第5話
「ミャコ。今日までずっと言えなくてゴメン。
ミャコは俺のこと、ただの兄としか
思ってなかったかもしれないけど、
俺は会った時からお前のこと大好きだったよ。」
抱きしめる時に投げ捨ててしまったらしく、
床に転がる、少しよれた花束を拾い上げる。
桜の花と、ピンクのミヤコワスレが
綺麗に束ねられている。
「俺の、4月1日の誕生花は、桜。
花言葉は『私を忘れないで。』
少し離れちゃうけど、俺のこと忘れないで、
また追いかけてくれる?」
何が起こったのかわからなくて
目の前に差し出された花束を、震える手で受け取る。
「わ、私の、ミヤコワスレが…お別れのお花…」
「あはは。
実はね、
珊瑚のピンクの意味にもなるんだよ。
だから、ミャコのミヤコワスレも、
きっとピンクのミヤコワスレだよ。
花言葉は『また逢う日まで、しばしの別れ。』
ね、大丈夫。別れじゃないよ。
また逢えるから。」
私を置いて、先に行ってしまう彼にふて腐れていたけど、
私の花が、再会を意味する花になった。
桜ちゃんめっちゃキザな奴ー!と笑いながらも、
私はその花束を優しく抱きしめた。
「やっと笑ってくれた、ミャコ。
お前のキラキラした笑顔、大好きだよ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます