とある女子高生の彼氏への呟き
アレクサンドル
第一話 自分のポエムを彼氏に聞かせた話
人生ってマジで泥団子の乾いた団子……。
つまり、出来上がる時は泥水や砂を何度も混ぜて固く握って握って強固にしていくけど出来上がって時間が経てば一瞬で握りつぶせる……。
いや、違うか。
始めから握り潰せるわ。
まぁ結論言うと、人の人生は何度も繰り返し失敗して成功していくと言うがその"一回の失敗"がとんでもなければ成功とかにたどり着く前に終わることだってある。
んーー……なんか違うな……。
「おーい、木っ葉ちゃーん。何窓の外見て黄昏てんのー?」
私がある平日の放課後に"真っっ剣"に人生と向き合おうと窓際にある自分の椅子に座って頬杖をつきながら窓の外を見て考えてる所へ幼馴染の男子、
あ、申し遅れました。
私、
まぁ、私はある進学校に通っている普通の高校2年生で趣味はドミノと読書。
「おーい、無視すんなよ夕葉」
焦れてきたのか私の机を挟んだ前の椅子に座り、早速いじりなしに私の名前を呼んできた。
「ねぇ、燈火ー」
「ん?」
私は燈火の入りを"いつも通り"無視してコイツに質問しようとした。
「燈火はシャボン玉の人生って羨ましいと思わない?」
「……は?お前……病んだ?」
燈火は呆れと哀れみの目を向けてきた。
「病んでねーから。私はいつも通り人生とは素晴らしいことを成すこともあればクソみたいな終わりもあるって考えてあるだけだから」
私は少しムスッとしながら言い返した。
「その思考が高校生の"それ"ではねーだろうが」
そう言ってクスクス笑う燈火に私は若干苛ついた。
コイツ……後で濡れた手で首筋触ってやろ。
いや、手で水滴飛ばしてやろうか?
私は心の中でニヤついた(笑)。
「で、とりあえず何だっけ?あ、シャボン玉の人生は羨ましいだっけ?」
燈火が話を元に戻した。
「そうだよ。トーカ(面倒なのでカタカナで表記しますわ)はシャボン玉の人生を羨ましいと思わない?」
「あの、『ふわりふわり…パン』って割れるあの泡屑がか?んー……まぁ、お前がそう思うんだったらそうじゃねーの?」
「理由聞かんの?」
「だってお前の理由は理由っつーかポエムみたいで聞いてるこっちがなんか返事に困るんだもん」
「まぁ、自作ポエムは趣味だから♡」
そう言ってわざとウインクして見せた。
そう言い忘れたもう一つの趣味は自作ポエム……。
なんか異世界ファンタジーのようなあの呪文みたいな長いカタカナとムズイ漢字の混ざった羅列が好きなんだよね♡
「……」
「ん?トーカ?」
トーカが私のウインクを見てから少し不自然に動きが止まった。
何でだ?
「何でもねーよ」
ピシッ!
と、いきなり私のおでこを指で弾いてきた。
生意気な…。
「あ、そっ。じゃあ理由聞いてくんない?」
私は少し頬を膨らましトーカに有無を言わさず強く聞いた。
「……しょうがねーな……で、何だ?」
「人は普通に生きていく…それだけで大変じゃん?」
「そうだな」
「それにお仕事や学校などの"やらなきゃいけないこと"が重なって、そこで大変だったり嫌なこと、やめたいことがあると、それだけで生きるのが嫌になることもある」
「……」
「でも…それでも生きていかないといけない。だけどシャボン玉には、これのために…とかあれのために…とか目標がなく、ただ飛んでゆく。風に揺られてふわりふわり漂っていて……それを遮るものもない。そして、ある程度浮かんで……パチンと割れる」
「おう」
「それだけのたった数秒の人生が羨ましいって思ったんだよなー」
「……そうか?」
「え?」
私が理由を説明した後、トーカが疑問形を飛ばした。
「俺は木っ葉の説明を聞いても羨ましいとは思わねーけど」
「理由は?」
因みに『木っ葉』は私のいくつかある"あだ名"だ
「だってなんの試練もねーとかつまんなくね?」
「」
そうだコイツはこういう奴だ……。
私は一瞬、思考が止まった。
「まぁ、確かに辛い事もせずただ楽な事だけで終わるってのは羨ましいって気持ちもわかるけど俺は試練がある方が……その、感情が湧いてくるっつーのかな……なんか凄ぇ、生きてて良かったって感じられるんだよな!」
そう言ってトーカはニッと歯を見せて笑った
「」
残念ながら私はコイツの笑顔に見惚れてしまった
「だから、生きてて良かったとも思えないシャボン玉の人生は俺には合わねーな」
「それじゃあシャボン玉の人生に憧れた私はただの思考停止野郎ってことかな?」
「いちいち口が悪いんだよ…お前は」
そう言って私の頭をポンポン優しく叩いた
「いちいち私を触んないでよ。痴漢で訴えちゃうぞ?」
「お前は心は男だ!」
はい殴るー。
後で絶対殴っちゃる……。
ともかく……。
まぁ、コイツの言う事も一理あるな……。
私は悔しいが認めた。
コイツは本当に生き物って感じがするわ…。
「それじゃあ、早く帰んぞ"ユウ"」
そう、トーカは私の愛称を呼んだ。
「えー、もう少し話そうよー」
「どうせどこにいたって話すんだから別にどちらでもいいだろ」
そう言って私の頭に手を乗せながら立ち上がった。
「私は靴べらじゃないんだけど」
再度私は頬を膨らましてトーカを睨む。
「今の立ち上がり方を靴べらとは例えねーだろ(笑)。上手くツッコメねーけど」
「語彙力ないなー」
「じゃあ、なんて言うんだよ」
「分からないことは自分で考える。そうすることで理解が最初から教えてもらえることより数倍理解が深まる」
私はキラリと目を光らせながら顎を触りながら言った。
「何、当たり前のことを決めポーズしながら言ってんだよ。恥ずくねーのかよ……」
「別に?アンタといると恥ずかしいとかそう言う感情はないから」
「放課後の教室で2人きりだからだろーが。ユウちゃん♡」
「ちょっ!!?そ、その呼び方はマジでやめろよ…!!」
私は急に体の体温が上昇するのを感じた。
と言うか顔がめちゃめちゃ赤くなった。
「え、何で?」
トーカはキョトンとしている。
この野郎……絶対ワザとだろ!!
だって!!だってだって……その呼び方は……。
「あっ!!俺と夕葉がデートしている時にしか呼べない愛称だからか〜」
「……!!!!」
「もっと言うと俺にしかその呼ばれ方をされたくないからだよなー?この赤ちゃんの頃からの幼馴染でずっと一緒にいた……この"彼氏"の俺、トーカに」
そうニヤリと笑いながらこっちを見てくる……。
この野郎…。
私はギリッと歯軋りをした。
悔しいけ何も言い返せない……。
だって……、
「ほら、早く行くぞ」
そうトーカはゆっくり歩いて行った。
「…はぁー……はいはい」
私は満更もなさそうに立ち上がった。
正直言おう……。
私はトーカとこうやって過ごすこのしょうもなく他愛のない日々が嫌いじゃないよ……。
と言うか大好きなんだ…。
だから……、いつもトーカに自分の思った哲学的なポエムを聞かしている。
それを何も嫌な顔せずなんなら真剣に質問してくれたりするから私はこのトーカといるこの時間が何よりの至福だ……。
あー……、次は何を聞かせてやろうかなー?
そうクスっと笑いながら私はトーカの後に着いて行った。
完
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