これは、働かなくてよくなった世界で、私が昔置いてきた絵描きの夢を“趣味”として楽しむ物語である。
若福
【プロローグ1】 昔置いてきた夢
世界の技術は進みに進み。労働AIと呼ばれる
そんな時代になってから早3ヶ月ほどが経つ。私、“
そんな愚痴にも似たことを私は喫茶店のミックスジュースを飲みながら中学時代から付き合いがある親友の“
咲花は労働時代から写真家を目指して頑張っていた背の高い綺麗な黒髪ロングの女性だ。うん。今日も
おっと話が
話を戻すと、とにかく咲花は夢を掴むために頑張ってたんだけど、時代は無理に夢を追わなくてもよくなった。なんせ労働をしなくても最低限暮らしができるだけのお金などは国が出してくれる時代だ。大体の夢って言うのはそれで食っていける様になって初めて掴んだと言えるものばかりでしょ?そもそも、何もしないでも食べていける時代に夢なんて言う硬い考えで自分の好きな事をする人はいない。
…まぁ、中には大きな目標を持ってやってる人はいるかもしれないけど。
まぁでもそれは目標であって夢ではない。今から数年後には夢って言葉は消えてるかもなぁ。
まぁとにかく労働時代が終わった今、咲花も例にもれることなく、夢を趣味に変えて写真を楽しんでるようだ。
「ねぇ?聞いてる?」
そう長い独り言を心の中で話していた私に咲花が声をかけてくる。
「ん?ごめん、なに?」
そう私が聞き返すと咲花は1度、呆れたため息をこぼす。これは仕方ない。話を聞いていない私が悪い。このため息はちゃんと受け入れよう。
「だ~か~ら~。最近、あんたみたいにそうやって長く楽しめる趣味がなくて苦労してる人、多いらしいわよ。
中にはボランティア感覚で労働してる人もいるみたい。」
「へ~ぇ。そうなんだぁ。
でも、さすがに私は労働を趣味にはできないかな~ぁ。」
そう言いながら私は椅子の背もたれに体を預ける。
「まぁ確かに由美はそういうタイプじゃないわよね。・・・そう言えば、あんた昔、絵書いてなかった?」
そう聞かれて私も思い出す。
私は小さい頃から多くの人と一緒に居るのが苦手な子供だった。
そんな私は学校などが終わると外に遊びに行かず、家で絵を書いてる事が多かった。その時間は自分にとって落ち着く大好きな時間で毎日、毎日、絵を書いていた。そんな私が画家を目指したのは必然的と言えば、必然的なのかもしれない。そして、高校卒業後、美術大学へと進む。
だがそこで私は現実を知るのだ。
美大に行くまで私は自分の絵を他人と比べた事がなかった。だから知らなかったのだ。自分よりも上手く綺麗な絵を書く人がいるなんて。それを知った私は美大を2年でやめ、社会人の道へと進む。
社会人になってから約7年間、私は1度も絵を書いていない。
そんな事を思い出しながら私は喫茶店の店内を見渡す。この喫茶店は珍しく労働AIを1人も導入していない。つまり、ここで働いている人は全員が普通の人間なのだ。
働かなくてもいい今の時代に働いているって事はきっとスタッフ達もこの店で働く事が好きなんだろう。
私がこのお店を気に入ってる理由の1つはそんなスタッフ達の想いを何となく感じれるところだ。表に出ているスタッフ3人、全員が明るく楽しそうな雰囲気を出している。
本当に素敵なお店だなぁ。
ミックスジュースも文句なしで美味しいし。
そんな事を想いながら私は店内をじっくりと観察して“記憶の写真に収める”。
「よし。書いてみようかな。」
そういきなり声に出したので咲花が「え?」と驚く。
そんな咲花に笑顔を向けながら私が「絵だよ。」と言うと咲花は「あぁ。」と理解する。
「うん。いいんじゃない。あんたの労働時代には夢を趣味にする暇はなかったのかもしれないけど、今は簡単にそれができるんだから。昔に置いてきたものをまた拾いに行くもの悪くないわよ。」
そう咲花が優しい微笑みと共に優しい言葉をくれる。
咲花の言う通り、昔置いてきた夢を違う形で拾いにいきますかぁ。
そうウキウキとした想いで私は家に帰るのであった。
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