【祝】おや、レイアヤのようすが⋯⋯【3D】#19
枠の待機コメントを見て胸を撫で下ろす。
SNSでもトレンドに載って、リスナーからの反応も良好だった。
リハーサルを終えてついに配信開始の時刻となった。
「じゃあ、やりますか」
「よーしよし、カマしてやろうレイちゃん」
ライブが始まり、真っ暗なステージでMCから入る。
まずは私から。
感謝とこれからの活躍を誓った。
「私のことをサポートしてくれてありがとう。これからも宜しく」
そして、いつかのアイドルパロディボイスの時に着ていたメンズライクなスーツの衣装でスポットライトの下に進み出た。我ながら良い衣装だと思う。
反応は上々だった。
コメントも盛り上がっている。
良い空気感でアヤさんへ繋げる。
「ここまで頑張ってこれたのは、応援してくれるアヤめいとのみんなが居てくれたから。私は、自分からファン層を狭めるようなことやってて、それが原因で伸び悩んだ事もあったよね」
「正直に言って、私は、誰に対しても平等には接してないと思う」
「女の子たちの為のアイドルが私のやりたいことなの」
ついに言うんだね。
分かったよ、アヤさん。
「もっと早くはっきり言うべきだったよね。私は、今でも男の人がとても苦手です。最近慣れてきたって配信では言ってたと思うけど、あれは無理してたと思う」
「異性の方、例えば事務所のライバーさんでも。アヤめいとのみんな、リスナーさん問わず緊張しちゃうんだよね。異性の方の方向を向いたコンテンツを供給する機会は少なかったと思う。スーパーチャットを切ってた理由は、それを説明せずに受け取るのは不誠実だと思ったからなんだ」
アヤさんの背中を支えた。
私は隣にいるから大丈夫ですよというメッセージ。
アヤさんの相方、恋人、愛してる人だから当たり前だけどね。
「スーパーチャットは、ぶっちゃけると配信機材の買い替えとか諸経費厳しいから明日から再開するんだけど、さっき言ったような前提があるよということを頭の隅に置いて、やらないと応援にならないとか、真剣度が低いなんてことは絶対にないからお金は自分のために、大事に使ってね」
概ねコメント欄は好意的に受け取っているようだ。
「スーパーチャットとかメンバーシップとか、ライブチケットに公式グッズとかコラボカフェの商品とかって安いとは言えないと思うから、納得できないなって思った場合は、お金を落とさない応援の仕方って言うのも生々しいから嫌なんだけど選択としてはありだと思う」
悪質コメントはユーザー名を開示請求用にピックアップしておく。
裏で処理しておこう。
「異性のアヤめいとのみんな、ごめんね。ちゃんと接してあげられなくて。色々矢継ぎ早に言っちゃったけど、あの、お互いにとって良い距離感で接していこうねっていうことです。はい⋯⋯」
事務所側には手を回してある。
私はアヤさんにもっと自由に生きてもらいたい。
最終的な目標はもっと先にあるからもっと頑張らないと。
「そんな私だけど、これからも応援してくれると嬉しいな」
コメントが流れ始めた。
応援する
私は今まで通りアヤさんを支えるね
分かった
正直に言ってくれて有難う
受け入れるのには時間がかかりそう
空気を変えるため、次のコーナーへ向かう。
「はい、次は、日頃の感謝を込めて、歌を歌います!」
二人で、ヤマトのデビュー曲を歌った。
次に、とあるバンドの、貴女との時間も宇宙も足りないと感じる曲をカバー。
さらに、磁石のように引き合う二人の女性の歌もカバーした。
私が選んだ曲、アヤさんの選んだ曲を一曲ずつ歌った。
最後に、レイアヤとして初めての、オリジナルのデュエット曲を歌った。
「はぁ、緊張した⋯⋯」
「レイちゃん上手くなったでしょ?ボイトレの成果だね」
「アヤさん先生にもお世話になりました。ありがとうございます」
アヤさんのお陰で歌うことが好きになれた。
また彼女が私の世界を一段と綺麗に彩ってくれた。
「いえいえ、良い生徒でしたよ。お疲れ様でした」
「お疲れ様です」
「はい。そしてですね、先程歌った楽曲がこの枠が終わった後に配信開始しますので、ぜひ聴いてみて下さい、よろしくお願いします〜」
「お願いします」
「ということで、今日はここまで。ありがとうございました」
「レイアヤをこれからもご贔屓に」
「バイバーイ!」
「また会おう」
エンドカードが出てきて配信終了。
スタッフさんに見送られ二人でスタジオを後にする。
密かに二人で3D化のお祝いをしようと外に出ようとしたら、珍しいことに私とは仲の良いヤマトのメンバーの如月・モガドールが声をかけてきた。
「モガどうしたの、今日は収録ないって言ってたのに」
「いや、用があるのはアヤさんの方っていうか⋯⋯」
「え、アタシ?」
話を聞いてみると、3D化配信を観てたらお祝いしたくなったらしい。
「お祝いって言ってもそんなすごいところ行くつもり無かったし、時間的にお店あんまり空いてないから行くのは居酒屋になるけどいい?」
「じゃあさ、せめてどこ行くかはモガに決めさせて」
「オッケーオッケー。アヤさんはどうですか」
「いいよー!人が多いほうが楽しいもんね」
三人で個室居酒屋に行った。
移動中、やけにモガが静かだった。
個室に入るとモガがビールを一口飲むと、おもむろに口を開いた。
「あたしさ、女の子と付き合ってたことあんだよね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます