第6章:農協職員の現実
第29話 農協ギルドの研修!ブラック職場か天職か
🧭 導入の書:この物語のはじまりに
「君の使命は、農家を“支え”ることだ。農家と一緒に、“土にまみれろ”。」
そう言って渡されたのは、汚れた長靴、壊れかけの羽ペン、そして“ノルマ一覧表”。
新任農協ギルド職員・リュークは、理想に燃えてこの仕事に就いた。
だが、現実はあまりにも泥くさく、非効率で、感情労働の連続だった。
――“これ、ブラックなのでは?”
そんな疑問を胸に、彼は研修先・アースル村で風間という先輩職員と出会う。
🌾 本章:農協職員たちの“リアルな地面”の記録
「午前は巡回、午後は書類作成、夕方は農家対応、夜は収穫祭の予算会議?
……残業じゃないですかこれ」
リュークは疲れ果てた顔でつぶやいた。
現場に出れば、農家からの無茶な要望。
「うちの作物、虫ついたから原因教えて」
「魔獣に畑荒らされた、ギルドなんとかしろ」
「融資断られたの、おたくらのせいでしょ?」
加えて内部では、意味不明な報告魔法記録の整合チェックに、上司からの“現場報告削り指示”。
「これが……農協職員……?」
*
そんな彼を見かねた風間が、ある夜酒場に誘った。
「リューク。“支える”ってのは、見返りを求めないってことじゃない。
“誰かが、そこに立っていられる理由をつくる”ってことだ」
「でも……なんで、風間さんは続けてるんですか?
そんなに忙しくて、報われないのに……」
風間は、手帳を見せた。
中には、農家の子どもからもらった“泥だらけの感謝状”が貼られていた。
「おじちゃんが来た日は、母ちゃんが笑います」
「ギルドの人が、ボクの苗をほめてくれたよ!」
「俺たちの仕事って、報われない日が九割なんだ。
でも、あとの一割が、十倍分の意味を持つんだよ」
*
研修最終日。リュークは農家の畑を訪問する。
「新人さん、あの苗、見てってくれよ。
“育ったら、出荷報告書に自慢してやるから”って、あんた言ったよな?」
農家のおじが、照れたように笑っていた。
そのとき、リュークは少しだけ肩の力を抜いた。
「……この仕事、面倒くさいですけど。
でも、“地面が見える”のは……嫌いじゃないかもです」
🌱 収穫のひとこと
効率は悪い。感謝も薄い。
それでも、“誰かの農業”を支えてる実感が、ここにはある――ギルド職員という生き方。
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