改めて

第15話

「おぉ!これはこれは良い女。肌のハリも最高だ!でも——」

その言葉であたしの意識は戻された。だが、その目覚めは決して良いものとは言えず、むしろ最悪だ。

恐怖で支配されるとはこのことだと、理解してしまうほど、あたしは驚き、恐怖を感じていた。なぜなら——、

「生きてやがる」

あと少しで触れてしまいそうな距離に怖い顔だあるのだから。

鋭い目付きだが、右目は眼帯がされている。汚く髭を生やし、髪はチリチリで長いとも短いとも言えない微妙な長さの男。それこそ老人と言うには若く、若者と言うには老いていて、でもおっさんと言うにはしっくりこなくて。

不思議な男といえばそうなのだが、かっこいいと言われれば否定できない、そんな容姿だ。でも、それにしても近すぎる距離で、怖い言い方はやめてほしい。

「ほらやめとけ。怖がってる」

「うるせぇ。新人の癖に」

「パワハラで訴えますよ?」

「はッ!日本語で喋れよ。麗さん」

完全に孤立してしまったあたしは、為す術なく固まっていて、完全にマグロ状態だ。

だが、その喋り相手の方向に視線を移すとそこには見慣れた顔、麗が居た。

だが麗は男と話に夢中になっていて、あたしには目をやってくらすれない。

そんな状況が終わったのは数分経ってからだったが、あたしにとっては一時間くらいと、かなり長い時間に感じた。

「ねぇ、麗。あの人誰?」

拘束から解かれたあたしは、麗の隣へ助けを乞うように行った。

「あの人は——」

「俺は鬼だ!」

麗の言葉を遮るように続けた男——もとい自称鬼はまさに鬼の形相でこちらを見てくる。

「はいはい。酒鬼さんね」

どうも違ったらしい。改まって、鬼——もとい酒鬼さんは麗を睨みつけた。

「——」

「怖い?」

そんなつもりはない——そう言えば嘘になるが、出来るだけ顔に出さないようにしていたあたしだったが、出来ていなかったらしい。

あたしは麗のその問いかけにこくりと、わずかに顎を引いた。

「大丈夫、酒鬼さんは見た目はああでも、優しい人なんだ」

「優しい?」

見た目は怖いが、中身は優しい人は山ほど居ることあたしは知っているが、酒鬼さんは中身も怖い。それはさっきの出来事であたしの中で、証明が完了してしまった。QED

だ。

なのに優しい…そんな姿想像もできなかった。

「優しい人だ——」

「俺を蚊帳の外にするんじゃねぇ!」

「うん。ごめん。僕嘘吐いたかもしれない」

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