第40話:三人レッドが斬る!

 代役で舞台に立つ事となった俺。

 ヒノエが台本を読んで台詞を覚える。

 すると、俺の頭にも台詞が入って来た。

 ヒノエが本当に外部記憶装置になってる。


 「よし、二人共さくっと衣装に着替えだ♪」

 「あ、はい!」


 ルージュとは別の場所に行き、衣装だカツラだと着替える。


 俺は赤い着物の侍役、紅太郎侍の姿で楽屋に戻って来た。


 ルージュは赤い着流しで遊び人の紅丸と言う役らしい。


 炎太郎さんは、ド派手な赤い袈裟の坊主の紅和尚。


 『三人紅剣風帳さんにんくれないけんううちょう』と言うタイトルの時代劇だ。


 「じゃあお前ら、舞台に行くぞ~~♪」

 「「オ~~~~っ♪」」


 座長である炎太郎さんについて行き、楽屋を出て舞台へ向かう。


 本番が始まり、俺達三人で舞台を回すシーンとなる。

 荒んだ寺のセットの中、三人の人物が姿を見せる。


 「生まれた時は違えども~♪」


 紅和尚くれないおしょうこと炎太郎さんが仏像の前でセンター。


 「あ、兄弟杯酌み交わし~♪」


 左翼に座る。遊び人の紅丸べにまることルージュが続く。


 「我ら三人、死すべき時は一緒~♪」


 右翼の俺演じる、紅太郎侍べにたろうざむらいが締める。


 三人で同時に飲み干した杯を床に叩きつけて割ると拍手喝采。


 「ル~~~ジュ様~~~♪」

 「炎様、最高~~~♪」


 うん、流石は役者二人は人気だな。

 俺は無名なので特にない。

 しかし、お客さんから好評を頂けるってのは羨ましいな。


 和尚に遊び人に侍、生まれも育ちも違う紅の名を持つ三人の男が集い。

 義兄弟の杯を交わして、江戸にはびこる悪を裏で葬る。

 何か色々混ざった芝居である。


 お次は悪役達の悪だくみのシーン。

 舞台の明かりが消えたら、セットを移動し役者も変わる。


 だが、突如勢いよく体育館入り口のドアが開いて雪崩れ込む者達がいた。


 「ゲロ、ゲロ!」


 チョンマゲ頭をした白い仮面に黒ずくめの人形生物、戦闘員だ!


 「ゲコ~~~♪ ゲロッパ共、観客共を千両箱に吸い込め~~♪」

 

 戦闘員の後に現れたのは、トノサマガエルならぬ、カエルの馬鹿殿様だった。

 俺は飛び出しかけて、炎太郎さんに止められた。


 「待て、あの千両箱に吸い込んでもらった方がお客さんは安全だ」

 「うう、事件を未然に防げなくて悔しいけどそうですね」

 「優しいね、灯希君♪ 三人で取り戻そう♪」


 俺達は舞台の上に飛び出して叫ぶ。


 「ちょっと待った! どこの悪党だか知らないがお客さん達を返しやがれ!」

 「僕達の舞台を邪魔した罪、その命で償て貰おう♪」


 俺に続いてルージュが告げる。


 「ジャヨーダ共、俺達三人が相手だ♪」


 最後に炎太郎さんが叫ぶ。

 炎太郎さんのメイン敵、ジャヨーダと言う悪の組織らしい。


 「ゲコ! 貴様らはもしや!」


 金色の着流しを着た、大兵肥満の緑色のガマガエル怪人が驚く。


 「その通りだ、テンセイチェンジ!」

 「ローズアップ♪」

 「火遁チェンジ♪」


 俺達三人は同時に変身する。


 「前世は勇者、今世はレッド! テンセイレッド!」


 センターに立つ俺から名乗る。


 「愛と情熱の赤い薔薇、ローズレッド華麗に開花♪」


 続いて左翼のローズレッド。


 「天下に燃える大火炎♪ 火遁ニンジャー! あ、参上♪」


 最後を締めるは火遁ニンジャー。


 「「我等、臨時戦隊三人レッド!」」


 最後は全員名乗りで背後が爆発、セット置く前で良かった。


 「それじゃあ二人共、派手に決めようぜ♪」

 「ヘ、乗って来たじゃねえか運動部♪」

 「君と共に戦える、喜んで♪」


 火遁ニンジャーとローズレッドが左右から俺の肩に手を乗せる。


 「おのれ、ゲロッパ共かかれ~~!」


 怪人がお約束のように戦闘員をけしかける。

 奴らが客席事お客さんを吸い込んでくれたおかげで、楽に戦える。

 一応テンセイジャーの皆には、マスクの内側から通信機能でメッセージを送る。

 面倒だが、後で報告書を描いて出さないと。


 「それじゃあ、舞台の前にリアルでチャンバラと行こうぜ火遁ブレード!」

 「ローズレイピア!」

 「フェニックスカリバー!」


 俺達三人は、自分の剣を仲間と合わせる。

 戦闘員達は、けしかけられたが俺達を恐れたのか止まる。


 「おっし、行くぜ野郎ども♪」


 火遁ニンジャーさんが駆け出す。


 「相変わらずだなあ、あの人は」


 ローズレッドは呆れていた。


 「勢いは大事だよな、俺も行くぜ!」

 「僕も行こう、前世の友よ♪」


 そうだ、ローズレッドは前世の仲間だった。

 かくして俺達は、バトン型の武器を持つ戦闘員達と剣戟を繰り広げる。

 戦闘員、怪人より格は落ちるが全く弱いわけじゃない。


 先行した火遁ニンジャーさんは、警戒に飛び回り暴れ回る。

 俺はローズレッドと背中合わせになり、襲い来る敵を迎え撃つ。


 「嬉しいね、僕に背中を任せてくるなんて♪」

 「お前の背中は俺に任せろ!」

 「うん、任せた♪」


 俺達は言葉をかけ合いながら、敵を同時に倒して行く。


 「さて、お約束の手下は倒したし千両箱はいただいたぜ♪」


 俺達が戦闘員を倒し終わる。

 それと同時に、火遁ニンジャーさんが千両箱を奪いこちらに戻って来た。

 流石は忍者、美味しい所を持って行く。


 「良かった、人命は大事ですね♪」


 後は怪人を倒して、お客さんを解放するだけだな。


 「ああ、大事なお客さん達だからな♪」

 「うんうん、観客は宝だからね♪」


 いや、そこは違うだろと言いたくなった。

 まあ、彼らも本気じゃないとは思う。


 「ゲコゲコ~~~! このガマ殿様を侮るなよ~~~!」


 怪人が大口を開けて緑色の毒ガスを吐き出した。


 「させるかよ、浄化の炎で汚物はお陀仏だ!」


 俺は前に出て全身から白い炎を体育館内全体に放出し、毒ガスを無効化する。


 「よ、流石は人間空気清浄機♪」

 「やはりいつの世も君の優しさと炎は美しい♪」

 「ありがとう二人共、それじゃあ構えて行こうか!」


 俺達は自身の剣を大上段に構えて刃に炎を灯す。


 「ゲコゲコ~~! ガス以外も出せるゲコ~!」


 怪人が四股を踏み、腹を膨らませて口から放水攻撃を仕掛けた。


 「汚いな、僕達に汚水は似合わないよ! フラム・ルージュ!」


 三人での合わせ技の前にローズレッドが剣を振り下ろす。

 彼女の剣から振り下ろされた炎の鞭と放水攻撃がぶつかり合い打ち消された。


 「へ、飛び道具自慢してないでヤッパで来いよ♪」


 火遁ニンジャーが敵を挑発する。


 「上等だゲコ、ガマの油火炎長ドスゲコ!」


 ガマの怪人がどこからか長ドスを取り出して舌で舐めまわす。

 絵面が汚いが、相手も自分の武器に火属性を付与しやがた。


 「殿様気取りが長ドスかよ♪ とりゃっ!」

 「喧しい赤猿っ!」


 火遁ニンジャーさんとガマ怪人が、炎の刃で切り結ぶ。


 「加勢に行かなくて良いのか?」

 「うん、彼の見せ場だから♪」


 ローズレッドに止められた。


 「止めだ、火遁斬り!」

 「ガス大爆発ゲコ!」

 「ぐわ~~っ!」


 背後を取った火遁ニンジャーさんだが、怪人が放った屁で爆発が起きる。


 「あぶねえ!」


 俺は炎の翼を生やして飛び立ち、先輩のレッドを受け止める。


 「おう、悪いな後輩♪」

 「いや、ボケは良いですから」


 俺達三人は合流し、今度こそ合体技に入る。


 「よし、猿と薔薇と火の鳥の合体技だ♪」

 「そのタイトル、格好悪いですよ!」

 「トロワ・フラム!」


 ローズレッドだけが、格好つけた名を叫び俺達と共に刃を振り下ろす。

 三つの炎の斬撃が飛び、空中で一つの火の玉と化して敵の身を包んだ。


 「ゲコ~~~!」


 断末魔の悲鳴を上げながら燃え尽きる怪人。

 敵を倒したのを確認したら三人で同時に残心を決める。


 「これにて一件落着だな♪」

 「ふう、舞台の途中で乱入とか勘弁して欲しいです」

 「さあ、お客様を解放して芝居に戻ろう♪」


 事件を終わらせた俺達は、千両箱を開けて吸い込まれたお客さん達を解放した。

 再開された芝居の方は、アドリブ多めで大団円に持ち込めた。

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