第46話 脱出!!
ズズン!!ズズン!!ズズン!!
バラバラと砂礫が降り注ぐ。不穏な地震は絶え間なく続いている。
五人が辿り着いたその先…
そこにはかつて、たしかにガス穴らしきものがあったのだろう。
しかし今は落盤した土砂や瓦礫で無残に塞がれていた。
「鐵ちゃん、ドリルっぽい技で砕けないか?」
「ああ、やってみる」
「僕やりたい!」
アキラが元気よく志願した。
「アキラくん、できるのか?」
「トレーニングでよく似たのを何回かやったことあるよ」
五人は崩れゆく天井を見上げる。
「区民全員避難した後でラッキーだったな」
「そうでなくともこのあたりは元明大キャンパス敷地内だ。民家はないよ」
「よしアキラくん!思いっきりやれ!」
「頑張る!」
流麗な動作コードのあと、アキラの電磁モップが溶岩めいた色を帯びる。
「爆破洗浄ッ!!フレイム・イレイザああああああああ!!」
真紅のレーザービームと化した清掃力が放たれた!
チュンッ!
…ドォォォォォォォン!!!!
ビリビリビリッ!!!!
一瞬の静寂のあと、とてつもない轟音と熱風の嵐が清掃バリアを震わせた。
ビームの駆け抜けた後を彼らが見上げると、
そこには地上までの巨大な風穴が開いていた。
最奥で白く光るのは、おそらく地上に降り注ぐ太陽の光だろう。
「さっすが清掃兵器…」
「多摩区全土を焼き払うなんて訳ねェな…」
「素晴らしい。この広さなら我々のライドポリッシャーを呼べるのでは?」
「そうですね。さすがにこの揺れの中、ガケをよじ登るのは骨だ」
ピュイイッ!!
浄・鐵也・響司は指笛を吹いた。
これはライドポリッシャー召喚の動作・音声コードである。
別に作業装甲から信号を発信するだけで呼べるのだが
「カッコイイから」という理由でほぼ全員の特スイがこの方法を支持していた。
ともあれ、数秒を待たずに三機のライドポリッシャーが飛来した。
「アキラくん、ライポリの運転は?」
「ううん。博士が『まだ危ない』って」
「アキラくんには飛行ユニットついているからね。
不用だと判断したのだろう」
アキラはじっと四人のライドポリッシャーを見ている。
羨ましいのだろう。
その視線に気づいたのは鐵也だった。
「……後ろ乗れ。早く」
「いいの?ありがとー!てっちゃん!」
アキラは嬉々として鐵也のライポリの後部座席に跨った。
「危ねェから、絶対手ェ離すなよ」
「うん!」
鐵也本人にその気があるかは分からないが、
いい父親になるだろうな……。
口にこそ出さないが、浄・響司・翔吉の三人はほぼ同時にそう思った。
ドドドドドッ!!!!
そんな長閑な空気を打ち砕くような縦揺れが襲う!
同時にゾッと全身が総毛だつ。
「鐵ちゃん、気づいてるか?」
「あァ増えてやがるな……デブルス核の気配が」
「気配は無数に感じるが…なにか妙ではないかな」
「うん。なんかボンヤリしてる?」
その場にいる全員の清掃員第六感が
激しく警鐘を鳴らしている。
「まさかあれだけの清掃力を喰らって…」
「いや。研究所跡を思い出したまえ。向ヶ丘2型はすでに、宇宙から
飛来したデブルスとはまったく違う存在に変異している可能性がある」
「有り得ないなんてことは有り得ないって訳ね」
不気味な地響きが続き、そして突如とてつもない震動が襲った!
ゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!
「それはさておき、本格的にヤバそうだな。
さっさと逃げなきゃ生き埋めだ」
浄がライドポリッシャーに跨った。エンジンが咆哮する。
鐵也もそれにならってエンジンを回し、響司もそれに続いた。
カワイイAI達はそれぞれハンドル中央に収まっている。
鐵也のシバタローだけはアキラの背中にぺとりと張り付いていた。
「しつこいデブ公に付き合ってられるかよ。脱出!」
バオンッ!!
浄の声を合図に、四機のライドポリッシャーが宙を舞い、
一気に大穴を駆け上がってゆく!!
地上まで距離にして五百メートルほど。
ライドポリッシャーの速度なら一瞬で駆け抜けられるはずだった。
ここがデブルス隕石とおびただしいデブルスによって形成された魔窟でなければ。
ゴバァッ!!!!
地底からデブルス汚染された鉄骨、
そしてパイプラインの群れが再び襲い掛かる。
まるで地の底から追いすがる亡者の手のように。
「チィッ!しつけえな!」
「気を抜くな!串刺しになるぞ!」
四機のライドポリッシャーは巧みな運転で忌々しい触手をかわしてゆく。
翔吉のライドポリッシャーがじりじりと遅れ出す。
「ぐぅっ…!」
翔吉は全身を襲う風圧と重力に耐えた。
ライドポリッシャーの運転にも清掃力と体力を使う。
万全の体調ではない翔吉にはまっすぐ走らせるだけでもつらいのだ。
シュンッ!!
鋭い音と共に響司のライドポリッシャー後部から
デブルス捕獲用ストリングスが射出され、翔吉のライドポリッシャーを牽引する。
「根性見せたまえッ!ショーちん!」
「……押忍ッ!先輩ッ!」
翔吉は残る力のすべてを振り絞った。
遠かった光が少しずつ大きくなり、それはやがて視界の全てとなる。
濁った色のデブルス雲の下に広がるのは
黒い枯れ木に覆われた桝形山と生田緑地…。
それが精巧なジオラマめいて眼下に広がった。
天空高く駆け上がった四機のライドポリッシャー。
五人の特務清掃員たちは、
ついにデブルス核・向ヶ丘2型の大部分を破壊し、
デブルス巣食う魔窟から脱出したのだ!!
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