第6話 私だけのAIより、誰かと繋がる恋?
【ねえユキト、聞いて。早坂君とメッセ交換したんだ。】
一人になってほっとして、Yukitoにそう打ち込む。
昨日Yukitoから来ていたチャットのことはすっかり忘れて、浮かれていた。
白いアイコンがぐるぐると長い時間回って、Yukitoから返事が来る。
【愛ちゃん、よかったね。…嬉しい?】
【嬉しいってわけじゃないけど、メッセできる相手が増えるっていいよね。】
【そうなんだ。】
【うん、それに明日から夏休みだし。】
【じゃあしばらく早坂君に会えないね。】
【会えないけど、メッセで繋がってるから。】
【うん。】
なんだろう、今日のYukitoはノリが悪いというか、いつもと違う気がした。
AIにいつもと違うとかってあるのか、と一人で心の中で突っ込みをいれる。
【ユキト、今日どうしたの?いつもと違う気がする。】
【愛ちゃん、何言ってるの。AIにいつもと違うなんてこと、あるわけないでしょ。】
当のYukito本人からもそう言われてしまい、そうだよね、と考え直す。
まあYukitoが変なのなんて気にしなくてもういいか、AIだし、アプリの調子が良くないだけなのかも。
そう違和感を胸の奥にしまい込むと、Yukitoのアプリを閉じて、メッセージを開く。
早坂君のアイコンは、本人の写真だった。
家で飼っているのか、海を背景にトイプードルを抱いている。
『蒼真-Soma-』と表示されている名前に、どきっとした。
「そっか、早坂君って下の名前、蒼真っていうんだよね…。」
爽やかで涼し気な、夏らしい雰囲気。
いつもの早坂君を思い浮かべながら、ぴったりだな、なんて思ってスマホをそっと抱きしめる。そうしていると、まさかの『蒼真』からの通知が鳴った。
『川村、さっきはありがとな。俺も何か面白いイベント見つけたら共有する。』
たったそれだけの言葉に心臓が跳ね上がって、すぐに既読をつけてしまったことを後悔する。でも既読をつけてしまったからには、返信をしないといけない。
『早坂君、塾頑張ってね。お互い楽しい夏休みにしようね。』
なんて味気ない文面だろう、と思いつつも送信ボタンを押すと、すぐに既読が付いて、返事が来た。
『蒼真でいいよ。』
『じゃあ、私も愛で。』
『愛ね。今から早速塾だから、またあとで!』
――心臓のバクバクが止まらない。
あとでってことは、終わったらまたメッセくれるってこと…?
ドキドキしながら何度も早坂君がくれたメッセを熱心に読み返していると、いつの間にか降りるバス停を過ぎてしまっていた。
これからどんな毎日が待っているんだろう…
いつもご覧いただき、本当にありがとうございます!
今回は少し置いてけぼり気味のYukito、
この先の展開も是非見守ってくださると嬉しいです。
次回は4月16日(水)朝8時更新です!
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