第51話:ボスバトル

 「ここが敵の本拠地か?」

 「大地も空も灰色、悲しい星だ」

 「む、斬撃! 避けるよ!」


 リンネテンセイオーで敵の本拠に降り立った俺達。

 側転で敵の攻撃を回避する。


 『くっくっく、やっぱりここまで来たかテンセイレッド』

 「その声はザンゴ、また剣士ロボか!」

 『お前さんと斬り合いたくて、マッドキラーの体を頂戴したよ♪』


 以前倒したザンゴ、今度は真っ赤な鎧武者風ロボで登場だ。


 「ちい、敵の女王もいるってのに面倒な!」

 「レッド先輩、今度こそ成仏させてやるっすよ!」


 俺が毒づくがピンクは闘志を燃やす。


 「諸君、地下から生体反応だ退避!」

 「全力ブーストですわ!」


 ゴールドが大地のうねりに気付き、ブラックが機体を飛び退かせる。

 大地を割り、俺達の前に現れたのは、巨大な女の上半身を持つ白き蜘蛛。

 クィーン・タタキアンだ。


 『ヒッヒヒヒ、タッパが足りないから女王に乗り込むよ♪』


 ザンゴが女王と合体すると、敵は赤い甲冑を身に纏い金属化した。

 白から赤い蜘蛛女ロボに変化した女王。

 巨大な方案を装備し、下半身の蜘蛛ボディを走らせ突進して来た。


 「そんな物、受けきって見せる!」

 「僕達の馬力を舐めるな!」

 「ゴールは守り抜くよ!」


 シルバー、ブルー、グリーンがパワーを発動させて踏ん張る。

 転生剣で敵の刃を受け、激しい衝撃が機内に伝わる。


 「今だ、テンセイオーサンダーボルトだよ!」


 イエローの操作で電撃を放射し、敵をたじろがせる。


 「引き小手!」


 飛び退きながら小手を切る!

 だが敵ロボは、下半身の蜘蛛脚を一本消費して再生させた。


 『ヒヒヒヒ♪ 小賢しいねえ、だがこっちもまだまだ行けるぞ♪』


 ザンゴの陰湿な笑い声が聞こえて来る。


 「気持ち悪いっす、レッド先輩のストーカーっす!」

 「レッド様をストーキングして良いのは私だけです!」

 「いや、駄目だよ!」


 仲間のボケが陰湿な空気を払てくれた。

 笑いは陽の気を生みだすから大事だ。


 「諸君、糸攻撃が来るぞ!」

 「了解、カーバンクルサイクロン!」


 ゴールドの叫びにグリーンが機体を操作して竜巻攻撃を行う。


 「ケルピースプリンク、灰を泥に変えてやる!」


 続いてブルーが放水攻撃を行い、敵の足元を泥状に変える。


 『おおっと、頭の切れる仲間がいるねえ♪』

 「ありがたいよ、せりゃ! テンセイオーミーティア!」


 飛び退いた敵に、突進技で間合いを詰めて剣を振るう。


 「重力は私の力で自由自在だ、気にせずやりあえ!」


 シルバーのお陰でロボ戦でも軽快に戦えていた。

 敵も手強いが、ザンゴと一体化したお陰で却って戦いやすかった。


 『ヒッヒッヒ♪ 楽しい、楽しい斬り合いだよ♪ ずっと斬り合おうよ♪』

 「楽しさで剣の道を外れた外道が! こっちは学校生活が待ってるんだ!」


 帰る家なき哀れな剣の亡霊、いつまでもチャンバラごっこで遊び続けたい幼子。

 そんな感じに思えるザンゴの気持ち的な物が剣から伝わる。


 敵の攻撃をどうにか耐え凌いではいるが、かすり傷やら衝撃は来る。


 「レッド、いい加減に決着付けなさいよ!」

 「達人が遊び気分で振るって来る技を、ロボのお陰でやり合えてるんだよ!」


 グリーンとは経験した競技が違うからわかり合えないだろうな。

 この剣士の感覚的なもんは、彼女がやって来たサッカーに例えられない。


 「ならば隙を作ろう、テールスティンガ―!」


 俺がメインで敵の剣戟と渡り合う中、ゴールドが機体操作に加わる。


 リンネテンセイオーから金色の巨大な蛇の尾がドリルとなて敵に突き立てられる。

 敵の方は蜘蛛の足を操り盾を作ってガードする。

 だが、こちらの蛇の尻尾ドリルは 相手のガードを貫き後ずさらせた。


 「今だレッド、全速力で突っ込むからあいつをぶった切れ!」


 ブルーが叫びながら機体を加速させて突進させる。


 「やってやるぜ、テンセイオーミーティア!」


 流星の如く突っ込み、横一文字にぶった切る!


 『ぐはっ! ま、まだまだ! まだ斬り合える!』

 「終わりだ、ヴィクトリーフィナーレ!」


 機体を反転させて、これで最後だと皆で必殺技を放つ。


 『い、いやだ~~~! まだ遊びたいよ~~~~!』


 ザンゴは、乗っ取ったクィーンタタキアンと共に光の柱となって消滅した。


 「やった、私達勝ったんだね♪」


 イエローが喜ぶ。


 「レッド、周囲に生命の反応はないか?」

 「そうだよ、また甦るかもしれない!」


 ブルーが俺に生命探知を要求し、グリーンが敵の復活を恐れる。


 「今やってる、デカい生命反応はないが地中に一杯感じる!」


 俺は精神を集中し、命の炎を探る。

 感じるのは、小さいが無数の人ではない紫っぽい命の炎の群れ。


 「もしや、女王の卵では?」

 「ゴールド様、如何いたしますか?」


 ブラックが恐ろしい事に気が付く。

 シルバーは司令官であるゴールドに判断を仰いだ。


 「卵って聞くと可哀想て気持ちが沸いて来るっすけど放置できないっす!」


 ピンクがためらいの気持ちを述べる。


 「レッド君、この星全体に人に類する知的生命体の反応はあるか?」

 「俺ら以外にはないっす!」


 ゴールドの言葉に俺は答える。


 「良し、私の権限で命じる! クィーンタタキアンの残した卵を消滅させる!」


 ゴールドが思い切って叫ぶ。


 「了解、だったら俺がヒノエの力で生まれ変わらせる!」


 あの蜘蛛の怪物も、利用されて来たんだとは思う。

 願いが叶う宝石を生みだす力なんて誰が見つけたんだか知らねえが。


 「俺の残りのエネルギー使うぜ、リンカーネーションファイヤー!」


 俺が本日最後だと言わんばかりに機体を操作。


 天高く舞い上りリンネテンセイオーの両手を掲げ太陽の如き火の玉を生み出す。

 前世でヒノエが使ってくれた転生の力の塊を、地上へ叩きつける。


 その一撃は惑星を光で覆い、リンネテンセイオーを惑星の外まで吹き飛ばした。


 「レッド、しっかりしろ!」

 「レッド君!」

 「レッド!」


 仲間達の声が聞こえたが、俺は意識を失った。


 「……ん? ここは、どこだ?」

 『ピヨ! 灯希が起きたピヨ!』


 目が覚めたら見知らぬ天井、俺は元の姿で寝かされていた。


 「うう、力が入らねえ。 生きてるのはわかるけど起き上がれねえ」

 『ピヨ、無理しちゃ駄目ピヨ! 私もこんな小さくなっちゃったピヨ』


 ピヨピヨとヒヨコサイズになったヒノエがささやく。


 「相棒、ここは何処だ? あれからどうなった?」


 ヒノエに尋ねる、最後にロボで超大技ぶっ放した後の記憶がない。


 『大丈夫ピヨ、あれから三日後でムーンステーションの病室ピヨ』

 「そうか、どうにかなったんだな? 良かった」


 無事に戦いが終わり、自分達の基地へと戻って来れた事に安堵する。

 これで、前世の因縁の敵であるタタキアンと戦いは終わったんだ。


 『いるメンバーを呼ぶピヨ♪』


 ヒノエがナースコールのボタンを押してくれた。

 すると、外から激しい足音が聞こえて来たと同時にドアが開く。


 「灯希君、目が覚めたんだね♪」

 「灯希様、おはようございます♪」

 「……永遠様、ルージュ様? 病室ですよ?」


 何故かいるローズレッドことルージュ。

 テンセイブラックこと、この基地の主の永遠さん。

 そして、執事服のシルバーことパトリシアさんが入って来た。


 「うん、相変わらず騒がしくて安心だぜ♪」


 戦いの後は陽気なコメディ成分が心に効く。


 「まったく、前世の頃から君は無茶ばかりして」

 「本当ですわわ、これだから勇者のあなたが大好きなんです」

 「うん、前世の知り合いに言われるすまん」


 他の仲間達はどうしたんだろう、学校かな?


 「皆さんはお先に地球で、学校に仕事にと戻られてますよ♪」

 「良かった、俺もしばらく休んだら帰らないと」


 学校の出席日数やら、師範代の黒羽さんの稽古と今後の予定が待っている。


 『ピヨ、灯希の回復の為にご飯が欲しいピヨ♪』

 「そうだな、腹減ったよ♪」


 俺の腹が鳴った事で、病室にいる皆が笑顔になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る