正体は、人だとしても、獣でも、何であろうとかまわない。人けの無い山にあらわれる、得体の知れない存在。人ならざる領域に出現した、正体も、行動原理も読めぬ存在。それだけで、十分すぎるほどに、怖い。
この話を読んだ反応は2つ、笑うか、恐れるか。私は2つ目だった。 口語体のかなりカジュアルな文体に加えて、落語の様な語り主体の構成により、読者は気楽に相手の話を聞いているような気分になるだろう。これは没入感を生み出す。そして、没入感と恐怖は比例する。 序盤ははっきり言って微笑ましいものの、徐々に話が変わってくる。途中でオチがつくのだが、ホラー作品は往々にして最後が怖いのだ。 色々と書いたが、読まなければ体験出来ない。先入観は捨てて見るのを勧める。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(121文字)
間違いなくホラー。ただし、怖さの方向性が違います。ホラーと聞いて何を想像しますか?本作の結末はきっと、貴方が思い浮かべたものとは違います。お読みになる際は、コーヒーやお茶などは絶対に飲んではいけません!取り返しのつかない恐怖体験をすることになるかもしれませんよ……。