2025w18 落ちてたから食う
ハロー、地球人たち。
もうGW真っ只中だぜって人も居るのかも知れないが、気にせずワイルドライフの話を続けよう。
***
住宅地の外れにあるうちから歩いて1分のところには雑木林と竹林、その向こうには棚田と畑が広がっています。
太陽の光がある時間なら、私はその間の小道を歩いて最寄駅へ向かうのですが、最近その道が荒れに荒れています。
草はボウボウ、小道はボコボコと掘り返され、畔の崩れたところがあったり、何処かから運ばれてきたのであろう暴れ枝が積まれて居たりで、これまでのウンジュウネンにおいて、まるで見たことのない様相。
一体何が起こっているのか。
或いは本当は通ってはならぬ道だったのか。
けれども『道』というものは、そこを通る者が居て、整備する者が居るからこそ維持されるもので、それが無くなれば廃れてしまうのも道理。
そういうわけで、やはり私は自身の通る道を守ろうと動き出したわけです。
状況がよくわからないまま、早朝に
で、見つけてしまったのです。
スズメバチの巣を。
ま、そうなるよね、って感じ。
むかし近所の軒下に巨大なスズメバチの巣ができたことがありましたが、やはり人が暮らす環境下だと蜂は駆除され、巣は撤去されと、落ち着いて王国を築くことができないこともしばしば。
その点、人通りが少なくなり暫く除草もされず、人の背丈よりも高く草が生い茂った草むらともなると、蜂にとっては絶好の営巣シチュエーションです。
そりゃあ蜂も「ここをキャンプ地とする!」を宣言したくなるわ。
実際、一夏の
スズメバチの巣は基本使い捨てだそうで、恐らく現在は*もぬけの殻。
(*他の蜂が中古物件として使うことはあるみたい。まさに空き巣狙い。だから私とて迂闊に近づいたりはしませんので、ご安心ください)
とはいえ、このまま草むらを放置しておくと次の女王蜂がまた新たな巣を作る可能性もあるし、私にとっては通り道なので、できれば蜂たちが営巣を始める5月ごろまでにはサッパリさせたいところです。
「道端の草を刈っていたらスズメバチの巣を見つけましたが、一応人の土地の区画内だろうから勝手に触るわけにもいかんし、けれど草むら諸共を放置されるのも困るんだけど、どうしたもんでしょうかね」的な話を市役所にしに行った翌日、なんとその区画もまた、ぐっちゃぐちゃに荒らされていたのです。
しかもスズメバチの巣は見事に無くなっており、何が何だか。
「え……どゆこと? 市役所の人か、業者さんが撤去に来たの?」
その割にはビックリからの笑っちゃうくらいにぐっちゃぐちゃ。
草が薙ぎ倒され、土が区画外に露出し、水路の網蓋に土をどっさりつけた立ち枯れ草の根がバーンと散らばっていたり。
ストレスの限界に達した人が暴れたらこんな感じでしょうか。
「私でよければ、話を聞こうか?」と歩み寄ろうとしたら、後ろから肩を掴んで「危ないから近づくな!」と捲し立て止められる妄想的シチュエーションが頭に浮かぶ。
(ストーリー不在の情景描写のみ)
こりゃあ十中八九アイツの仕業だろうな、と当たりをつけた考えが確証に変わるまで、そう長くはありませんでした。
この辺りの田畑の主たちはいつの間にか世代交代していたようで、以前は見かけない方も居るのですが、時を同じくして進めているタンポポ調査で、
畔のタンポポを採って良いですか?
草刈り手伝いましょうか?
とお声がけし、顔見知りのようになっていました。
話すようになれば情報が流れ込んでくるようになるもので、聞いたところ畑の中もかなり被害に遭っていたらしく、昨夏はスイカが全滅だったそう。
悲しいですよね。
あともうちょっとで収穫だったのにってタイミングでやられたりするから。
もはや、アレじゃねえか。
「事件は役所で起きてるんじゃない。現場で起きてんだ!」
……ただ言ってみたかっただけです。
そんなわけで何とかならんだろうかと思案しながら、舗装路のゲリラ草だけでなく、小道の土に生える草(ヤエムグラやスギナが蔓延っている)を引きまくる中で、ツクシヤワラビ、ノビルなんかも生えてくるその場所に、とある山菜が頭を出し始めたのを見つけて、伸びてゆくのをニコニコと心待ちにしながら観察していました。
ですがある日、草刈機で畔の草共を刈り倒したんだろうなと思しき状況に……!
件の山菜が薙ぎ倒され頭を吹っ飛ばされ、無惨にも散らばっている。
なんだとー!
ツクシは食べないって言ってたので、イタドリなんて以ての外なのでしょう。
そうです。
酸っぱくて中空構造であるがゆえか『すかんぽ』と呼ばれることもあれど、私にとっては『イタドリ』の方が馴染みある呼称です。
『虎杖』と書くのは、やはり虎柄で杖のような形状だからでしょうか。
ならばトラの野球チームファンには人気があっても良さそうな山菜なのでは?
これを食べる地域は限られているようですが、高知県では皆さんこぞって採り、産直やスーパーには採れたてや下処理をしたものが並んでいます。
『イタドリの油炒め』がおそらく最も定番のレシピ。
私は学生時代を含めた7年を高知県で過ごし、今でも度々訪問&活動しているため、
食べる者が居て食べない者が居れば、取り合いにならずに共存が可能。
理論上は。
けれど土をほじくり返してミミズを獲りたいイノシシがスイカに興味を持たないように、米や野菜のために田畑を維持する方にとっては、周辺の畔に蔓延る野草は一掃したい駆除対象でしかない。
薙ぎ倒され落ちていたイタドリの若造を拾って帰り、せめて言葉を交わせる人間とは情報共有をして仲良くやりたいものだなあと思いつつ、穂先は天ぷらに、茎の部分は皮を剥き下処理をして油炒めにしました。
ご馳走様です。
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