第117話 受付前

解体場から移動したとき、まだ、カフールさんが放った冷気の魔力のせいで、肌寒く、外への扉が凍って開かなくなっており、何名かがこじ開けようとしていた。


ギルドマスターが、僕たちより先んじて、大きな声で、フロアー内に周知し始めた。

「周知がある。今まで、略奪行為について、ある程度、目こぼしをしていたが、今回から取りやめる。


理由は、2つある。

一つは、そこで寝転がっている馬鹿が手を出した方が、ミリオス伯爵家のお客人、つまり、ご貴族様の関係者ということだ。つまり、ご貴族様の関係者への略奪は、極刑となる。今までのような単なる弱者への行為でとどまらないということだ。

二つ目は、強者が実力を抑えていることがある。今回もその例になる。そうなると、略奪行為を行った者たちは物理的につぶされる。」

小声で、「誰が私の実力をばらしていいと言いましたか?」

ビクッとしたが、そのまま続けるつもりのようだ。

「よって、今まで、略奪行為をした後、ギルド職員が割って入って、諫めて、強制依頼をいくつか科すというような甘い対応では、受付前が血の海になる。

これは、ほかのギルドにも周知するが、ギルド職員も今後はそのように対応してくれ。

今回の件から有効となる。分かったな。」

カフールさんが、威圧をかけながら「ギルス、それだけですか?」

「わかったから、その威圧を下げてくれ。

あと、ここで寝ている奴は、衛兵に引き渡す。王都の法律によって裁かれる。

こいつのメンバーは、強制依頼として、塩漬けの依頼を2つ。そこで、見物しはやし立てていたやつらは、強制依頼として、塩漬け依頼を1つ、依頼を受けてもらう。」


ざわざわし始めた。誰かが、「そりゃあねえぜ、ギルマス。今、ルールを変えたと言っただろう、だったら、さっきの分は、入らねぇんじゃないのか?」

ギルドマスターが「だから言った。ご貴族様の関係者からの略奪行為だと。あと、街中で同じことをして、ただで済むと思っているのか?いままでが、温情だっただけで、略奪行為を容認していたわけではない。そこのところをはき違えるな。」


と、その時に、寝転がっていたやつが、飛び起きた。

「お、俺はどうしたさっきまで、、、、あ、あのガキ、その棍棒をよこせ。俺が有効に使ってやるって言っているだろうが。」と飛びかかってきた。

カフールさんとギルドマスターが間に入ろうとしたが、手で制して、「なんであんたにそんなことを言われる筋合いがある?あんたじゃ、この根がかわいそうだよ。」と煽ってみる。

「何を!!」と殴り掛かってくるが、ワザとぎりぎりでよけながら、「あ、おしい。もう少し。あれ、届かないね。」ともっと煽ると、とうとう、キレたのか。剣を抜いて、切りかかってきた。

そうしたところで、棍を四回、ゆっくり一般人でも見える程度のスピードで振って、両手足の骨を折っていく。

「ぎゃー!!痛え。誰か~~。」

「うるさい。」と棍であごを打ち抜き、もう一度、眠らせる。

ギルドマスターに向かい、「先ほど、そちらの受付の方に、衛兵に引き渡すようにお願いしたのですが、なぜ、拘束されてなかったのですか?


やはり、盗賊の巣窟ですか?ここは?」

ギルド職員が「いや、あの、先ほどまでの温情の件もあり、ギルマスへ報告後、行おうとしてまして。その、、、、」

「つまり、やはり、ギルドマスターが根本原因ということですね。

どうしましょうか?」

「困りましたね。こ奴らの首を貰っても、何の生産性もありませんし、慰謝料と言っても、たかが知れてますし。


周りの冒険者たちも、納得できていないようですしね。

本当にギルスが衰えて、冒険者たちに舐められているんですよ。」

「あ、ならば、ギルドマスターとここにいる冒険者と模擬戦を行って、ギルドマスターに勝てたら、罰則免除とかどうですか?ギルドマスターも身体がなまっているみたいですし、丁度よくないですか?」

「ああ、なるほど。ギルスにもいい薬になりますし、丁度良いかもしれませんね。」


ギルドマスターが「何を勝手に話を進めている。」

カフールさんが「では、こちらの納得できる落としどころを示してください。金品では、我々は納得しませんよ。」

「先ほど、僕に、偉く威勢のいいことを言っていたじゃないですか?

あ、僕とかカフールさんは、参加しませんからね。私たちは被害者ですから。」

「だあぁぁぁ。分かった。不満のあるやつは、訓練場へ行って待ってろ。

ただ、そこのパーティーメンバーへの罰則は変わらんからな。

あと、そのぼろぼろの奴は、受付で剣を抜いたんだから、ギルド証のはく奪は決定だ。

これでいいんだろう?」

「まだまだ、甘いですがねぇ。この後、このパーティーメンバーかそのお仲間に街でからまれたら、どうしましょうか?返り討ちに出来るかわかりませんし。

ここは、このパーティーメンバーも盗賊の一味として、衛兵に連行するなりした方がよいのでは?」

ギルドマスターが、「そこまで、こいつら馬鹿じゃないだろう。」

「じゃあ、もし襲ってきたら、返り討ちして、その首を冒険者ギルドの受付に並べますね。襲われて、けがをしたら、治療費を貰いますね。もし仮に僕が死んだら、ミリオス伯爵家の方から、連絡がいくと思うので、覚悟をしておいてください。」

ギルドマスターが、「小僧が、こいつらにやられるタマかよ。」と嫌そうな顔でぼやく。さっきまで、意気っていたのに、不思議だねぇ。

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