【プロローグ2】 再スタートの1枚
中学から付き合いのある親友の
私は7年前に諦めた絵描きをもう1度、始める事にした。今度は画家と言う夢を追ってではなく、趣味として楽しむために。
よ~し。買ってきましたよ。スケッチブックと少し高い色鉛筆!!
私は昔からこの色鉛筆が好きだった。
小学校に入学する時に大好きなおばあちゃんが入学祝いに買ってくれたのがこの色鉛筆との出会いだ。
この色鉛筆で初めて書いた絵はそのおばあちゃんの似顔絵だったなぁ。
あの時のおばあちゃんの嬉しそうな顔は20年以上経った今でも覚えている。
おばあちゃん…最近会ってないけど元気にしてるかなぁ。
まぁおばあちゃんの事は置いておいて。
さっそく1枚書きますかぁ。
昼間、咲花と一緒に居たあの喫茶店。
名前は“
私に絵の才能はそれほど無かったけど、1つ特技の様なものがある。
それはじっくり観察したものを写真の様に記憶の中に収める事ができる事だ。
この写真は長く保管はできないけど、1週間ぐらいは保管できる。いつからこの特技が身に付いたかは私も覚えてないけど、小学生ぐらいの時には身に付いていた気がする。
うん。ちゃんと保管されてる。
この写真を私の感性で絵に変えていく。
よ~し。書くぞ~。
私の絵は昔から黒鉛筆と色鉛筆だけで書いていた。美大時代に1度、絵の具にも挑戦してみたのだが、あの無数とも言える色を使いこなせる気がしなかったので、すぐにやめた。
あれを使いこなせる人は本当に凄いと思う。
━ザッザッザッ。
鉛筆が紙を走る音。久しぶりに聞いたけど、やっぱり心地いいなぁ。
この音や鉛筆、紙の匂いが好きで子供の頃の私は夢中に鉛筆を紙の上に走らせた。その気持ちが今、
ずっと忘れてたなぁ。こんな気持ち。
※
絵は3時間ほどで完成した。
うん。自己満足としては
そう想いながら私はスケッチブックを見つめる。
そのスケッチブックには落ち着いた雰囲気が流れる店内で明るい笑顔を咲かせながら働く3人の若いスタッフの絵が書かれている。
私の絵描きとしての再スタートの1枚。
文句のないできである。
そう、これは労働時代が終わった世界で私が昔に置いてきた絵描きと言う夢を趣味と言う形でもう1度、全力で楽しむ物語である。
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