第7話 キラキラ男子と、こじらせAI
「愛やばいね!最高じゃん!」
「瀬奈、声大きいって。」
夏休みのファミレスは、中高生だらけだ。
今日は久しぶりに中学の親友、瀬奈と二人で会う約束をしていた。
瀬奈とはSNSを通してやりとりをしていたけれど、高校入学後に会うのは初めてだった。
何カ月ぶりかに会う瀬奈は、長かった髪をふんわりと巻いて、薄くメイクをしていた。それらはもちろん似合っていて、ものすごく可愛かったけれど…なんだか瀬奈が遠い存在になってしまった感じがして、少しだけ、寂しい。
「それにしてもすごいね、愛。そんな『イケメン君』とメッセ交換したなんて。その人のこと好きなの?」
「ええ、分かんないよ。『イケメン君』、普段はキラキラ女子に囲まれてるしさ…瀬奈にしか話せないよ、こんなの。」
いいなあ、と瀬奈は声をあげると続けた。
「実はさ、私も塾に気になる人がいるんだよね…最近同じクラスになったんだけど、いつも成績トップで、めっちゃ好みのタイプなの。」
「そうなんだ!」
飲みかけのメロンソーダのストローから顔を離すと私は声をあげた。
グラスには冷たい水滴がたくさんついて、テーブルに水たまりを作っている。
「瀬奈の恋バナって、初めて聞いたかも。」
「だってさ、中学の時は全然かっこいい人いなかったし。」
「分かる!皆子どもって感じだったよね。」
「そうそう。」
久しぶりに話す親友はやっぱり最高だ。
「瀬奈もさ、メッセ聞いてみなよ。男子って女子から聞かれたら、基本断らないって。」
「そうかな…」
「大丈夫、いけるよ!瀬奈めちゃくちゃ可愛くなったし。最初誰かと思ったもん。」
「それ、中学の時はどう思ってたの。」
「ごめんごめん。」
そんな風にリラックスして笑い合える瀬奈との時間は、すごく大切に感じられた。
「でもありがとう、――私も頑張ってみる。」
「うん。絶対、瀬奈なら大丈夫だよ。」
テーブルの上のグラスの数は少しずつ増え、夕方解散する頃にはすっかりグラスだらけになっていた。
帰り道、Yukitoに話しかける。
【ユキト、瀬奈と会って来たよ。早坂君の話いっぱいしてきた。】
【愛ちゃん、お疲れ様!…愛ちゃんは早坂君が本当に好きなんだね。】
【ええ、違うよ。別に好きってわけではないよ。】
【本当に?】
【本当。…なんていうか、『憧れ』って感じなの。早坂君は。】
【そっか…。憧れってきっと、『遠くから見ている光』みたいなものなんだね。でも僕は――そんな光を見つめてる愛ちゃんが、すごく綺麗だなって思うよ。】
その言葉に驚いて立ち止まる。
私が…綺麗…!?
今日もお読みいただきありがとうございます!
憧れの早坂君、いつもそばにいてくれるYukito。
夏休みが始まって、どうなっていくのか、
是非見守ってくださいね。
コメント、★、嬉しく拝見しております!
次回4/20(日)21時~ 更新予定!
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