第14話



——ピチャン。


——ピチャン。


——ピチャン。


——。


綺麗な水音が消えたのは、あたしが歩き出して数分の事だった。

理由は単純で、目の前の光景に驚いたからだ。

「ねぇ、麗。これは?」

「なんだと思う?」

質問に質問で返されたあたしは、一瞬戸惑いながらも、頭の片隅では出ていた答えを口に出した。

「死者…」

静かに零す律花達の周りには人が沢山居た。だが異様なのは誰一人として、無言で何かを求めるように、同じ方向へ歩いている。

『まるで』亡霊みたいに静かで、言い換えれば不気味な、そんな光景に律花は戸惑ってしまったのだ。ただ、律花の答え。それは『死者』。

仮にそれが合っているのなら、『まるで』亡霊なのではなく、れっきとした死者だ。

ただ、その自分の答えた答えに対して、律花は間違えとは一ミリも思っていない。

なぜなら、ここがそういう場所であることは、事前に麗に聞かされていたからだ。仮に死者以外なら何かと逆に聞いてやりたい。

「——正解」

すると麗は小さな声で、その死者達を見ながら言った。

「この人達はどこに行くの?」

「勿論地獄——生まれ変わる人達さ」

「そっか」

その答えを聞いた瞬間、あたしは心のどこかでほっとした。

「なんか不気味だね」

「そりゃそうだ。一応この人たちは死者だ。死者を見て怖く感じるのは、人間の本能だよ」

「——」

「ほら行こう。この人たちの目的地に僕たちも行くんだ」

「この人たちに目的地?」

「そう。愉快な場所さ」

「愉快…?」

首を傾げるあたしに、麗は静かに顎を引いた。そして麗を先頭としてあたし達は再び進み出した。

「子供…」

ふと目に入ったのは、子供の姿だった。他の人同様死者だと思われるが、見るからに幼い容姿に、あたしは複雑な気持ちになった。

あたしもこんな身体だが、一応子供だ。まだ小学校にも入っていないれっきとした子供なのだ。だから、自分を見ているようで悲しい気持ちになってしまう。

そんな子供に対して、あたしは助けてやるとも言えずに——そんな無責任言えずに歩き出した。

「ここだ」

そんなこんなで、数十分と意外にも長い時間歩いたあたし達はその目的地と言う場所に着いた。そこは『光』と言う場所で、先が見えないほど眩しい場所だった。まるで太陽の中にいるみたいな、そんな明るい場所だ。

周りの死者達はそこに次々と入って行く。

その人達に遅れを取らないようにあたし達も入り——。

刹那、あたし達二人は光に包まれ、意識が遠のいて行くのを感じるのを最後に、視界が黒く染まった。

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