずと知れたイノシシである。
ついでに草むらのスズメバチの巣をどうにかしたのも、イノシシだと思われる。
何故なら、おそらくその周辺で糞尿が放たれてからあまり時間が経過していないであろう明からさまな獣臭さに満ちていたからだ。
その後の雨と共に流れ去っていったから、そのタイミングで、その場に居合わせたことで分かった痕跡でもある。
イノシシの存在はこの界隈の住人なら誰でも知っている。
イノブタを飼育されているところもあり、豚コレラ対策のワクチンを与えるために、山中に設置された檻もある。
ただ、これほども人の領域に下りてきて、畦や道端までもが掘り返され始めたのは、ごく最近のことのはずだ。
今のところ、アルファルトの舗装路が結界のような働きをしており、それより先こちらへは出てこない。けれど、この辺りは田畑だけでなく、人家も寺も山に溶け込むように存在している。
実際、アスファルトの向こう、山寄りの人家は庭と山の境界に電柵を設置しているものの、時々庭に入ってくることもあると聞いた。以前話題にした集落の寺でも、綺麗に整備された地域の偉人の墓周辺が荒らされたりと被害が出ている。
なぜ、そんなことになるのだろう。
特にこのひと月の間、そんなことを思案しながら道端のゲリラ草を刈り、地域住民や田畑で作業する方々、お寺さんと話をする中で、徐々にこの徒歩10分圏内の界隈で起こっていることの「仕組み」の部分が見えてきた。
さながら探偵のようでもあるが、そういった「物事の仕組み」を構造解析して課題の解決策を導き出すことこそ、実は私の本分なのである。
それがどういったものかを一口に説明するのは難しい
「展開」と「因数分解」と言えばピンと来るだろうか。義務教育の学習指導要領(数学)にあるアレだ。
一般に社会で多く行われている生産活動は、要素や素材を組み合わせる「展開」である。では「因数分解」は?
それこそ、物事の構造を紐解く
もしかすると物語を編む方々、或いはそれを読むことを愛好する方達ならば、この面白さを分かっていただけるかもしれない。
特に「文学」には、因数分解をした後に、構成要素の適度な置換などを施し再構築するような側面が少なからず有るのではないだろうか。
ここに記したような身近な課題について何らかの解決の道を創れないかと、因数分解をするための糸口を探っているところである。
私はまだ近所の山中でイノシシに出会ったことはない。
けれど向こうは私が界隈を嗅ぎ回っていることを察しているのかもしれない。
スズメバチの巣の近くでせっせとゲリラ草を刈ったらその辺りに気配を残し、先日も別の道で作業していたら戻る道の所々が掘り返されていた。
「オレ居るよ」アピールかね?
解っている。
何も脅かそうという訳ではない。
私はただ、彼らが人家や田畑に赴かずとも済むよう、山中で掘り返していれば事足りるよう、彼らの道と我々の道を整備したいと思っている。
それは分断ではなく、一体のものだ。
彼らとて人間に害を為したい訳ではないだろう。
それに居てくれるからか、この辺りでは殆どヘビも見かけない。イノシシとて、そこら辺にいるネコと同じようなものではなかろうか。
一人で始めることだし、支出はあっても収入になりはしない。
けれど今の人の世は「お金」にばかり傾倒している気がしてならないのだ。
「お金がないからできない」「人手が足りない」を合言葉に視野を狭め、常識という名の偏見コレクションでがんじがらめになって、「動けない」のではなく動かない。
私の目にはその様にも映る。
街中でこの様なことを叫んだところで遠巻きにされるだけであろう。
だったら辺境の地で密やかに始めてみようか。
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