第113話 宿「白馬の休み場」と各種ギルド
ヘンリーさんが案内するかと思ったら、カフールさんがわざわざ、王都の宿へ案内してくれた。
伯爵家への庶民のお客様を王都へ泊めるときに使っている宿が、白馬の休み場という名前らしい。その宿に案内された。ちなみに従魔は泊まれないので、ファルスさん連れでなくて本当に良かった。
あと、ありがたいことに、近くに薬師ギルドと冒険者ギルド、商業ギルドなどいくつかのギルドが入った中央ギルドと呼ばれる建物があることだ。
カフールさんに同行してもらい、応接室にすぐに案内してもらえた。
商業ギルドでは、過去に行われたオークションの落札価格の一覧も取り寄せることが出来た。つまり、どこぞの子爵様への報酬の裏付けを行う準備ってわけだ。やはり、実際に、書類として持っておく方がいい。直接、やり取りしないまでも。
付き添ってもらっているカフールさんが、「冒険者ギルドへ行きましょう。話は付けておりますので。」っと、冒険者ギルドの受付席に話をしに行った。
手持無沙汰で、周りを見ていると、「おい、小僧、その棍、黒鉄製だろう。俺が使ってやる。よこせ。」
うわぁ。テンプレだ。周りに同化していたつもりだったけど、見つかってしまったみたいだ。さすがに完全に、気配を消すのも問題があるので、E級冒険者程度の気配で埋没していたつもりだけど、無理だったらしい。
珍獣を見るような目で、馬鹿を伺いつつ、周りを見ていると、誰も反応しない。
何人か、こちらを窺っているが、基本不干渉がルールらしい。いや、食堂でたむろっている冒険者は、面白そうに囃し立てている。
馬鹿が、大きな声で「おい、聞いているのか?」ってな感じで、肩に手をかけてこようとするので、素早く、あご先をかすらせる感じで頭を揺らして、気絶させた。
「あれ、どうかしました?迷惑な方だなぁ。あ、カフールさん、待っていましたよ。」
カフールさんが倒れている冒険者を冷たい目で見ながら、「どなたか、倒れられている方がいらっしゃるようです。邪魔ですので、回収してください。私たちはこれから、ギルドマスターへ会う予定ですので、急ぎますので。」
それを聞いたギルド職員が慌ててきて、「申し訳ございません、うちのギルド所属の冒険者がご迷惑をおかけして。おい、この冒険者のパーティーがいるだろう。さっさと片付けろ。」
僕がこれ見よがしに、「傍観しているから、こうなるんだよね。ここのギルド職員も盗賊のグルなんじゃない?」
カフールさんが「まあ、元気の余っている冒険者の発散とでも考えたのでしょうが、悪手ですね。」
「だって、盗賊ですよ。人の棍奪おうとする輩を見逃すってことは、ここが盗賊の魔窟?ってやつですか?討伐しますか?」
「ええ。そうしましょう。」って、冷気がフロアー全体に広がり、扉や窓が凍りついた。
青い顔をしたギルド職員が、「それは、ご勘弁を。」
僕が、「何を甘いことを、自分の行動には、責任が伴うのですよ。では、その者を衛兵へ引き渡してください。そうしないと、貴方も盗賊とグルということで、一緒に警備兵へ突き出します。
では、ギルドマスターに会いに行きましょう。もしかしたら、ギルドマスター自身が盗賊の頭目だったら、討伐対象ですね?」
カフールさんが、「その時には、私も、お手伝いしますよ。ふふふ。」
そのフロアーにいたメンバーは、得体のしれない、少年と執事を見送った。
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