第二話 幼馴染の"彼氏"とのある会話ー


 今回は私からの質問じゃなく、トーカが突然降ってきた話から繋がった話題を語ります。正直、"始まった"ばっかで物語の内容と趣旨が違ってくるとこもありますが一応高校生なんで日常的な風景もあります。




 スタ…スタ…スタ…。



 私とトーカはある日、学校の帰り道を歩いていた。



 「で、スマホは無事だったん?」

 「一応ね」

 「お前もマジでついてなかったなー、つーかドジだよなー」


 そうトーカがクスリとニヤけるのに私はイラっとした。

 実は今日の朝、雨が降っていて昼休みには止んだんだけどその時に出来た水溜まりの中に誤ってスマホを落とすなんてことをしてしまった。

 なので、ついさっきまでモバ充で充電しようとすると"漏電する恐れが何ちゃら"と出てきて充電が出来なかった。


 「あー、マジでスマホの充電口が濡れるのが地味に怖いんだよね。なんて言うか……」

 「なー、ユウ」


 突如私の話を遮ってトーカが私の愛称を呼んだ。


 「ん?何?」

 「お前ってUMAを信じる?」

 

 私は即答えた。


 「バカじゃねーの?」

 「うわっ、辛辣」


 少し引き気味にトーカは返してきた。


 「で、何で私の話をいきなり遮ってそんな話になる訳?」

 

 私は話を元に戻した。


 「いやー、なんかそう言う『ジャック・フロスト』とか『ジャック・ザ・リッパー』とかさ、何つーかそう言うヤバいやつらがうようよしてたとこに生まれなくて良かったなってさ」

 「今の話や話し方、文法にツッコミどころが満載だけど一つに絞るわ」

 「え?」

 「そもそもその"2つ"の名前はUMAじゃねーよ」


 私はジト目をしながら返した。


 「いや知ってる知ってる」

 「はぁ?知ってんのに何でそんなほとんどが矛盾してる返しをしてくんのよ」

 「つまりはよ、お前は都市伝説って絵空事を信じんのかって聞きたいんだわ」


 生まれなくて良かったって話じゃないのか……。クスリと笑いながら言ってきたので私はまた返した。


 「いや、『ジャック・ザ・リッパー』は実在してるから」

 「え!!?マジっ!!?」

 「知らないでそんな例え話を持ち込んだ訳?……やっぱバカだろ」

 「……と、ともかく!!お前はそういう伝説は信じるの?」


 私は一呼吸して顎に指を置き考えての一言。


 「……私は信じるかもな」

 「お、意外だわ」

 「なんて言うか……いないって思い込んでいたらさ、いたと思ってた以上に…確信した時の気持ちが複雑にならない?」


 まぁ、逆も然りだけど……。


 「それって戸惑いとか驚きってことで?」

 「そう」

 「けど、『いた』と思っていた人もいたらいたで一緒くらいの驚きはあると思うけどな」

 「まぁそれはそうだね。"自分の中の世界にある理解できる人智"って言う"常識の上限"は人それぞれ違うからね。自分の考え方なんてバルーンアートで使われる風船のように形がいくらでも変わるもんだから」

 「ほうほう」


 ん?

 ふと私は少し違和感を感じた。

 

 「違うな……変わると言うより"普通の"風船が大きくなって…と言うか増えてく……風船の集合体って感じかな」

 「えーと、つまりは……」

 「ほら、子供が手に持つような小さい風船って一つじゃなんにもなんないじゃん?でも、数が多くになるつれ次第に人の力以上の力を持って人をも動かす力を手に入れる」

 「……あ」

 「分かった?人の知識や考えも最初は一つの小さな風船だけどそれがいくつものいろんな知識を吸収することによって知識という風船が増えてやがては何か……例えば、紙で資料を作成したり、サッカーのプレイで考えられるディテールとかで成功を成し得たりする成長ができることだと思うんだよね」

 「なるほどな」

 「だから、信じないって思い込みは、"知識っていう風船を膨らますのをただ拒んでいる"…それか、"知った上で知識の風船を割っている"」

 「…」

 「って感じだと私は思ってる。まぁ逆もあるし、"信じないけど詳しい"って人もいるから一概にそうとは言えない。だからただ単に私の超勝手な持論ね♡」


 そう言い終えると同時に私はトーカにウインクした。


 「お、可愛い」

 「え?」

 「あーいや、何でも……つーか!!なんかここでお前のポエムが出たな」

 「ポエムじゃなくない?例えなんだけど?」


 私はジト目で答えた


 「例えがポエムっぽいんだよ(笑)」


 そうトーカは笑いながら私の頭に手を置いた

 

 「じゃあ、どんな例えだったらいいのよ?」


 私は特に振り払ったりせずそのまま頭に手を乗せられたまんま質問を投げかけた。


 「え……んーーー……『自分の考えなんていくらでもカメレオンが色んなものの色に同化するように変わっていくからね』とか?」

 「大して変わってないじゃん!」


 私はトーカに突っ込んだ。


 「私が言った風船の例えでもいいじゃんよ」

 「んーー、なんか俺もお前といることによってそんな言い回しの感じに変わっちゃったんかな……」

 「……それじゃあ私達はどちらも似た者同士か……キモいから真似しないでよ」

 「そこは嬉しいと思うもんじゃないの?キモいはないわー……」

 「……」


 トーカがガッツリ落ち込んだ……。


 「本当にショックだわー……仮にも"幼馴染"だろ?喜ぶもんだとばかり思ってたのにそんなキモいだなんて言われて俺ショックだわー…あーダメだわー……悲しいもんだわー」


 ようなフリをしてるように見える。


 『だわー』


 がとにかくウザい。

 なので私は……、


 ポン。


 「!」


 トーカの頭に手を置いてやった。

 そして……、


 「とりあえずアンタもたまには私が味わってる想いを味わえ」


 そして頭を撫でた。


 「……」


 トーカは暫く動きが止まっていた。

 あ…。

 まさか、あまりの嬉しさに歓喜に震えてるのかな?

 可愛い奴め♡(笑)。


 「なぁ、ユウ」

 「ん?何?」


 トーカは頭を撫でられながら私に質問してきた。


 「ユウって身長いくつだっけ?」

 「え?165とかだけど?」

 「え、そんなあんのか……」

 「てか、それが?急にどうし…」


 スッ。


 「!」


 突如トーカが手を私の背中に回してきた。

 そこから……。


 「あー、確かに俺の口くらいまであるなー」

 

 私を抱き寄せて身長を確かめた……。

 って!!!

 いやいやいや!!


 「ちょっ!トーカ!!何いきなり抱きついてくんのよ!!セクハラで訴えるぞ!!!」


 私はパニックってトーカから離れようとした。離れようとしたんだけど……。


 「別にいいじゃん?俺とお前…付き合ってんだし」

 「!」


 だ、だから……何でアンタはそんな普通に……。幸い、周りには人はいないけどさ……。


 「やっぱお前ってなんか凄ぇいい香りだよなー」

 「ねぇ、私をいじってる?殺すよ?」


 私はともかくトーカに目を合わせないで顔が赤くなるのを必死に隠しながら平然を保ってるように見せた。


 「ア、アンタそんな可愛いと思ってる私に抱きついて恥ずかしくないの?」


 けど……。


 「え、何が?」


 そう返された。


 「だって、お前は俺の"彼女"だよ?何してもいい訳じゃないけどこれくらいはしてもバチは当たんないっしょ?」

 

 トーカは私から離れた。


 「でも、急にこんなことして悪かった」


 え…あれ?

 トーカも顔赤くない?


 「でもさ……お前が頭を撫でてくるなんて思ってもいなくてさ……それに……"そんな顔"で撫でられたらさ……///理性吹き飛ぶって…///」


 トーカは少し顔を背けた…。


 「」


 あれ?

 私もなんか体が熱くなってない?

 あ、ヤバ……心臓の音がうるさい。

 

 「ともかくさ」


 トーカが口を開いた。


 「何?」

 「お互い、"新しい風船"が増えたな」


 ニコって笑ってきた。


 「それじゃあ早く帰るぞー」


 そう言うとコイツは先へ歩いて行った。

 うるさいよ…私は出来たというよりなんか大きくなっちゃったよ…"燈火とおか"への好きって知識の風船がさぁ…!!


 「あ、意味分かんね…//////」


 私はボソッと呟いた…。

 つーか、私どんな顔してたんだろ…。

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