第9話 三者面談
授業が終わったすぐに帰宅した俺とまなみは、まなみの部屋であかりを待っていた。
「あかりとは俺が話すから、なるべく口は挟まないでくれるか?」
『はいはい。話が進まなくなったら第三者的な感じで介入はするけどね』
少しすると玄関から『ただいま』とあかりの声が聞こえた。あかりは自分の部屋に荷物を置いた後、制服のままでまなみの部屋に入って来る。
『えっ?なんで和樹がまなみの部屋に居るの?』
「俺がまなみに頼んだんだ。きちんとあかりと話をするためにな」
『私はお姉ちゃんが暴走した時に止めるために居るの』
『はぁ…とりあえずその事は置いておくわ。それで和樹、話って?この前も和樹の部屋に呼ばれて話したばっかりじゃない?』
「ああ…正にその時の事について、いやそれ以降の事もだな。2日前にも話した通り、俺は一度あかりと距離を取りたいんだ。でも俺があかりにヤらせろ、なんて言ったばかりにおかしな事になっちまったが…俺たち今のままじゃダメだと思うんだ」
『なんで?和樹はどうしてそんな事言うの?私の事はもう好きじゃなくなったの?』
「そうじゃないんだ。幾ら俺があかりを好きだとしても、あかりには今付き合っている先輩がいるだろ?その先輩をさしおいてあかりとシてしまった俺もクズだけど…そういうのはやっぱりよくないと思うんだ」
『先輩とは付き合ってみたら恋愛感情がどんなものか、少しでも分かるかな?って付き合っただけだよ。もし先輩と別れたら和樹が傍に居てくれるなら、先輩とはお別れするよ?』
「お前な…この前は先輩と付き合ってるから俺の気持ちには答えられないって言ってただろ?その…昨日先輩と何かあったのか?」
『あー、うん…昨日の放課後、先輩のおうちに誘われたんだ。おうちに夜まで誰も居ないからって』
「は…?それって…」
『うん–––流石の私でも先輩が何をしたいのかはすぐ分かった。その上で先輩の部屋にお邪魔して…エッチしたよ』
「あかり、お前…」
『和樹と初めてした時、胸が凄くドキドキしたの。それで先輩とシて比べて見たんだけど、あんまりドキドキしなかったんだ。それでやっぱり和樹が特別なのかな?って確かめようと思って、その後すぐ和樹の家に行ったの』
「…それで自分から俺に迫って来た、と?」
『お、お姉ちゃん…何、言ってるの?自分が何やってるか、分かってるの…?』
『うん。私にとっては先輩よりも和樹が大事だっていうのがこれで分かったんだ。だから私はずっと和樹の傍に居たい。和樹が私を求めてくれるならエッチもする。私が先輩と付き合ってるのが嫌なら、別れてくるよ』
「あ、あかり…お前は先輩に対して罪悪感は無いのか?」
『和樹と最初にシちゃった後は流石に先輩への罪悪感はあったよ?それもあって先輩にも身体を許した、って部分もあるからね。まぁでも先輩に告白された時、和樹と居る時間を減らしたくない事は伝えて先輩も承諾してくれてたんだ』
「つまり先輩が俺と一緒に居る時間を作っていいって許してくれたから、堂々とこんな事したって事か…。あかり、悪い。やっぱり俺はあかりの傍にこれ以上いられないよ」
『なんで⁈ずっと一緒に居ようって約束したじゃない?私の事は和樹の好きにしていいからっ…私から離れないで––––!』
パシィィィンッッ…!乾いた音が部屋に響く。まなみが、あかりの頬をはたいていた。
あかりは一瞬何が起きたか分からず、赤くなった頬に手を当てながら呆然としていた。
『いい加減にしてよ、お姉ちゃん!そんなんでこれ以上、和兄ぃを苦しめないでよ–––』
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