第2話総理大臣の1日は、忙しい
国会議事堂の天井は高く、荘厳な雰囲気を醸し出している。しかし、俺にとってはただの読書スペースだった。
「やっぱりジャンプは面白いなぁ……」
昼休み。国会議員たちが居眠りしている間に、俺は彼らの頭の上で悠々と漫画を読んでいた。なぜそんなことをしているかって?それは、この異世界日本では、総理大臣でさえ好き勝手に振る舞えるからだ。
「……おい!なんで私の頭の上で漫画を読んでいるんですか!」
突然、俺の読書スペースが動いた。驚いて顔を上げると、黒いマントに赤い服を着た少女が俺を睨んでいる。目つきは鋭く、その瞳にはギラギラとした光が宿っていた。
「なに?」
「なにじゃありません!いいでしょう、受けて立ちます!」
何を受けるんだよ……。
彼女は中二病をこじらせた議員だった。名前は棚松。無所属。理由は「一人のほうがかっこいいから」。しかし、彼女の政策は妙にまともだった。「消費税の一部を除く減税」「物価高騰を防ぐための円高推進」「円高の影響で潰れそうな企業への支援」。……一部を除けば、という条件付きだが。
俺は堂々と名乗った。
「わが名は山田総理大臣。総理になって五年目だ!」
「え、あ、え、あ……え?あ……?」
棚松は目を丸くして俺を見つめた。まるで、人生で初めて人と会話したかのような顔だ。
「……お前、人に話しかけられるの初めてだろ」
「ち、ち、違う!そんなことあるわけない!まぁまぁまぁ……でも、この休憩時間が終わったら、代表質問でお前を倒してやる!」
……倒すって何?
そんなことを考えているうちに、休憩時間は終わり、国会は再開された。
「それでは、衆議院代表質問を続けます。次は棚松無所属議員、お願いします」
「はい!棚松です!総理に質問します。消費税減税の検討はありますか?」
ド直球できたな……。
「な、な、なんだって……!?」
俺は思わず頭を抱えた。消費税減税なんて、そんな簡単にできるわけがない。だが、この異世界日本では、普通のルールは通用しない。だからこそ、俺は秘密兵器を用意していた。
「現在、総理大臣はこの質問に答えられません。代わりに山崎財務大臣、お願いします」
「な、な、なんだって!?なぜだ!?」
棚松が食い下がるが、俺は余裕の笑みを浮かべる。
ふふふ……この異世界日本では、法律も現実とは異なる。俺は事前に、財務大臣をプッンプリンで買収しておいたのだ!
通常ならば買収は犯罪。しかし、ここでは違う。法律が「贈り物での交渉は合法」になっている。つまり、俺は合法的に財務大臣の心を掴んだのだ!
「質問はしないでください!!山崎財務大臣、お願いします」
壇上に立ったのは、赤いネクタイを締めた体格のいい男。
「はい、山崎財務大臣です。消費税減税についてですが、民和党と協議した結果、来年の5月から15%から8.5%に引き下げることが決定しました!」
「な、なにぃぃぃ!?」
棚松が絶叫する。俺もびっくりした。え、そんな話だったっけ?
まぁいい、結果オーライだ。
「へへへ……勝ったぞ、棚松」
代表質問が終わったのは午後5時44分。俺は満足げに議事堂を後にしようとした。しかし、棚松が俺の前に立ちはだかった。
「ま、ま、ま、負けた……!なんか知らないけど、勝手に負けたことにされているような気がするけど……ま、まぁいい。惨敗だ!」
意外とあっさり認めるな、この子
「と思ったか?!?多分こいつは、魔物がいない日本国から来やがったから暗殺したら絶対まけるすよ」
なに?!?!なんでそれが?!?!
終わり
次回 山田総理大臣と山田そじょうの過去編
AI版カクヨム系 都道府県転生 時山田東 @sinoyamada
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