第114話 王都のギルドマスター
2階へ通された。
奥の席で座っている厳つい親父が席から笑っている。
「吹雪のカフール、健在だな。」
カフールさんが「何を言っているのですか?いつから、ここは盗賊の巣窟になったのですか?私のお連れしたお客様の持ち物を奪い取ろうとした行為を囃し立てるギルド員とそれを静観するギルド職員。どう言い訳をするのですか?返答次第では、我が主人共々、冒険者ギルドとは敵対関係になりますが?」
おっさんが「おいおい、その後ろにいる小僧が持っている黒鉄製の武具を取り上げられそうになったってだけだろう?実力不相応な武具は自身の実力を誤らせるから、忠告するつもりだったんだろ?目くじらを立てんなよ。」ってニヤニヤしながら、笑っている。
僕は、「カフールさん、王都の冒険者ギルドマスターって、ここまで、レベルが低くて務まる物なんですか?」
カフールさんが「昔は、もう少しマシだったのですが。あと、貴方の隠蔽スキルが以前より上がっていますから、気がつかないのでしょう。」
「どちらにしろ、ここにあの素材は卸せませんね。
後、ここ、殲滅していいですよね。さっき、あのギルドマスターが言っていた内容は、弱者から高価な装備を奪っても良いと肯定していましたから。」
「確かに、そうですね。伯爵様から、冒険者ギルドの本部へ報告しておきましょう。」
ギルドマスターが「おい、小僧、さっきから偉そうなことをしゃべっているが、身分不相応な武具は、危険を伴うというのは、本当のことだぞ。それに、その武具を奪い取ろうとした者は後で、説教して、持ち主に戻すのが通例だ。強奪行為を容認しているわけではない。それぐらい、わがギルド内は規律を持っている。」
カフールさんと顔を合わせて、「この人は脳筋なんですか?その割に、本能部分が劣化しているようですが?」
「やはり、現役を離れるとここまでどうしようもなくなるとは。悲しい限りですねぇ。力の一端を開放していただけますか?騒ぎは、貴方もいやでしょうし。」
「まあ、確かにそうですが。このバカに力を見せつけても、厄介ごとしかついてこない未来しか思い浮かばないのですが?」
「ですが、あの素材は、ここ以外では、たぶん、捌けませんし。」
ギルドマスターが「おい、さっきから、何を言っている。」
カフールさんが、「ギルス、お前が、現役から遠くなったために、相手の力量を感じられなくなったと言っているのですよ。この方は、私では、勝てない程の実力者ということもわからないとは。衰えましたねぇ。悲しいものです。」
「何を言っている。その小僧が、実力者だと?何を世迷いごとを。」
しょうがないので、ギルドマスターに絞って気配を開放していく。いきなりだと辛いだろうから、段階を踏んで、ワイルドベアーぐらいだと?ギルドマスターが驚いた。
ギガントオークぐらいにした時点で、ギルドマスターが、「すまん。私が衰えていたようだ。黒鉄程度の武具は、逆に小僧の力を制限しているようだ。」とか言ってきたけど、ワイバーン程度まで、気配を開放して、「まだ、いけるんだけど。この人、大丈夫?こんな程度で、ギルドマスター?レベル低過ぎて笑う。
カフールさん、あの品は、別に卸さなくていいや。この人に託しても、いろいろなところから情報が洩れそうだし。レベル低すぎ。」
カフールさんが、「そうは言っても、ここ以外に伝手もありませんし。」
「でも、解体だと、解体の職人さんたちにも緘口令をひかなきゃいけないし、無理がありませんか?」
一人、床に跪ついているギルマスを他所に雑談していると、絶え絶えの感じで、「すまん。俺が考え違いをしていた。頼むからこの威圧を解いてもらえないか?」と泣きが入った。
「え?小僧に”身分不相応な武具は自身の実力を誤らせるから教える?”とか言っていたギルドマスターが、何を言っているのですか?この程度で。ワイバーン程度なら、何回も戦ったこともあるでしょ?あれだけ偉そうなことを言っていたんだからさ。貴方が、どの程度のすごい武具を持っているかわからないけどね。」
ってへらへら笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます